─60日目 予期せぬ訪問者─
「……ぇえー」
「露骨にヤな顔しないでよカオル兄」
だってさぁ……。
何故にヤクザ軍団が我が家にいるのん。
「私が聞きたいよん」
そりゃそうだろうよん。
──前回のあらすじ。
昨日無事スキー合宿から帰ってきた俺達高校一年生プラスα。そんときの話はあえてカットさせて頂く。続きを期待してた読者諸君は作者を恨め。
そして翌日、つまり今日は学校が休みだったので珍しくカイトの家に遊びに行った。ってかアイツも持ってたんだけど……ぴーえすつりー。実は流行ってるのかアレ?
で、その帰りに買い物も済ませて家に入ってみるとあらまぁビックリこの状況。
「で、現在に至るんだよなぁ……」
手に持っていたスーパーの袋を冷蔵庫に放り込み、改めて彼等を見る。
正確に言えば見下ろす。
え、何で見下ろすかって?
彼等がソファに座らず床で正座してらっしゃるからさ。サクラが何かやったのかねぇ…などと心配していると、
「この度は急な訪問、誠に申し訳ありやせん。自分、オダと言います」
ヤクザ……もといダンディなオジサマ軍団の一人が口を開いた。
「ありやせんなんて今時でも言うんだ、ぷっ」
「お前ちょっと黙ってろ。話が進まん」
相手もどうリアクションしたら良いのか困ってるし。
「で、用は何ですか?続けて下さい」
「あ、へい」
「あと座る位置は変えましょう」
結局低めのテーブルを挟んだ形で置かれた向き合っているソファの片方に俺、反対側に先程口を開いた一人が座り、その後ろに他の人達が背筋を伸ばし両手を後ろに回して立っている、という状態に。因みにサクラは居たらややこしいので部屋に追いやった。
「それで話っていうのは」
向かいの男に聞いてみる。
「ハイ…ご覧の通り自分達はしがない極道でして」
お、喋り方が普通になった。
「ですが…自分達の組が今危険な状況に陥ってるんです」
「危険…というのは?」
そう尋ねると少し言葉を詰まらせたオダさんは再び話し始めた。
「組で管理していた金が殆ど盗まれたんです」
「金が!?」
ハイ、と頷くオダさん。驚いたな…確か極道の皆様はその辺のセキュリティは万全にしてるハズなのに……。
「盗み方や形跡からして恐らくその道のプロでしょう。足は付いてあるんですが…」
「……もしかして」
嫌な予感が頭によぎる。
「ええ。相手は4人組、その中にケタ違いの強さをしたヤツがいまして」
「やっぱりか……」
「恥ずかしながら自分達に負えるレベルの敵じゃ無く……先日、日頃から世話になっている『劉紋会』に相談したんです」
「そしたら俺を紹介されたんですね?」
「ハイ……勝手な頼みだってぇのは百も承知です。でもこのままだと組が潰れちまう!頼みます、どうか協力してやって下さい!!」
連れの方共々深く頭を下げられる。
「顔を上げてください。あなた方のような職の人が高校生にそこまでするのは堪えるでしょう?」
「え、それじゃあ…」
『劉紋会』は俺が断れないのを解っていてこの人達を仕向けたのだろう。全く意地の悪い。
「ええ、協力しますよ」
「!!ホントですか!?」
「まだ絶対にとは言えませんが…よっぽどじゃない限りそうします」
「かたじけねぇっ!!」
「…ただしその前に『劉紋会』の人と話をさせて下さい。色々聞いておきたい事もありますし」
「それは勿論。では自分から連絡を」
「いや良いです。明日にでも直接行くんで」
「しかし…」
「大丈夫ですよ。あそこの会長とは知り合いなんで」
「分かりました。では自分達はこれで失礼させて貰います」
そう言うとオダさん達はすっと立ち上がり玄関へと向かう。その時、どこかやりきれない顔をしていたのが見えた。当然と言えば当然か、見知らぬ高校生に土下座までしたのだから。大人…ましてや極道としてのプライドはズタズタだろう。
「……………」
俺はそんな彼等の背を見送った後、
「…夕飯、作らないとな」
さっき冷蔵庫に入れた材料を取り出した。
だけど……。
劉紋会、か。
「もう仕事には関わらないって言ったのになぁ」
少し昔を思い出しながらも、俺はまな板に置いた野菜を順に切り刻んでいった。
合宿が終わったらコレですか…なんて意見は聞き入れません笑 私も意識が朦朧としてる時に書いてたんで、こんな流れになったのです。まぁなんだろ、これでオリジナリティ出るよね!!うん、きっとそうだ!! あと劉紋会については次回書くつもりなのでそこはヨロシク(^^;