─55日目 スキー合宿?そのご─
「…むぅ」
重たい瞼を開ける。心なしか身体も重いような……?
「にゃー」
「あ、モカ。おはよう」
私の上にモカが乗ってたのか。通りで重たいワケだ。
「にゃ」
「はいはい今ごはんあげるからね」
モカを抱き上げキャットフードの置いてある場所へと連れていく…と、
「んむー」
カヨちゃんがキャットフードの箱に顔を突っ込んだまま寝ていました。
……………。
「何があったの!?」
「にゃうん…」
「ごはんよりカヨちゃんの心配しなさい!カヨちゃん大丈夫!?」
「んー…?あ、サクラちゃんおはよー…あれ、何で真っ暗?ジャラジャラ音もするしー」
「うにゃあっ!?」
ぬらりとカヨちゃんが体を起こすとキャットフードもジャラジャラと音を立てながら顔に刺さってる状態なワケで……。
「ここどこー?わぷっ…口に何か入った」
「わー食べちゃダメーっ!」
「にゃー!」
モカ、もとい先日私が拾った三毛猫は他の猫よりも頭が良いらしい。人の言葉は一通り理解出来ているみたいだし今ではお手とおかわりが身についている。猫なのに珍しいとご近所でも評判……だったらいいなぁ。
「ふぅ…やっと抜けたー」
カヨちゃんからキャットフードの箱を取り外してほっと一息。カヨちゃん髪ボサボサだし寝ぼけてて目が線だし何かスゴい。
「がつがつがつがつ」
今度はモカが箱に顔を突っ込んで餌を食べている。この子はこの子で食い意地がスゴい。メスなのにね。
「うぅー眠いー…」
「だらしないわね。顔でも洗ったら目が覚めるんじゃない?」
目をこするカヨちゃんにそう言ったのは私よりも先に起きていたチアキちゃんだ。
「朝から一人で外出てたみたいだけど何してたの?」
気になったので聞いてみるとチアキちゃんは何故か頬を少し赤くしながら、
「べ、別に何でも無いわよ」
と一言。ちっちっちっ、甘いねチアキちゃん。そんな見え見えのウソで私を騙し通せると思ってるのかな?
「にゃー」
「モカ?」
するとついさっきまで餌にがっついてたモカがチアキちゃんの足元をくるくると歩きだした。
「な、何なの?」
「おっかしーなーその行動モカは私かカオル兄にしかしないんだけど……ぁ」
「?何よ人の顔見ながらニヤニヤしちゃって」
「いんや何でもありませんよチアキちゃん」
なんてウソ。ある程度解っちゃったもんね、チアキちゃんが行った所。
だってここ、カオル兄達が泊まってるのと同じホテルだもんね。
「にゃ」
でかしたよモカ。君がチアキちゃんに付いてたカオル兄の匂いに気付いたからこそ謎は解けた!
「君にモカソンの称号を与える!」
「にゃおん♪」
「何の称号よソレ!?」
「さぁ?助手とかその辺かと」
「随分アバウトね……ああそれと、チヅルさんも朝早くに出掛けたわよ?」
「え?」
そう言われれば何処にも居ないねチヅルさん。
「トイレとか?」
「イヤイヤそれだと長すぎでしょ。もう二時間くらい経つんじゃないかしら?」
今は7時30分。確かカオル兄達が朝食を食べてる時間帯だったハズ……。
「私知ってるよー」
何時もの髪形と顔に戻り復活を成し遂げたカヨちゃんが言った。
「なんでカヨちゃん知ってるの?」
「その時たまたま目が覚めて、チヅルさんが調理器具と調味料持って出ていくの見て、また寝たのー」
「調理器具と…」
「調味料…?」
「にゃ…」
「にゃ?」
「にゃー」
「にゃー♪」
「「何やってんのカヨ(ちゃん)」」
「コミュニケーション」
「「出来るの!?」」
「なんとなく言ってることは解るかもぐらいにはー」
猫語を聞き取れるとは…カヨにゃん恐るべし。
にしてもチヅルさんがそんなもん持ってったって事は……。
「…今日の朝食は諦めよう」
「その方が良いわね。代わりに何か適当にあるものでも食べましょ」
「キャットフードとかー?」
「にゃ?」
「「食べるかっ!!」」
「それって肯定?」
「否定よ!」
「ねぇチアキちゃん皇帝って偉い人じゃあ」
「何でそうなるのよ!?」
「にゃー」
「にゃー!」
おーチアキちゃんのにゃーも中々イケる…とか思いつつ、私達は持参していたお菓子を朝食代わりとして食べたのでした。
因みにこの日の朝方はホテルの食堂とその近辺中心がとても騒がしかったらしいです。
その後チヅルさんが、
「あ〜楽しかった〜♪」
とか言いながら顔ツヤッツヤで帰ってきたなんてのは私は気にしません。断じて気にしません。
─その頃の食堂。
「な、何だったんだあの料理は…?」
「味は良かったが見た目が……」
「私のなんて虹色に輝いてたわ…」
この日、このホテルに『摩訶不思議料理』という新たな都市伝説的なのが生まれました。
信じる信じないは貴方次第です。
今日もギリギリ間に合ったー!と思ったらえぇぇぇ!?って感じでした……涙 それと猫の名前が漸く決定!名前はモカ、メスです。称号はモカソン君笑 名付け親のかぴ太さん、そして応募してくれた方々、ありがとうございました♪m(__)m またこんな機会があっても無くても気軽に感想とか書いたりしてくれたら嬉しいです(^^#