─53日目 スキー合宿?そのさん─
「勝負だこの野郎!」
「戦えこの野郎!!」
「そうだこの野郎!!!」
体育会系の方々が勝負をしかけてきた!
「何で俺がんな事しなきゃならんのだこの野郎」
しかし断わった!
「何でだよ!」
「面倒だし面倒だし面倒だからだよ」
「それだけ!?」
それ以外に何があるんだ。
「ぐっ…ならばカイト!お前と勝負」
「カイトースキー教えてー♪」
「私に教えてよー」
「俺インストラクターじゃねぇんだけどなー」
「って聞いてねぇ!」
女子に囲まれてんやわんや状態のカイトにそんな声が届くハズも無く……てかお前ら体育会系同士で勝負しとけば良いんじゃないのか?
「くそぅ…俺達だってああなりたいのに!」
「羨ましすぎだチクショー!!」
ああそういう事か……カイトに勝負挑もうとした理由は分かった。でも俺は関係無いだろうに……。
「カオル君スキー教えてくれない?」
「へ?」
気がつくと俺の周りにも女子がってえぇぇ!?
「ちょ、ちょい待ち!何で俺に!?」
「だってさっきの滑りスゴかったし」
『うんうん』
「満場一致ですか」
ただ滑っただけなんだけどなぁ……。
「だからお願いー♪」
『私に教えてー!!』
「うわぉぉぁぁぁぁ!?」
ヒュッ!
「へぶっ!」
「………ぁ?」
俺に迫ってきた女子が突然倒れました。
ヒュヒュヒュッ!
「きゃっ!」
「ぶっ!」
「あべし!」
何か次々倒れていくんだけど…って雪玉がさっきから飛んできて皆に当たってるんじゃん!
ヒュッ!
「うぉ!?」
雪玉が俺にまで飛んできてるんですけど!
「クソッ!誰が!投げ、てん、だっ!?」
ヒュヒュヒュヒュッと飛んでくる雪玉を避けながらその方向に目を凝らす。が、あるのは雪景色と数個の雪だるまだけだし……。
「どうなってるんだよ!?」
「ちっ、カオルの奴反応良いな〜。全然当たらない」
「ち、チヅルさん!?カオルさん狙う必要は無いんじゃ…」
「まーまーチアキちゃん。面白いから良いじゃない」
「良くないわよ!」
「ふうっ、これでカイトさんは安全だー」
「サクラはサクラでやりすぎ!!」
「カイトさんに近付く奴が悪いんだよ」
「怖っ!顔は見えないけどオーラが怖いわ……」
「サクラちゃん男前ー」
「狙い撃つぜ!」
「どこの武力介入よ!?」
「こっの〜当たれ当たれ!」
「……こんな調子で大丈夫なのかしら」
「さぁー?」
「はぁっ、はぁっ…やっと納まったか」
謎の雪玉による強襲が止んだ所で一息つく。
「……あっちもか」
ふとカイトの居る方を見ると、案の定カイトに群がっていた女子が全員やられていた。因みに所詮は雪玉なので大したダメージも無く、帽子に付いた雪をはたかないといけなくなる位の被害しか出ていない。
「しっかし何だったんだありゃ?」
「それは俺が聞きたいよ。誰も居ない場所から飛んでくるなんて可笑しすぎる…」
「まぁ俺達に害は無さそうだし問題無いだろ!」
「俺狙われたんですけど…」
…何かこの先不安だなぁ。
「ど、どどどうなってるのアミこれ!?」
「あたしが知ってるワケ無いでしょ?けどハッキリ解った事が一つ!」
「な、何?」
「ズバリ!カイトかカオルのどっちかを狙ってる女子だけが雪玉の餌食になる!」
「え!?じゃあ私……も?」
「この先カオルに近付けば可能性はあるわね」
「…どうしたら」
「頑張りなさいよ。体張ってさ」
「うぅ…でもぉ」
「しっかりしなよハルカ!恋に試練は付き物なんだから」
「…そう、だよね。うん、私頑張るよ!」
「よしっ!じゃあ早速有言実行!!」
どんっ!
「わっ」
アミに押されて進んでいく私………あれ?こんな事さっきもありませんでしたかぁぁぁぁぁぁ!?
「今度は大丈夫!前見て前」
「へ!?」
アミに言われて前をよく見てみると。
「ん?」
わぁカオル君…ってナンデストォォォォォ!?
「ファイト!」
何で『グッジョブ私!』みたいな顔してんのアミいやそれどころじゃなくてこのままじゃカオル君に真っ直ぐ激突すってんころりんいやーん♪みたいな事になっちゃうぅぅぅぅ!
「ほ、ホンジョーさん止まれないの!?」
カオル君も状況を把握したみたいです!首を縦にぶんぶん振ってそうだと伝えましたが時既に遅し。距離は後10メートルを切ってました。
「避けてカオルくぅぅぅぅぅぅん!!」
「っ!!」
あと3メートル程になった辺りで覚悟を決めた私は目を瞑りました。ああ、せめて私の突っ込む所が柔らかい雪でありますように……。
がしっ。
……………ぁれ?止まった?
でも衝撃は無い。雪に突っ込んで冷たいハズなのに冷たくない。寧ろ暖かいくらい。どうして?
「……?」
ゆっくり目を開けると。
「大丈夫?」
カオル君が目の前に居ました。
ああそうかカオル君が私を受け止めてくれたんだ………。
…………………………ぇ。
「怪我は無い?」
「ぅ、うん」
え。
「そう。なら良かった」
えぇぇえぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?
「え、カオ、く、わたっ、よ、あのっ」
「そんな慌てなくても」
「スイマセンっ!」
カオル君の顔がこんな近くに…キス出来そうな距離です。それもそっか、私今抱かれてる状態なんだから。
心拍数が200越えそうなので深呼吸、深呼吸……。
「ふぅ」
「落ち着いた?」
「ひゃい!」
やっぱ無理です!顔近すぎます!でも頑張ります!
「カオル君、そのっ、どうして止めてくれたの?」
「へ?だって止めないとホンジョーさん怪我するし、顔に傷でも残ったら大変だろ?女の子なんだから。それにホンジョーさん肌キレイだしさ」
「へっ……」
「カオルー集合掛かったぞー」
「おう。じゃあ先行ってるから」
「ぁ、ぅん……」
……キレイ。って言われた?
今、カオル君に?
「……………ぇ」
初めて。
「え」
キレイってカオル君に言われた!
「エイドリアーンッ!!」
もう死んでも良いくらい嬉しい!この前よりもっと嬉しい!!
「ハルカ良かったじゃん!カオルと急接近」
「アミありがとぉーっ!!」
「わっ」
がばっとアミに抱きついた私。やっぱり持つべき者は親友だよ!
「私この調子で頑張るよ!」
「わ、分かったから離して苦しい……」
……これは余談なんだが、アミが言うにはホンジョーさん、力が結構あるらしい。
「カオル、誰と話してんだ?」
「や、別に」
「?」
今回はホンジョーさんが歓喜しましたが如何でしょう? 災難に見舞われたホンジョーさんの方が書いてて楽しい、それが私の素直な感想です(^^ 皆さんはどちらのホンジョーさんが好きですか?笑