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─49日目 どうするカオル─


「スキー、やらないか?」


「どうしたんだ突然」


カオルです、こんにちは。今日は土曜日ですが学校に来ています。すると朝から何かアミがアブナイ目をして言ってきたんですが…。


「やだなー忘れたの?あたし達スキー合宿行くじゃん」


「それは知ってるけど」


だからってそのネタは無いだろ……。


「で、聞きたいことあるんだけど」


「なんだよ?」


「カオルってどこの班にしたの?」


「ああ、それか」


俺達の通ってる高校は毎年一年生が二泊三日のスキー合宿に行く事になっている。行動は事前にスキーの腕で決めた班で分けられる。初心者がD班、少し滑れる程度の人達がC班、ある程度滑れる人達はB班、そしてそれ以上の実力者がA班となっている。


「やっぱりA班にした?」


「アミはどうなんだよ?」


「当然A班よ!あたしの力を嘗めてもらっちゃあ困るわ!」


「へー」


アミは元々体育系だからな。スキーだけに留まらずスポーツ全般が得意だ。勉強はからっきしダメだけど。


「何か言った?」


「別に。そういえばカイトもA班だったっけ」


「そりゃそうでしょ。数少ない万能型の一人なんだし」


「万能型?」


「そ。カイトってあらゆる面において他人より頭一つ抜きん出てるでしょ?だから万能型」


「確かにその通りだな、アイツは」


勉強もスポーツも出来てオマケに顔まで良いと来てる。何かもう周りの男子の努力を嘲笑うかのような存在だ。俺も勝てるのは料理位のモンだし。


「因みにカオル、アンタも万能型だから」


「え、そうなのか?」


「思った通り自覚してなかったか…気を付けなよ?アンタを狙ってる女子少なくないんだからさ」


「ハハ、んな訳無いだろ」


「…鈍感というか天然というか」


「?」


「はいはいもうこの話は終わり!結局カオルは何班なのよ?」


うっ…。


「えーと、それなんだけどさ」


「うんうん」


そんなに眼を輝かせないで下さい。心が痛みますから。


でもアミの事だから絶対突っ掛かってくるよなぁ…でも言わないともっと突っ掛かってくるよなぁ…はぁ。


「俺は…」


「うんうん!」


「行くつもりは無い」


「うんうん………うん?」


「…アミ?目が点になってるんだけど」


「ええーーーーーっ!?」


悲鳴が朝の教室に響いた。


「えっ、ちょ、何で!?スキー嫌いなの!?」


「イヤそういう訳じゃ…」


「じゃあ何で!?ほわい!?」


「話すからそんなに詰め寄らないでくれ」


しっかり距離を取ってから興奮気味のアミに理由を話す。


「俺に妹居るの知ってるよな?」


「うん。サクラでしょ?それがどうしたのよ」


「日帰りならともかく二泊三日もするだろ?もし俺がスキー合宿行ったら、その間サクラは一人になるからさ。後で先生にも休むって言うつもりだし」


「そんなの親に任せたら良いじゃん!」


「…二人とも忙しくて滅多に帰って来ないんだよ」


「あ……ごめん」


「気にすんなって」


「でもどうすんの?ホントに休むつもり?」


「そうなるだろうな、やっぱり」


行きたいのは山々だけどこればっかりは仕方無い。


「心配ないぞ〜っ!!」


『!?』


校庭側の窓から聞こえたその声はどこかで聞いた事のある声。


その方へ目をやると……。


「ようっ!」


チヅルさんが居た。


「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!」


『誰だ!?』


俺以外の皆が声を合わせて言った。無理ないよ。ここ三階だよ?どうやって登ったのさ?


「ってそうじゃなくて!何でチヅルさんがここに!?」


「だって今日土曜日じゃん」


『関係ねぇーっ!!』


俺も含めた全員がそう思った。


「さっきの話は全部聞かせて貰ったよ。カオル」


「は、はい」


窓から空中三回転で俺の前にすたっと着地したチヅルさんは真剣な顔をしていた。


「スキー合宿、行ってきな。サクラの面倒は私が見といてあげるからさ」


「え?でも」


「だ〜いじょ〜ぶ!サクラにはもう言ってあるし」


「また我が家に乗り込んだのかアンタは」


何も壊れてなければ良いな……。


「気にしない気にしない♪」


「するよ!」


「か、カオル?この人一体…」


「従姉です♪」


俺の代わりにチヅルさんが答えた。マイペースにも程がある。


「という訳でっ!」


「おわっ!」


頭をわしゃわしゃと撫でられ、ボサボサになる俺の髪。髪型なんて気にしてないから良いんだけど。


「思いっ切り楽しんでこい!」


「チヅルさん……」


「そして私にお土産買ってこい!!」


「アンタそれが目的なだけだろ」


「期待してるよ〜♪じゃっ!」


そう言い残しチヅルさんは窓から飛び降り姿を消した。帰りぐらい普通に階段使えば良かったのに。


『……………』


ほら、皆唖然としてる。


「…カオル」


「ん?」


まだ半分放心状態のアミ。お前顔が面白いことになってるぞ。


「とりあえずスキー合宿、来るのよね?」


「そうなりそうだな」


「分かったー…」


そう言い残しアミはふらふらしながら何処かへ行ってしまった。大丈夫かアイツ?


『…カオル』


「ん?」


『今の………誰?』


今度はクラスの皆さんが放心状態のまま聞いてきました。


さて、どう説明しようか…。






その後俺はA班として合宿に参加する事となった。チヅルさんに関しては、


『あの人スタントマン志望だから』


と言ったら納得してくれた。


「てかスキー合宿っていつからかカイト知ってるか?」


「もうそろそろなんじゃねーの?」


アバウトだなー。











そして。


「カオル君はA班…カオル君はA班…」


「ハルカー、流石にA班は辛いんじゃない?」


「頑張るもん!今までだってちょくちょく学校休んでスキー練習してたもん!」


「最近あんまり見掛けないと思ったらそんな事してたんだ……」


「頑張れ私!ファイトだ私!!」


「たった数回の練習が運動音痴を越えるの?」


「それは言わないお約束!」











そして。


「ふっふっふっふっ…」


「どうしたのサクラちゃん」


「てか私達アナタに呼ばれて来たけどさっきから笑ってるだけじゃない」


「カオル兄がスキー合宿に行くらしいよ」


「「!!」」


「二人共、このまま放っておいて良いと思う?合宿という名の告白イベント満載そうな旅行を」


「良く、ないね」


「良く、ないわ!」


「手は打ってあるから。チヅルさん」


「はいは〜い任せて♪」


「楽しみですねー、スキー合宿」


「そうね、楽しみだわ」


「初めて学校サボるけど…仕方ないよね」


「仕方ないねー」


「仕方ないわね」


「その辺諸々はお姉さんに任せなさい!」


「おお、頼もしい」


「お願いしますねー」


「お願いします」


「お願いされま〜す♪」


「「「「ふっふっふっふっ…」」」」






……大波乱の予感です。


はい、結局行くことになりましたねカオル。そうじゃないと話進まないし当たり前か…(^^; スキー合宿編はまた日を改めて書くのでその辺はご了承下さいm(__)m

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