─46日目 大切なのは一工夫─
「揚げギョーザはギョーザにあってギョーザにあらず!!」
「あ、それわかるー」
「ギョーザにはギョーザの、揚げギョーザには揚げギョーザの違った良さがあるものね」
「解ってくれたか同士達!」
「おうともよー」
「解らなくは無いわ」
サクラです。給食の時間です。揚げギョーザが出たのでそれについて三人で話しています。
「揚げただけであれだけの進化を遂げるなんて…ギョーザは偉大なり!」
む、何か名言っぽい事言ったな私。
「それにしても」
カヨちゃんがもぐもぐしつつ言いました。
「料理って一工夫しただけでスゴく違ってくるよねー」
「そうね、奥が深いわ」
「だからチアキちゃんは深爪なの?」
「たまたまよ!それに今回は切りすぎちゃっただけで」
「狙ってやったんじゃないのー?」
「確信犯め!」
「何なのこの言われようは!?」
さて、チアキちゃんも弄った事だし話を戻そうかな。
「揚げギョーザの他に化けそうな料理は何だろう?」
「シューマイ?」
「パン?」
揚げてばっかりじゃん。
「えびも揚げ方で変わるよねー」
「揚げる事から離れようよカヨちゃん」
ホント海老好きだよね。私も好きだけど。
「カレーとかどう?トッピングで結構変わってくると思うわ」
ほうほうカレーね、いいトコ突いてくるじゃないチアキちゃん。ならば聞こう。
「皆はどんなトッピングが好き?」
「私はエビフライかなー」
……カレーでも揚げ物、しかも海老を持ってくるとは恐れ入る。
「私はハンバーグカレー。月に一回は食べてるわね」
「食べ過ぎたら太るよー?」
「大丈夫よ。私達の歳だったら身長に回るから」
「わ、チアキちゃんダメ」
「ウチに対する嫌味か!?」
「あ…」
「ほらー」
「…ごめん」
「なんや、ウチかてめっちゃ食ってるで?でもな、んな言うほど伸びへんねん!アンタみたいにはならんねゎ!チクショー厚底ブーツ持ってこんかーいっ!!」
「はいはい、校則違反だから諦めようねー?」
なでりなでり。
「うにゃ……」
「おお、サクラが大人しくなったわ!」
「や、この笑顔には敵いませんって」
「にこーっ」
将来良いお母さんになるだろうねカヨちゃんは。
ふぅ……話を戻しましょうか。
「あ、これちょっと違うかも知れないけどー」
「何?カヨちゃん」
「二人は目玉焼きには何をかけるー?」
「「目玉焼き?」」
「うん。目玉焼きー」
うーん、目玉焼きかぁ…私はその日の気分で変えるし、第一目玉焼き自体家で出てこないしね。
「え、目玉焼きには普通醤油じゃないの?」
チアキちゃんがさらっと言った。醤油…確かに普通だ。事実、目玉焼きにかけてる人も少なくないと思う。
「私は違うなー」
「じゃあカヨは何なのよ?」
「先にサクラちゃんからいってみよー」
「ほえ?私?」
…とりあえずこの前のヤツ答えとこう。えーっと確か……。
「……わさび」
「「……わさび?」」
「うん」
どんな味か気になって…全然合わなかったけど。
「ま、まぁ個性的で良いじゃない!ねぇカヨ!?」
「え、うん。そうだねー」
「…ならその未知の物体を見るような眼をやめてよ。」
そこまで可笑しくも無いでしょ?
「さぁ、サクラも言ったことだし?今度こそカヨに言って貰おうじゃないの」
「ん、いいよー。別に大したことでも無いしねー」
「じゃあ何で溜めたのよ!?」
「チアキちゃんの反応を見て楽しむために決まってるじゃない」
「カヨぉぉぉぉぉ!?」
「きゃー♪」
「どーどーどー」
可愛く怒るチアキちゃんを抑え話を続けようとする私。立場逆転だね。
「ふーっ!ふーっ!」
「はいはい後で話聞いたげるから。で、カヨちゃん?目玉焼きには何をかけるの?」
「えっとねー」
ふっふっふーと笑いながらカヨちゃんが言ったのは。
「なまたまごー♪」
「へー生卵……」
………。
……………ん?
「「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!?」」
「え?どうしたのー?」
「イヤイヤイヤイヤ生卵ってええ!?」
「卵に卵かけてどうするのよ!?」
「だって目玉焼きと生卵って全然違うよ?」
「違うけど卵だよ!?どっちもヒヨコが形成される前に変わりは無いんだよ!?」
「サクラちゃん言い方生々しすぎ。んーでも美味しいよ?」
「それでも認められない物ってあるわよ!」
「えー」
「………」
チアキちゃんはああ言ってるけど、私は興味あるなぁ…今度やってみよう。
けど目玉焼きが出ないと出来ないや。
─夕方。
「ただいまー!」
「おかえり。今日はまた元気だな」
「カオル兄!」
「ん?」
「明日は目玉焼きね!」
「目玉焼き?そらまた何で」
「食べたいからだよ!」
「珍しいな。スクランブルエッグ派のお前が目玉焼き食べたいなんて」
「生卵をかけて食べたいの!」
「は?生卵?目玉焼きにかけるのかよ」
「そうだよ!」
「あー言われてみればアリかもな」
「ところでカオル兄だったら何かけるのさ!?」
「マヨネーズつけて食べる」
「うわっ、普通だ」
「文句を言われる筋合い無いんだけど」
「因みに今日の晩御飯は?」
「サーモンのカルパッチョバジル風味」
「捻ってるからよし!」
「あ、ありがとう」
やっぱり一工夫って大事だよね!
「お前は美味けりゃ何でも良いだろうが」
うん!
「認めるなよ」
今日の晩に冷蔵庫でたまたま見つけたふりかけ(わさび味)を使ったのですが…辛すぎて鼻が吹き飛びそうでした笑 それも理由で書かれたのがこの話という訳で…(^^;