─41日目 夢を語ろうよ─
「ねーチアキちゃん」
「何よ?」
ども、サクラです。今学校にいます。カヨちゃんとチアキちゃんの三人でお話し中です。
「今日見た夢で超人が出てきたのー」
カヨちゃんが唐突にそう言いました。
「超人ってどんな?」
「目からビーム出してた」
「それって人なの?で、それが知ってる人だったとか?」
「チアキちゃんだったー」
「私!?」
「じゃあ人だね」
それだけは間違いない。
「いや確かにそうだけど!」
「あとねー、他にも色んな人が出てきたよ」
チアキちゃんを華麗にスルーして話を続けるカヨちゃん。
「え、例えば?」
「サクラちゃんがねー」
「私が?私が何したの?」
「翔んでた」
「………ほえ?」
「跳んでたの?サクラが?」
「違うよチアキちゃん。跳んでたんじゃなくて翔んでたの」
「なにが違うってのよ!」
「漢字」
「屁理屈をっ!」
「ちょい待ち。私翔んでたって言ったけどどうやって?まさか舞●術!?」
「そんな『オラわくわくすっぞ!』的要素は無かったよー?」
「あら残念」
元ネタはあえて言うまい。
「じゃあ羽が生えてたとかかしら?」
「おー、メルヘンチックだ」
心優しくてか弱い私にはピッタリのオプションだね。
……誰だ今心の底から全力で否定した奴。
「そんなサクラちゃんと無縁なものな訳ないよー」
…え、カヨちゃん?
「それもそうね」
…チアキちゃんまで。
「サクラはどう思う……ってサクラ?」
「ええそうですよどーせわたしゃーか弱く無いですよーだ。手のつけられない悪の大魔王とかがお似合いですよーだ」
「あ、まさしくその通りの姿だったよ?」
じーざす。
「なに?私つのでも生やしたらいいの?じゃあ明日にでも生やしてくるよ。にょきにょきにょきー」
「あーはいはい落ち着きなさい。あくまで夢の話なんだから」
「目からビーム出ただけだからって余裕だねチアキちゃんは。私なんか大魔王だよ?もう恐ろしい通り越してカッコよくない?よーし私決めたよ将来は大魔王になる」
「落ち着けって言ってんでしょーが!」
すぱーん!とハリセンで叩かれました。頭に響きます。
「いちゃい」
「サクラにはそれくらいしないとダメでしょ。頑丈なんだし」
「じゃー続きね。カイトさんが出てきて」
「カイトさんが!?ど、どんなだったの」
「勇者っぽかった」
うわーお。
「大魔王の天敵じゃないの」
勇者と魔王。それは陰と陽。水と油。私とカイトさんに限ってそんな関係なハズは無い!
「それは夢だ!幻だ!」
「最初からそうだって言ってるでしょ!」
「それでねー」
「「無視かいっ!」」
はっ!私としたことがツッコミをしてしまった……カヨちゃん恐るべし。
「快調さんが」
「いや誰よそれ」
「間違えた。生徒会長さんが」
「ああ、あの人ね」
どうして名前で呼ばれないんだろうねサキさんって。
「走ってた」
「走ってたの?なら普通じゃない」
「甘いよチアキちゃん。それだけで終わらないのがカヨちゃんワールドだよ?」
「ふっふっふー。分かってるねサクラちゃん」
「えっへん」
「いばる事でも無いでしょ。それで会長さんが走ってどうしたの?」
「チアキちゃんがビーム出してたって言ったでしょ?」
「カヨの夢の中でね」
「それと競争してたー」
「「ビームと!?」」
カオル兄から聞いたけどビームって光のりゅーしの集まりだよね?光と競争……サキさんすげぇ。夢だけど。
「カオルさんがそれをツッコんで」
え、カオル兄それだけ?
「私はそれを遠くから見てたって夢だったのー」
「「やっぱり」」
「えー、なんで?」
「なんでって…ねぇサクラ?」
「ん、そうだね」
傍観者ポジションだろうとは思ってたよ。
「じゃー二人はどんな夢を見たか覚えてるー?」
「そうねー…」
チアキちゃんが唸りながら考えて……。
ぼんっ!
顔が真っ赤になった。
「チアキちゃん!?」
「へ!?あ、ああいや何にも!なーんにも覚えてないわ!!」
「う、うん…」
ウソだ。絶対ウソだ。でも言えなかった。チアキちゃん顔がスゴいことになってたもん。
「そっかー。ふーんそうかそうか」
カヨちゃんは何かを感じ取ったみたいだけど。
「サクラちゃんは覚えてる?」
「へ?うんとねー」
えーっと………。
「昔のことだった」
「昔のー?」
「うん。カオル兄のね」
「昔のカオルさんってどんな感じだったの?」
「ボランティアしてたって言ってたよ?今はもうやってないけど」
「わー偉いねー」
「ホントね。アナタも少しは見習ったらどうなのよ?」
「私は私。カオル兄はカオル兄だよ。あとそのボランティアね、カオル兄も嫌々やってたみたい」
「解ってないわねサクラは。そういうのはやる事自体に意味があるのよ」
「だねー。でもその夢を見たの?」
「うんにゃ、その頃の夢だよ。カオル兄と山に行った時の夢」
「へー。サクラが山に行くなんて、修行しに行くみたいだわ」
「ならカオルさんも岩割ったり?」
「まぁ夢だからありそうよね」
「え、二人共それ知ってたの?」
「「…………………はい?」」
「キレーに真っ二つになったからよく覚えてる……うにゃ?どうしたの?」
「………」
「うそーん」
「?」
─その頃。
「はくしょっ!」
「へくしょい!!」
「はーっくしゅん!!!」
とある学校で三人の盛大なくしゃみがこだましたそうな。
ウソのようでホントのお話。
信じる信じないは貴方次第です。
今回は二回目の夢のお話でした。 …が、いざ書いてみると以前とはまた違う流れになり……中々話がまとまらなかったです(^^; まだまだ精進せねば!