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─4日目 寒さの中の暑苦しさ─


「チェストオォォッ!」


こんにちわ。カオルです。出だしからこんな不謹慎極まりない発言である事をお許し下さい。


今俺は高校の門を通り、校舎へ向かおうとしている真っ最中。


そこへさっきの奇声と共に一人の変態さんが襲い掛かってきたとこです。



「コラッ!誰が変態だ!」


紛れもなくアンタだよ。


「む、それにしても俺の拳をあっさり受け流し顔面ビンタとは…正直痛いぜ!」


「正当防衛と言って欲しいんだけどなぁ」


理由の七割は日頃のストレス発散なんだけどね。


「だがやはりお前には光るものがある!カオルよ、今日こそ我らが空手部に入ってもらうぞ!!」


…紹介が遅れたけど、このいかにも暑苦しそうな人は空手部の副部長タケヤマさん。


俺より一つ年上で高校二年生なのだが、今年の入学式のクラブ勧誘時に目を付けられてしまい、以降隙あらば俺の前に現れる変態だ。


あ、やっぱり変態だったじゃん。


「変態変態言うな!」


「とにかく俺は部活しないって何度も言ってるでしょーよ」


「だがそれをハイそうですかって受け入れられる程俺は甘くないぞっ!今度こそ喰らえ俺の一撃をおおぉおっ!!!」


意味不明な事をほざきながら再び襲い掛かって来るタケヤマさん。さっきから思ってたんだが制服のベルト代わりに黒帯巻くのはどうだろうか。


だから俺はそんな哀れなタケヤマさんを優しく─


受け流してコンクリートで固められた地面に叩き付けた。どうやら知らない間に校舎の入り口前まで来てたらしい。校門から50mはあるこの位置までとは…タケヤマさんナイスストーキング!


「ぐべらはぁっ!」


何か聞こえたが気のせい気のせい♪


それにタケヤマさんにはあれくらいしないと諦めてくれないだろうし。


「ま…待て、待つんだカオルうぅうぼげっ!」


…カオルーウボゲ?はていつの間にそんなあだ名が俺についたのかな?


「はいはい邪魔邪魔ー」


「いい加減諦めなよ」


「この変態」


「変態ー」


振り返って見てみると他の登校中の生徒達に踏み潰され、ズタズタになっているタケヤマさんの姿があった。肉体的にも、精神的にも。


それにしても彼は何故ここまで変態扱いされるのか?


そりゃあ今はまだマシだけど普段は殆どあの柔道着みたいなの着たまま暮らして、おまけに裸足だよ?今もう十二月だよ?見てるだけでも寒いの暑苦しいのなんのってどっちだよヤッフーみたいな?


ま、本当の理由は他にあるんだけどここではあえて言わないでおこう。これ以上やるとタケヤマさんが再起不能になりそうだし。




─放課後。


授業も全て終わり帰ろうとしてた正にその時、


「カーオールーッ!」


再びタケヤマさん登場。空手の実力がぶっちゃけアレだが、回復力と立ち直りだけは凄いんだったっけ。人生楽しめてそうだよなこの人。


「今日こそ!今日こそはーっ!!」


「アンタ人の話聞く気無いだろ!?」


「ああ!だから空手部に入れ!!」


「だからの意味が解らんわ!しかも話は聞け!大体俺は入るつもりは毛頭無い!」


毎日言ってるんだけどなー…理解しようとしてくれないんだよ。


「何故だ!?お前にはそれだけの力があるというのに!!」


「妹居るから早く帰らなきゃいけないって言いましたよね!?」


「知らん!初耳だ!」


「ウソつけこの単細胞!!」


「なぁっ!?」


あ、ちょっと落ち込んだ。流石にダメージ受けたか?


「変態の上に単細胞…じゃあ、じゃあ俺は一体何なんだぁー!!」


教えてやる。変態で単細胞でバカだよ。てか何で俺に飛び掛かってきてんのさ?八つ当たり?そうなのか?そうかそうか八つ当たりか。んなら正当防衛って事で。


「えいやっ」


バシッ、ギュル、ズドンッ!!


「ごぼぁあっ!」


教室に重低音が鳴り響くと同時に変態…もといタケヤマさんが地面に叩き付けられ吹き飛んでいった。周りからは拍手が聞こえてくるんだけど……やりすぎたかな?


因みに今の手順は、


1、相手の腕を掴み、


2、体重移動で回転させ、


3、投げ飛ばしてぼーん!


この技は通称

「扇風機地獄」(サクラ命名)と呼ばれている。まぁ呼んでいるのはサクラだけなんだけど……。


「い……今のは…効いた…ぜっ」


タケヤマさんが真っ白に燃え尽きたか…でもあの人の事だ、どうせ明日になったら元通りになってるんだろうなーめんどくせっ。


「カオルーさっさと帰ろーぜー」


と、このタイミングで俺の友達であるカイトが登場。


「あーららーまたタケヤマさん倒したのかよ?」


「向かってくるのが悪い。こちとら正当防衛だぞ?好きで人殴るかよ」


「ハハハ、そりゃそーだ」


「……ところでカイト」


「んあ?」


「どうしてタケヤマさんは俺ばっかり狙うんだ?」


「いや、俺に聞かれてもなー。やっぱ強いからなんじゃねーの?」


笑いながら適当に答えるカイト。らしいっちゃらしい対応だけどさぁ。


「俺そこまで強く無いって」


「自分の事は自分じゃ分かんないモンだぜ?」


肩バシバシ叩きながら言うのはやめんしゃい。


「でも下手したら妹の方が強いし」


「あーサクラちゃんなー」


ん、流石に苦笑いになったな。


「アレは別、だと思う」


「やっぱりか」


結局俺の強さとやらは正体不明の未知数に認定されてしまった訳で…。


「ま、今度日を改めてまた考えよー!今はただ帰る!!」


「そだな…はぁ」


「どーした?元気ねーなー」


「……色々とね」


……あのさぁ、



俺って結構苦労人?


うん、きっとそうだよね。


でもそんな人生楽しんでます。


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