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─34日目 夢と現実の間で─


『──これから第三学期始業式を始めます』


おはようございます。体育館です。あ、間違えちゃった。サクラです。ただいま始業式の真っ最中です。


『それでは先ず初めに、校長先生のお話です』


始業式は暇です。校長の話って何時の時代も長いもんですから。


『皆さん、お早うございます』


私が愚痴っている間に校長先生がステージの上へ移動していた。どっかの赤い帽子被ったキノコ好きのオジサンそっくりな顔立ちは相変わらずだね。


『おはようございまーす』


『えー新年を迎え新たな気持ちで今年も(略)─であります。おせち料理に出されるおかずにはそれぞれに意味が込められており(略)─つまりは(略)─私も』


長い。こんなに(略)を入れてるのにまだ続くのか。


『正月太りという言葉をよく耳にしますがこれは(略)─すなわちビタミンの偏り及び(略)─昭和時代には』


いい具合に話が正月からズレてきてる気がする。


『人間には百八の煩悩があると言われ(略)─また七つの罪があるとも(略)─かつて古代の』


何か眠くなってきたんですけど………。


こういう時は誰かと話して眠気をどうにかしないと。そう思った私は前に立っているカヨちゃんに小声で話しかけてみた。


「カヨちゃん」


「にゃーに?」


くるっ。と後ろを向いたカヨちゃん。


でも違和感を感じる。


「カヨ…ちゃん?」


「にゃ?」


「どして猫耳なの?」


カヨちゃんの頭から猫耳が生えていました。


「だって猫だもん♪」


よく見たら耳だけじゃない。両手足、尻尾まであります。毛並みは白です。ほっぺからは猫特有のヒゲも伸びてます。


可愛すぎです。てかヤヴァいです。私の小宇宙が萌えております。


「で、どうしたのかにゃ?」


「いや、校長の話で眠くなったからカヨちゃんと話そうかなー、と」


「そうだったんだねー」


「でも今のカヨちゃん見てたら完全に目が覚めたよ」


「?にゃんでー?」


アナタがそんな状態だからです。


「教えてくれにゃいか…にゃらチアキちゃんに聞いてみよう。チアキちゃんはどう思う?」


私の後ろにいるチアキちゃんに聞くカヨちゃん。ああ尻尾掴みたい耳触りたい肉球ぷにぷにしたいって何考えてるんだ私は。


「さぁ?私にも分からないわね」


そんな私を尻目にチアキちゃんがカヨちゃんに向かって返答する。


でも違和感を感じる。


「まさか………?」


くるっと。私が振り返ってみると、


誰もいなかった。


「どうしたのよサクラ?」


でも声はする。


下の方から。


………下の方から?


目線を下の方にやってみると。


「なによ?」


リスがいた。


正真正銘のリスがいた。


「えーっと…………チアキちゃん、なの?」


「当たり前でしょ」


クッキーを前歯でカリカリ食べながら言われても。


「で、サクラ。何で眠気が覚めたのよ?」


「リスが喋ってるからです」


もー目がギンギラギンにさりげなく状態です。


「はぁ?何言ってるのよアナタは。この世界中どこを探しても喋るリスなんかいないわよ?」


「だよね」


だから驚いてるの。喋るリスが小学校の体育館にいるんだから。


「あれ?」


「どうしたのチアリスちゃん」


「何なのよその呼び名は?」


「や、見ててなんとなく」


リスだしねぇ。


「んでどうしたのさ?」


「校長が居ないわ」


「え?」


チアリスちゃんが見ているのと同じ方向を見てみると、確かにステージには誰も居なかった。


「どこに行ったんだろ?」


辺りを探してみる。


探して……。


「…いた」


赤い帽子を被ってキノコ食べてる。


「イャッフー!!」


叫んでるし。


「トゥイントゥイントゥイン♪」


緑の土管出入りしてるし。


「あー亀殺してぇ…」


危険な性格してるし。


『カメー♪』


「!?」


突然周りの皆が大きな甲羅を背中に装備して鳴き出した。

『カメカメー♪』


「お、おおお〜…」


一列になって校長向かって歩きだした。


「上等だ腐れタートル共!一匹残らず踏み潰してやらぁ!!」


校長殺る気マンマンだし。


「うらー!」


『カメー!』


「あーあー……」


校長が生徒達を踏んでる…画としてどうなのコレ?


「さぁ君も一緒に!」


「ほえ?」


何かカメカメ軍団に両腕抑えられてるんですけど私。


「恥ずかしがる事はない!」


「え、ちょっと」


背中に甲羅設置されてるんですけどっ。結構重いしっ。


『君も一緒に!!』


校長の所まで連れて行かれてるんですけど!


『カメカメカメカメ』


「うるさいよっ!」


「サクラにゃん、諦めにゃよ」


サクラにゃんはやめてよカヨにゃん。でも可愛いから許す。


「カリカリカリカリ」


チアリスもクッキーばっか食べてないで助けてよ!リスだから無理だと思うけど!


「よぉ」


「あ……」


そうこうしてる内に校長が真ん前に…。


「覚悟はいいかぁ!」


校長が思いっ切りジャンプした。ってか高っ!


「あわわわわ!誰か、誰か助けて!カオル兄ー!」


「マンマミーアー!!」


「うにゃああああああ!!」





『─以上で本日の話を終わります』


「はわっ!」


そこで目が覚めた。


「夢……か」


立ったまま眠ってたのに寝汗びっしょりなんですけど。


「でも夢で良かったー」


「ほう、どんな夢だったんだ?俺にも聞かせてくれよ」


「いいよ。先ずカヨちゃん……が?」


きりきりきりとぎこちなく首を後ろに回すと、仁王立ちした副担任の亀山先生がそこに居た。そっか、先生今日は休みなんだっけ。


「カヨが…どうしたんだ?」


「あ、あの〜……」


『以上で始業式を終わります。担任の先生の指示に従って教室に戻って下さい』


「よーしお前ら先に教室行ってていいぞ。俺は高橋と話があるからな」


「え、いやその……みんな!私を助けて」


『はーい。先に戻ってまーす』


「薄情者!裏切り者ぉ!!」


「さー職員室いこーか」


「マンマミーアー!!」


亀なんて…亀なんて…、




大っ嫌いだー!!


こんな校長先生居たら面白いなーとか思いながら書いてた今回。 夢だったのが実に残念です笑     マンマミーアー!!

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