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─32日目 アッチとコッチの境界線─


「♪〜」


「…ご機嫌だねカオル兄」


「妹よ、口笛吹いただけで引いてるのは何故だい?」


「珍しかったもんで驚いた。あと違和感がある」


俺だって口笛くらい吹きますよ。カオルです。実は少しご機嫌だったりもします。


「ほらやっぱり」


「心の声を読むな」


という訳でサクラです。本日も私が語り部です。昨日に引き続きカオル兄ざまぁ。


「で?何があったの」


よくぞ聞いてくれた!という表情をするカオル兄。多分大したことじゃ無いと思うけど。


「今日は俺の好きな番組がリニューアルして放送を再開する日なのだよ!」


「うげ」


「なんだよその反応は」


「カオル兄さ、いい加減その妙な癖を直そうよ」


「面白いと思ったものを見て何が悪い」


「はぁ…その事知られたら皆にオタクだって誤解されるよ?」


「何でそうなるんだよ。別にソッチの皆さんが好きそうな番組を見てる訳じゃ無いだろ?」


「そーだけど……」


説明しよう。


カオル兄は昔からある癖があります。『あるほんのごく一部の物にハマる癖』です。どんな癖かって?文章通りの癖です。むしろ症状です。


「病気みたいに言うなよ」


うっさい。でもカオル兄のこの癖はアニメだけに当てはまる物では無いのですよ。ドラマもしかり、マンガもしかり、その他諸々もしかり。とにかく一度ハマったらとことんハマります。




…そこの君、『そんなの普通じゃね?』とか思わなかった?


ちっちっちっ。甘いね。グラニュー糖を振りかけた角砂糖ぐらいに甘い。


「因みにグラニュー糖も砂糖も同じだぞ」


はい不必要フォローありがとね。カオル兄が一度ハマるとそれに関する資料を自分で作成・編集してファイルを作っちゃうんだよ!こんな事しないでしょ普通?てかしないで。ご家族が心配するよ?


結論を言うと、この私がここまで長々と喋るくらいカオル兄は重症ってこと。分かった?


「そんなに言うほど喋って無いと思うぞ?」


「私からしてみれば約32行も喋っただけでも上等だよ」


「行って何だ行って」


「細かい事は気にしない。とにかくその癖直してよ、妹として恥ずかしい数少ない点の一つなんだからさ」


「幾つもあるような言い方されてお兄ちゃんしょっくだよ……」


「落ち込むヒマがあるなら癖を直せー」


「直す気は無い」


「えー」


「当たり前だろ?誰かに迷惑かけてる訳でも無いんだし」


「私が恥ずかしい思いをしても良いの?」


「…じゃあ聞くが、何も知らないちゃらんぽらんな兄と、色々知ってる博識で役に立つ兄、どっちがいい?」


「断然後者」


「四字熟語みたいな返答をありがとう。つまりそういう事。それに俺はそんな登場するキャラにアブナイ感情を抱くような事もしないし、そんな道に走る気もさらさら無い」


「あ、そうなんだ?」


「ついでに聞くけど、お前は俺がどういう目的で見てると思ってた?」


「カオル兄がさっき否定したようなのが目的だと思ってた。あとそこに公の場では言えないような何かを」


「ストーップ!サクラ、お前はその公の場では言えないような何かが何かを知ってるのか!?」


「知らにゃい」


「ならよし!あーよかったー……」


何故か凄く安心した様子のカオル兄。フン、小学生の知識量をなめるな。


「あ、そーだ」


「?」


こんな時でもぴこーん♪と閃くのが私の頭。すごいでしょ。


「カオル兄。今まで作った資料で一番私に分かりやすいの貸して」


「ん?良いけど…何に使うんだ?」


「カオル兄の現状把握」


「?」






─数分後。


「ほら。これなら分かるだろ?」


そう言ってカオル兄が私に渡してきたのは……。


「算数?」


表紙に算数と書かれたファイルだった。


「俺が小学生の時に作ったヤツだよ」


「…算数にハマったの?」


「数字とか見続けてたら興味出てきてな。小学生に可能な範囲で調べてみたんだ」


「成る程。じゃ借りるねー」


「おう。ってドコ行くんだよ?」


「ちょっと検証。いってきまーす」


「い、いってらっしゃい……何する気だアイツ?」











─場所は変わってカヨちゃん家。


「お待たせー。ゴメンね急に」


「サクラちゃんいらっしゃーい」


「私も呼ばれたから来たけど…一体何なのよ?」


「実はさ、コレを見て貰いたくて」


ごそごそと鞄を探りファイルを取り出す。


「なにこれ?」


「カオル兄が小学生の時に作った算数のファイルだよ」


「へー。これを私達に見せたかったの?」


「うん。とにかく見てみてよ」


「「どれどれ…」」











─30分後。


「…………」


「…………」


「どうだった?私も見たんだけど正直よく分かんなくて」


「これはー……」


「ねぇサクラ……」


「およ?」


「ハッキリ言える事があるわ……」


「そうだねー」


「え、何?」


「この時のカオルさんは小学生の頭じゃ無いわね」


「うん。フェルマーの最終定理についてのレポートも書いてるしねー」


「ふぇるまー?」


「世界で一番難しい問題よ」


「へー。じゃスゴいんだね」


「「いや、ここまでいくと恐い」」


「へー…」











「ただいまー」


「おかえりー」


「ねぇカオル兄」


「ん?」


「恐いってさ」


「……はい?」




こんな人だけど、れっきとした私のお兄ちゃんです。


読んでればアッチとコッチがドッチかは判ると思います…が、小学校時代のカオルがカオスに(笑) 今現在は私にも想像がつきません(^^;

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