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─26日目 大晦日だよ4人集合─


「ごーん…」


「…何の音?」


「除夜の鐘」


「イヤまだだから!」


今年も残すところ一日となりましたねー、カオルです。冒頭の除夜の鐘的な音の発生源はウチのちんちくりんな妹なので勘違いしないで下さい。


「ごーん…」


「紛らわしいからやめい!」


「だってヒマなんだもん」


「なら俺を手伝えよ!」


今日はサクラのお友達が来るという事で四人分の年越しそばを作らされています……。


「そばを啜る体力は温存せねばー」


「おいっ!」


「安心して。カオル兄の分もだらだらしとくから」


「…お前は俺のやる気を無くさせたいのか?」


「だらだらー」


他愛のないやり取りをしながらそばを作っていく俺。一からやるのって結構難しいんだよコレが。


そしてそばを切り分けていると家のチャイムが鳴った。とととん。


「サクラ。来たみたいだぞ」


「ほいほーい」


少し手が離せなかったのでサクラ一人に行かせた。ととととととん。


「おーいらっしゃーい」


「こんばんわー」


「こ、こんばんわ!」


玄関の方からサクラ以外の二人の声が聞こえる。一人はカヨちゃんだと解ったがもう一人は……とととととととととととと。


「“と”ばっかで見辛いわ!」


はっ!何言ってるんだ俺!?てかいつの間にか切り終わってる!


「連れて来たよカオル兄」


と、俺が驚いている間にサクラ達が居間に戻ってきた。


「こんばんわーカオルさん」


「カヨちゃんいらっしゃい。で…そっちの娘は?」


カヨちゃんの隣にいる…何でかは知らないが顔を真っ赤にしている娘に目をやる。


「は、初めまして!サクラ達のクラスメイトのチアキです!」


「あ、ああ初めまして。サクラの兄のカオルです」


ぶおんっ!と効果音付きのお辞儀をされながらの自己紹介だった。でも、それよりも俺が気になっているのは……、


「あの…チアキちゃん?」


「はい?」


「靴下…左右で違うのはわざとなのか?」


「え」


皆がチアキちゃんの足に注目すると、確かに右は赤のチェック柄、左はピンクのハートが散りばめられた靴下と、左右不対称なのは明らかだった。


「あ、間違えたわ」


「カオルさん。チアキちゃんは見ての通りおっちょこちょいなんです」


「俗に言うドジっ娘なんだよ。ねーチアキちゃん?」


「し、知らないわよ!私だって狙ってしてるんじゃ無いんだから!」


サクラとカヨちゃんにからかわれるチアキちゃん。でも見た目はしっかりしてそうな娘なのに……人は見かけによらない、か。


「あ、もう出来てるんですねーおそば」


カヨちゃんが台所を覗きながら言った。サクラはまだチアキちゃんを冷やかしている。


「うん。後は茹でるだけだから何時でも食べられるよ」


「海老もあるよ。カヨちゃん好きだって聞いたから」


「ホントですか?」


「ちゃんと人数分揚げといたいたからね。他にも幾つか」


「わ、私はかき揚げがいいです!」


ぴんと手を上に挙げたチアキちゃんが言った。


「ありますか?かき揚げ!」


「い、一応作ってあるけど」


「ありがとうございます!」


そんなにかき揚げが好きなのかチアキちゃん?


「と、とりあえず皆コタツで待ってなよ。後で持っていくから」


「「はーい」」


「早めにねカオル兄」


「なら手伝え!」






結局サクラが手伝う事は無く、全部俺一人で準備した訳で…。


「はい、出来たぞー」


テーブルにそばと揚げ物が入った丼四つを並べる。


「遅いよカオル兄」


「…そろそろ怒っていいか俺?」


「わーおいしそー」


「ホントね。かき揚げも」


「チアキちゃんってかき揚げ好きだったっけー?」


「特別好きって事もないけど?」


「え、そうなの?」


意外だった俺はつい聞いてしまった。さっきのあのリアクションからして好きそうだったのに……。


「?はい、そうですけど…」


…何でまた顔真っ赤なのさ。


「チアキちゃん顔赤いよ」


「へ!?」


サクラに指摘されてチアキちゃんはようやく気付いたらしい。両手で頬押さえてるし。


「暖房効きすぎだったかな?」


「そんな事ないですけどー…」


「チアキちゃん風邪?」


「引いてたら来てないわよ!と、とにかく食べましょうカオルさん!」


「え?ああそうだな。じゃあ」


チアキちゃんに多少強引に促されながらも俺達は手を合わせ、


「「合掌」」


サクラとカヨちゃんがボケて、


「「なんでやねん!!」」


俺とチアキちゃんがツッコんだ。流行ってるのか合掌?


「ずずずずずずー」


「もう少し静かに食べなさいよ!」


「おいしーです」


「そう?良かったー、最初から作ったの久々だったから不安だったんだよ」


「え…最初からって」


「麺も自分で作ったんですかカオルさん!?」


「チアキちゃん…先ずは落ち着いてかき揚げを食べきろう」


「さくさくさくさく!美味しいです!!」


「ん、ありがと。あとさっきの質問だけど俺が全部作りました」


「そば粉使ったんですかー?」


「今回は使ってないよ。ってかよく知ってるなカヨちゃん」


「前にやってた料理番組で『そば粉を使うなんて邪道よ!滅べばいいのよ滅べば!!』って言ってたのを聞いたのでー」


「そ、そうなんだ…」


にこーっとされながら言われても……。


「ずず、ずずずずー。ずずず」


「ん?サクラ何か言った?」


「ああ、『あと、天ぷらも全部揚げてたよ、確か』って言ってるんだよ」


「へぇ…って何で解ったんですか!?」


「何年コイツの相手してると思ってる」


「…なるほど」


納得してくれて有り難うチアキちゃん。


「兄妹のテレパシーですねーずずずず」


「ずずずず?」


「ずず」


「ずっずー」


「ずずずず」


「「ずずずずずずずずずず」」


「うるさいわよ!!」


サクラはともかくカヨちゃんもわざと鳴らして…行儀とか注意した方がいいんかね?


まぁ言ってることは大体解るし俺は良いんだけどね。ずず。


「ずずーずずずずずーずずずずず」


「何が言いたいのよカヨ!?」


「おーいそろそろやめとけ。床にこぼれたら面倒だから」


「「はーい」」


「無駄に素直ね!?」


「作った人には逆らえないよ」


「ごちそうさまでしたーカオルさん」


「お粗末様でした」


「……慣れてますねカオルさん」


「ん。一々反応してたらキリがないからね」


チアキちゃんが代わりにツッコんでくれたのもあるけど。




それから俺達はテレビ(紅白歌合戦)を見ていた。


『ボ〜ニョボ〜ニョボニョ酒屋の子〜♪』


「何でこんな曲がヒットしたのかね」


サクラの言葉にうんうんと頷く俺達。


『わたしの〜お墓の〜ま〜えで〜炊かないでください〜♪』


何をだ。


『あなた〜追ってウィドゥモダキ〜♪』


何処だよ。


『あの肖像画〜まるで鯉だね〜♪』


失礼極まりねぇ。


『が〜んばれ日本!つ〜よいぞ日本!頭の……日本〜♪』


何故黙る。






─数時間後、無事?紅白歌合戦も終わり、今年も残すところあと15分となった。


「ぐぅ」


「すぅ」


「すやすや…」


「…予想はしてたが全滅とはな」


三人娘も小学生。普通ならとっくに夢の中だ。


「さて…あと数分か」


静かな部屋に秒針が進む音がいつも以上に大きく聞こえる。カチ、カチ、と。


…そして


「あと十秒」


心の中で一人、俺はカウントダウンを始める。


誤解されてるかも知れないが寂しくはない。


眠ってはいるけど…俺の目の前には家族がちゃんといる。


それだけで十分だから─。


ゴーン…。


「あ、除夜の鐘…」


「「「あけましておめでとうございます」」」


「うわぉい!?」


鐘の音と共にサクラ達がイキナリ蘇生した。


「さっきまで寝てただろお前ら!?」


「鐘の音が聴こえたから」


「私もー」


「私もです!」


この娘らの脳内はどうなってるんだろう?と本気で思った俺だった。


「今年もよろしくね」


「よろしくお願いしますねカオルさん」


「私は寧ろ今年からよろしくお願いします!」


「はい、こちらこそ宜しくね」




今年も騒がしい一年になりそうだ。でも、


「よーし今日は初詣だー!」


「いえーい」


「眼が半開きよ二人共!?」


「…チアキちゃんもね」




面白い一年であるのは確かなものだと、


俺は心から思えた。











俺やサクラの周りに何時もいてくれる人々に感謝しながら、



「ぐぅ」


「すぅ」


「すやすや」


「すぴー」


……初夢へと旅立った。











──今年一年も宜しくお願いします。


皆さんにとっていい年でありますように……。











すぴー…。


1ヶ月という短い間でしたが、この小説を一度でも読んでくれた方、何時も読んでくれてる方、本当に有り難うございます!m(__)m これからもできる限りは書き続けるつもりです!作者である私が来年は受験シーズンに突入しますが、前半年位は続けたいと思ってます。場合によっては受験が終わってからまた書き続けるかも知れません! こんな中途半端で未熟な私ですが、今年一年も宜しくお願い致します!!(^^# それではよいお年を!

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