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─25日目 一度でいいから見てみたい─


「今日こそは!今日こそは!!」


「気合い入ってんのは解ったけど…どうした?」


やーやーカオルです。家の大掃除もある程度済ませて一休みしている所です。はー茶がうまいねぇ…。


「休んでる場合じゃ無いよカオル兄!」


そんな俺に言ってきたのは当然ながら妹のサクラ(掃除仕様)でした。


「自分の部屋くらい自分で掃除してくれよ」


「そうじゃないよ!最初にやったもん!」


「じゃあ何だよ?」


俺が軽く聞くとサクラが深刻な顔をした。居間に妙な空気が流れ始める。


「実は…」


ゆっくりと口を開き…、


「三階へ行ってないの!」


「は?」


その空気を見事なまでに粉砕した。


「三階行ってみたいの!一回行ってみたい!!だから今年もやるの!!」


「またそれかよ…」


…えー、何三階行きたいとかってダダこいてんだこの小娘は。…とか思ってる人の為にも説明しておこう。


前にもどっかで話したように、俺達の家は三階建ての一軒家だ。その内二階までは普通に使ってるんだけど…三階だけが封鎖されてて行けないようになっている。部屋だけじゃ無くて階段も、だ。因みに三階までの階段は無駄に長い。


過去にサクラが何度か挑んだんだけど…。小学生になってから毎年チャレンジしてるのに懲りないんだよこれが。


解りやすいようにその時の様子をレッツ・リプレイ。






─1回目。サクラ小学一年生。


『やめといた方がいいぞサクラ』


『やだ!わたしみたいんだもん!』


だだだだだ!


『わっ、待て!』


ヒュッ。バチッ!


『ぴぎゃっ!!』


ごろごろぽてん。


『一段目の隅が開いてサクラの顔面にハリセンが…』


『うぅっ……いだいよぉ〜〜!!おにいぢゃーん!!』


『よしよし、痛かったなー。だから止めたのに…』


『だっでぇ〜!えぇ〜ん!!』


『あぁっもう泣くなって!よしよーし…』






─2回目。サクラ小学二年生。


『こんどこそ!』


『またか?去年も無理だったろ?』


『でもやるの!』


だだだだだ!


ヒュッ。スカッ!


『お、ハリセンは屈んで避けたか』


パカッ。ボシュッ!


『みぎゃっ!』


ごろごろぽてん。


『どこからともなくロケットパンチ…恐ろしい』


『うぅっ…うえぇ〜〜〜ん!!』


『よしよし、ハリセンはちゃんと避けたのに惜しかったなー』


『ごんどばがんばるもん〜!』


『鼻声で言ってる事あんま解んないけどもうやめとけ』






─3回目。サクラ小学三年生。


『今年こそ!』


『まだやるのかよ…』


『見れるまではやり続けるよ!』


だだだだだ!


ヒュッ。スカッ!


『うん、避けた』


パカッ。ボシュッ!


『ふっ!』


スカッ!


『おおこれも!』


ピピッ。


『ターゲット、捕捉シマシタ。迎撃シマス』


『『え』』


キュイッ。ヒュボボボボボ!!


『にぎゃおっ!!』


ごろごろぽてん。


『階段の上から無数のロケット花火か…って何感心してんだ俺!?』


『ぷすぷす…』


『おーいサクラー?生きてるかー?』


『どっかーん…』


『…ダメだこりゃ』






─そして現在に至る。これらは全て大掃除の日に行われている。サクラ曰くその理由は、


『大掃除の日にしか三階の存在を思い出せないから』だそうだ。ほら、日頃使わないしさ。最早忘れられた存在なんだよ。


「とうとう今年も来てしまった…この魔の階段に!」


「何時から付いたそんな名前」


「3秒前」


「そうですか」


「今年の私は去年とは違うトコを見せてやる!」


ゴゴゴゴゴゴ…と効果音を鳴らしながら妙な色のオーラを纏うサクラ。


…あ、皆さん御安心を。ゴゴゴってのはドライアイスの溶ける音、オーラはドライアイスが溶けて発生した二酸化炭素ですから特に害はありませんしこの娘がそっち系に目覚めた訳でもございません。妙な色は白色ね。


「あーもう邪魔!」


足元のドライアイスを蹴り払うサクラ。


「自分で用意しといてそれは無いんじゃない!?」


「いざ尋常に!」


俺は無視ですかああそーですか。


「やあぁぁぁ!」


だだだだだ!と勢いよく階段へ向かう。毎回思うけど助走って要るの?なんて呟いてる内にハリセンが飛び出した。


ヒュッ。スカッ!


「うん」


これはもう想定内。そして次はロケットパンチ。


パカッ。ボシュッ!


「なんの!」


スカッ!


「うんうん」


ここまでは問題無し。あるとすれば次だな。


ピピッ。


『ターゲット、捕捉シマシタ。迎撃シマス』


キュイッ。ヒュボボボボボ!!


やっぱり無数のロケット花火が飛んできた!さぁどうするサクラ!?


「はぁっ!」


む、右手で払って脚で蹴り上げて後は避けて…


「全部こっちに飛んできてる!?」


「カオル兄ガンバ!」


「親指立てながら言ってる場合か!?」


サクラは階段を登り続け、俺は花火を全て殴り落とした。拳は痛むけど家が焦げるよりマシだと思ったし。


…え。俺って凄いの?


「みぎゃぁぁぁぁぁ!!」


ごろごろぽてん。


「……ん?」


そうして花火の相手をしてる間にサクラが足元に転がってる。


「びびびびー……」


「……電流、か」


階段の上の方の段を見てみると、端に小さく「でんじゃー♪」と可愛らしく書いてある。その内容は何も可愛らしくは無いけど。


「ら…こんどこそ、は……がくっ」


「お悔やみ申す。さてと…」


サクラが気絶したのを確認した俺は三階を見てみる。


「いくら何でもやりすぎだよ……母さん」


苦笑せずにはいられなかった。これらのトラップは全て母さんが作った物だからだ。あの人、トラップ作るのが趣味で……。


「…どんだけ三階見られたくないんだ?」


俺も三階に行ったことはあまり無い。だから知っているのは両親の部屋と使われてない部屋がある事くらいだ。


「何か気になってきたな」


今度挑戦してみるか。掃除もしたいし。


…来年まで気が変わらなかったらだけど。




明日は大晦日、サクラのお友達が来て一緒に年を越すらしい。明日くらいは何も起きないで欲しいな。



「びびび…」


「………」


…起きない方が不自然か。




はぁ…………。


うーん…後半がグダグダになった気がする…(^^; 今年もあと二日、平和に暮らしたいものですね(笑)

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