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─24日目 はきはき─


はきはきはきはき。あ、この音は箒で教室掃く音ね。


遅くなったけどお早うございます、サクラです。今私は学校にいます。はきはき。


何で学校に来てるかって?それは私の台詞だよ。はきはき。


だって終業式の日にしなかった分の大掃除とか何なのさ?嫌がらせ以外考えらんないじゃん。はきはきはきはき。


「サクラちゃん、ずっと同じとこ掃いてるよー?」


「ほえ?」


あらら、掃き続けてた場所とその周辺だけがピカピカに。只の箒なのに…もしかして私の中の隠れざる才能が!?


「それは無いと思うよー」


「あ、そう?」


私声に出してたっけ?まぁいいや。


「にしても年末なのに学校で大掃除ってねー」


「虚しいよね、一乙女としてさ」


「じゃあサクラちゃんは彼氏とか欲しいの?」


「そんなの要らないよ。邪魔だし。カヨちゃんは?」


「私もいいかなー。財布代わりとかなら考えなくもないけど」


「…カヨちゃんって現金な所あるよね」


「世の中金だからねー」


にこにこされながら言われても…この娘ならホントに男を財布代わりに使いそうだから余計怖い。実際カヨちゃんモテるし。


「ちょっとそこの二人!」


と、私達の会話に参戦してきた子が。


「今は掃除中なの!先生が居ないからってサボらないでくれる?」


ゴミ袋片手に言ってきたその娘は、私達が手を休めて喋っていたのが気に入らないご様子。えーと、名前何だっけ?


「ごめんねチアキちゃん。もうしないから」


あーそうそうチアキちゃんだ。同じクラスなのにすっかり忘れてたよ。カヨちゃんナイス!


「全く…サクラはともかくカヨまでサボるなんて」


「ちょいと待たれよ。何?その差別的発言は」


納得のいく説明をしてもらおうじゃないの。


「差別じゃなくて区別よ」


「あ、そうなの?なら良いけど」


納得した。


「それでいいの!?」


「うん」


だって人それぞれって言うし…ねぇ?


「…アナタの考え方が解んないわ」


「まーまー。サクラちゃんはこういう娘だから」


「それは解っちゃいるけど」


「えっへん」


「何故いばる!?」


「なんとなく」


「理由になってないわよ!」


「あははー♪」


「カヨも何故笑う!?」


「なんとなくー」


「またそれか!!」


「…お前ら掃除しろよな」


気が付くと私達の後ろに、詳しく言えば私とカヨちゃんの後ろ、チアキちゃんの真正面の位置に先生がいた。


「先生いつの間に?」


「たった今だ。返事は?」


「「「…はい」」」


という訳で掃除再開。はきはき。


「ねえサクラ、その『はきはき』って何なの?」


「ほうきの音だよ」


「え、ほうきって『サッサッ』とかじゃ無いの?」


目を丸くしながらチアキちゃんが言う。


「ほうきは掃くものでしょ?だから『はきはき』」


「分からなくは無いけど…」


「常識に捕らわれてたら面白くなくなるよチアキちゃん?」


「アナタ程面白い人間になりたいとは思ってないわよ!」


「私からすれば、よいしょ。チアキちゃんも、んしょ。十分面白いけどー?」


机をんしょんしょ、と運ぶカヨちゃん。可愛いのぅ。


お、そう言えばカヨちゃんとチアキちゃんは昔からの知り合いなんだとか。いわゆる幼なじみってやつね。


「面白いとか言うな!」


何かを誤魔化すように床のゴミを掃くチアキちゃん。


「チアキちゃん、そっち逆だよー?」


「え?あ、間違えたわ」


「たまにおっちょこちょいな所があるのは相変わらずだよねー」


「う、うるさい!これでもマシになったのよ!」


「そうだねー。昔なんてプールの授業に」


「それ以上言うなー!!」


…昔のチアキちゃんはどんなだったのかな?と少し気になる私がいたりいなかったり。


「図工の時も確かー」


「わーっ!わーっ!!」


…壮絶だったんだね。






─数十分後。


「よーしこれで大掃除終了!帰っていいぞお前らー。来年も面白い一年にしろよー?」


『はーい!』


「先生。それを言うなら『来年も良い年を』とかじゃないの?」


「じゃーサクラ。何も起きないが良い一年か、色々起きて面白い一年。どっちがいい?」


「面白い一年です」


「そういうこった。お前らはまだ小学生なんだから、人生楽しんでナンボの年齢。良い年とかってのは大人になってからでいーんだよ」


「ほうほう。つまり大人は悲しい生き物だと」


「その通り。だから今の内に人生を楽しめ!」


『おー!』


「それから僕は悲しい大人なんかじゃ無いからな!」


『知ってまーす』


「なら良い!解散!!」


『さよならー』


私のクラスは何時もこんな感じだ。全員で約30人。普通でしょ。変なのもいるけどね。


「アナタが言うな!」


「チアキちゃんどうしたのー?」


「よく解んないけど言わなきゃダメな気がしたのよ」


「何それー?変なのー」


「カヨに言われたくないわよ!」


「二人って仲良いね」


幼なじみだし当然か。


「ただの腐れ縁よ」


チアキちゃん…顔を少し赤くしながら言われても。


「私腐ってないよー?」


「そういう意味じゃないわよ!!」


「あ、そだそだ。カヨちゃん大晦日開いてる?」


「人の話を聞け!」


「予定はあるよー。カオルさんのそば食べにいくの」


「や、それを誘おうと思ったんだけど」


「じゃあ決定だねー。私とサクラちゃんとチアキちゃんで年を越そー」


「へ?何で私まで入ってるのよ!?」


「カオル兄には私から言っとくね」


「お願いねー」


「ちょっと聞いてる!?」


「まーまー、私達以外にあまり友達がいないんだし良いでしょー?」


「失礼すぎないそれ!?大体合ってるけどさ…」


「よしよし、もう寂しくないからねー」


「同情するな頭を撫でるな!」


カヨちゃんの手を払いのけ髪を整えるチアキちゃん。だから顔真っ赤だって。


「ま、まあアナタ達がどうしてもって言うなら…行かない事も無いけど?」


「じゃいいよ。カヨちゃんと二人で」


「行くわよ!行きゃあいいんでしょ!?行かせてもらいます!!」


「顔が真っ赤だよチアキちゃん」


「赤いねー」


「うっさい!」


ふっ、勝った。…およ?


「ゴミ捨てにいかなくていーの?」


「あ、忘れてたわ」


「やっぱりおっちょこちょいだねー」


「ほっといてよ!!」











こうして新たなメンバー、チアキちゃんを含めた私達三人は、そばを啜りながら年を越すことになったのでした。


え?カオル兄に言わないで勝手に決めていいのかって?


私が言ったら決定なの!











─その頃。


「へっくしょ!…風邪かな?」


…頑張れ、カオル。


「へっくしょい!…今の声誰だったんだろ」


気にしない気にしない。


「へーっくしょい!!」


家で大掃除したら懐かしい物が奥からじゃんじゃん出てきました…何か楽しかったです(^^ 新たな気持ちで迎えるつもりが昔を思い出してて…ダメだな私

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