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─21日目 クリスマス・パーティー(後編)─


えーどもども、前回に引き続きカオルがお送りしますよっと。


今俺達は我が家でクリスマスパーティーとやらをしてる最中ですよっと。


で、会長が自分で差し入れに持ってきたジュースを入れに行ってまだ帰って来ませんよっと。


「カイトさん!」


そんな中ですね、サクラがイキナリ立ち上がったんですよ。


「あいよ?はふはふ」


お前もいい加減熱さに慣れなさいよ。


「これあげます!」


ばっ!とカイトに差し出されたのは…


「……くし?」


プレゼント用のリボンが付けられた櫛だった。


「櫛だったら毎日使うし、貰っても困らないと思ったから!」


「イヤ、何くれても困らないんだけどな、はふはふ。とにかくありがと、サクラちゃん」


「ごっちゃんです!!」


「何故俺に突っ張りを!?」


「きっとサクラちゃん嬉しいんですよー。ねー?」


「どすこいどすこい!!」


「ほらー」


「痛い痛い!それよりカイト」


「ん?おぉあれか」


この理不尽な突っ張りを避けるべく例の物をカイトに用意させる。


「ほいっと。これサクラちゃんとカヨちゃんにプレゼントな」


カイトのポケットから取り出されたのは、ラッピング頑張る施された二つの小さな箱。


「え」


「ホントですか!?」


「ホントですよー。はい一つずつな」


カイトが手渡すとサクラは勿論喜び、カヨちゃんは状況を掴めないでいたようだったので俺が説明した。


「自分だけじゃ受け取らないと思ってさ、カヨちゃんの分も俺が買っといたんだよ」


サクラには聞こえないように小声で伝えると「なるほどー」と小さく呟き、


「カオルさんありがとー」


カヨちゃんに何時もの笑顔でお礼を言われた俺は、何だか自然と幸せな気分になれた気がした。


…言っとくけど俺は正常だからな?頼まれた事をやった達成感とかもあるしさ。そうなっても可笑しく無いだろ?


え。何を頼まれたかって?それは……、






─数日前。


自分の部屋でのんびりしてると携帯に電話が掛かってきた。


「ん、知らない番号…?まぁいいか。もしもーし」


『もしもしカオルさん?カヨですけど』


「おーカヨちゃんか、元気だった?」


『はい。いつもサクラちゃんと一緒なのでー』


「…何かよく分からない理由だけど元気そうで何よりだよ。ちょっと待ってね、今サクラ呼ぶから」


『すとーっぷ。サクラちゃんは呼ばないで下さい。今日はカオルさんに用があるんですー』


「俺に?」


『はい。そうじゃないとカオルさんの携帯に掛けませんよー』


「それもそうか…ってカヨちゃん、何で俺の番号知ってるの?」


『ちょちょいと調べましたー』


「調べたって…」


たまにこの娘を本気で恐ろしく思うよ。


『で、用事なんですけどー』


「え?ああ、そうだったな。何?」


『今度のクリスマスなんですけど、カイトさんって人来ますよねー?』


「うん。サクラが呼べって煩かったからね」


『じゃあカイトさんにサクラちゃんへプレゼント買うように言っといて下さい』


「プレゼント?」


『はい。サクラちゃんもカイトさんにプレゼント買ってるんで、ちょうど交換って形になるし良いと思うんですよー』


「いつの間に買ってたんだろ…」


『お願いできますかー?』


「ん、わかった。早い内に言っておくよ」


『ちなみにカオルさんの分は…』


「…ぇ。俺の分が、何?」


『じゃー頼みましたよー』


「いやいやカヨちゃん待って!俺の分がどうしたの!?すんごい気になるんだけど!!」


『ぷつっ』


「…切れた。くそぅ」






…みたいな感じで俺はカイトに頼んでプレゼントを買わせた。カイトも元々買うつもりだったらしく、快く了承してくれた。とにかく上手くいって何よりだ。


「おーい入れたぞー!!」


あ、物思いにふけてたらやっと会長がジュースを持ってきた。俺は缶でいいって言ったのにわざわざ入れ換えて…。


「ほら。好きなの飲め」


用意された5つのグラスにはそれぞれ赤、紫、黄、緑、白の液体が注がれている。


うん、正直怪しい。でも折角持ってきてくれた物に対してそんな事を言うのもアレなので黙っておく。


「どもどもー」


「いただきまーす」


「会長、ゴチっス」


サクラは赤、カヨちゃんは白、カイトは黄色を選び、俺は緑、会長は紫を飲む事に。


「そんじゃあ改めまして!」


全員でグラスをカチンと。


『乾杯!!』


そして皆がぐいっと飲んで。


「ブーッ!!」


俺だけが異変に気付いた。てか吹いた。


「これチューハイだぞ!?」


「おいカオル、吹くなんて汚いだろ」


そう…会長の持ってきた差し入れの正体は、俺達が絶対に飲んではいけない液体、ジュースみたいなお酒で有名なチューハイだった。


「吹くのも当たり前じゃあ!!何でこんなもん持ってきたんだアンタ!?」


「楽しくなると思ってな。その証拠にコイツら見てみ?」


ん?と会長が指差す方を見てみると、


「あっはっはっは!これおいしー!!」


「えへへーかるぴすー♪」


「うめー!うめーな!!うめーよ!!!」


一口目で顔を真っ赤っかにし、既に酔っ払いと化した三人…いや、三匹がいた。


マズい…この展開は非常にマズい!


「おにーちゃんへあたーっく!!」


「ぎゃんっ!」


サクラの突然の突撃により俺は吹き飛んだ。


「きゃははははは!とんだとんだー♪」


ぐ…やっぱり、一番面倒だった頃のサクラにそっくりだ!詳しく言うなら去年の最初辺りまでとかだと思う!


「カオルさーん、うふふ♪」


とか考えてる内にカヨちゃんが目の前まで来てる!


そのまま俺にもたれ掛かってきてってえぇぇぇぇぇぇぇあ!!?


「あははー、今日は寝かせませんですー♪」


いやいやいやいやいやいやこれダメだって色んな意味で!最強に!アルティメットに!目も焦点合ってないしとろんとしてるしさぁ!!てかホントのホントに小学生なのかカヨちゃん!?


「はっはっは!予想を上回る面白さだな!!」


会長がぐびぐび飲みながらも、さも他人事のような感じで言ってきた。


「傍観してないで何とかしてくだひゃい!!?」


カヨちゃんに耳に息を吹きかけられ俺の脳内はショート寸前です!落ち着け俺!いくら可愛かろうと相手は小学生だぞ!取り乱す必要なんて!


「ふー♪」


「わぉぉい!!」


やっぱ無理でした!!


「きゃはははは!!」


ついでにサクラが俺の頭にドロップキック!


「がふぉあっ!」


「あうー」


ダメージはハンパなかったが、おかげでカヨちゃんを引き離す事が出来た。結果オーライだから許す!


「うめーうめー!!」


カイトは完全に崩壊してるし!それとさっきから煩いよお前は!!


「サソリ固めー♪」


「いだだだだだだだだ!!」


段々シャレになんなくなってきてるよサクラ!?


「はっはっはっは!!」


原因なんだから少しは助けて下さいよ会長!!


「三番カヨ、いきまーす♪」


何処に!?そしてなぜ三番!?


「うめー!はふー!」


だから慣れろと言っておろうに!!


「ひっさつわざー♪」


「とか言ってる間に俺の身体が大変な事態に!?うああ待て待て待ってサクラ!話せば分かる!お兄ちゃん相手にそんな当たれば必ず殺せる技なんて使っちゃダメ」


「せーのーっ」


めきょ。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」






そしてこの日の夜、街に一人の少年の叫び声が木霊し続けたのは言うまでもない……。











……えー、


メリークリスマス。


クリスマスパーティーが終わりました、色んな意味で(笑) 『未成年はお酒を飲んではいけません!』みたいな内容のポスターを見てこの話を思い付いたのは、ここだけの話です♪

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