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─17日目 ツッコミ日和─


「なんでやねん!」


「なにがやねん」


帰ってきて早々聞こえてきたのはツッコミの王道、『なんでやねん』。俺はその言葉にツッコミを入れた訳で……。


あ、遅れましたがカオルです。学校から帰ってきた俺をツッコミで迎えてくれたのはやっぱり妹のサクラですよハイ。


「あ、カオル兄おかえり」


「ただいま。で、今のツッコミは何だ?」


「なんでやねん!」


「…せめて会話を成立させてくれ」


「や、昨日テレビで見たからやりたくなって」


「昨日?」


ああ、アレね。ほら、年に一度だけある全国各地の漫才師たちが漫才の頂点目指す番組ですよ。サクラは昨日それを見て大爆笑してたっけ…特にビッグバードー(仮名)とかのネタで。さっきの『なんでやねん!』はその影響だろう。優勝はしてないけど。


「だから漫才をやろう」


「なんでやねん」


こらまた難しい注文をしますな。


「やりたいから」


「んな唐突に言われてもなー…それに漫才って難しいんだぞ?」


「やってみないと分かんないでしょ。ささ、こっちこっち」


そう言われサクラに連れていかれたのはコタツの前。


「外寒かったよね?取り敢えず座って」


あのー。


「漫才の話は何処に行ったの?」


「いいからいいから」


訳も解らずの俺は、言われた通りコタツに入った。はーあったけー……。


「んじゃ始めますか」


その直後、サクラがあるリモコンを取り出した。


テレビのか…?と一瞬思ったがどうやら違う。見覚えの無いリモコンだ。


「何だそれ?」


「ふっふっふー♪気になる?」


「そらもうめっさ気になりますよ」


ボタンが三つだけしか無いって所辺りが特に。


「なら教えてあげよう!」


得意気な笑顔で言ったその後の言葉に俺は驚いた。


「実はコレは……コタツのリモコンでーす!!」


数秒後、頭の中にある台詞が浮かんできた。


「なんでやねん!」


「お、出だしからいいツッコミ。流石だねカオル兄」


「これも漫才の内なのかよ!?ってかそうじゃ無くて!」


「うん。でもコレは本物だよ?」


「なんでやねん!?」


コタツにリモコン!?んなもん普通ねぇよ!聞いたこともねぇよ!!


「口で言うより実際に見た方が早いでしょ。一つめ、ポチッとな♪」


サクラが縦に並んだボタンの一番上を押すと、




ぱかっ。


コタツのテーブルの真ん中が開いた。


「なんでやねん!」




そして、


うぃーん。


そこからマイクが生えた。


「なんでやねん!!」




更には、


かたかたかたかた。


マイクが回転した。


「なんっでやねん!!!」


「因みにボタン一つでそれ全部だから」


「無駄に機能多いなオイ!!」


しかもまだ二つも残ってるなんて!


「続いて二つめいこっか。ポチッとな♪」


今度は何が…なんて思っていると、




ぱかかっ。


マイクの両側が開いた。回転はもう止まっている。


「まだ開くの!?」




うぃーん。


片方からハリセンが生えた。


「…………」




うぃーん。


もう片方から小さな看板が生えた。


『なんでやねん』と書かれている。


……ふぅ。


一息ついてから俺は生えてきたハリセンを掴み取り─


「なんっっでやねんっ!!!!」


看板を根元から折る勢いでスパーン!と叩いてやった。


「今のはちょっと予想外だったね」


「お前も知らんかったんかい!!」


「だってこのリモコン見つけたのは今日だし」


お前もお前でタイミング良く見つかるなよなリモコン!!


「さーラストいってみよー」


まだ…まだ仕掛けが残ってる…そろそろ止めないとコタツがファンタジーな事になっちゃうって!


「ポチッとな♪」


そんな俺の心の声がサクラに都合良く聞こえる筈も無く、最後の…三つ目のボタンが押された。




ぱかっ。


俺の手前の部分が開いた。



うぃーん。


またもや看板が生えてきた。


「……。」


「カオル兄?」


看板をただただ黙って見る俺を不思議に思ったのか、サクラもこっち側へ覗きに来た。


看板に書かれてたのは…、



『続。』


「「………………。」」


黙ったまま自然と目が合った俺達は頷き…、


「「なんっっでやねーんっっ!!!!」」


力の限りツッコんだ。






─その後コタツの妙な装置は全て業者さん達によって取り外され、我が家のコタツはごくごく普通のコタツに生まれ変わりましたとさ。


それと…あの装置は例のデパートの店員さんの粋な計らいで付けられた物なんだとか…。店員め、侮れん。




「はぁー…」


まぁ何はともあれ一件落着…。




…………あれ?


「なんで……」


コタツの金網の所に三色のボタンがあるのかなー?


「……はは」


思わず俺は笑ってしまった。まだあったんだよ?ここまで来たら笑えてくるよ。はははは。


……さて、


「なんでやねん!!」


一応ツッコんだ。放っておいても後味悪いし。






しかし、リモコンと言いこのボタンと言い……、


本当に何が目的だったんだあの店員?






今度会ったら聞いてみるか。



もちろんツッコんだ後で、だけどな。


私の家(実家)ってコタツ無いんですよねー(^^; 狭くて置く場所が無いからなんですけど…何か良い案ないでしょーかー?

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