閑話2-3
本日、閑話二つ。
短いです。
閑話2-3
「あの若造、なんなんだっつーの!」
「まったくっす!広報だか職場見学だか知らないっすけど若い子を連れやがって!」
「いや、そこじゃない」
「えっ!?」
若い同僚に向かって愚痴をこぼしてしまった。
若造が誰を示しているのかは理解しているようだが、自分が怒っている事と違う事で怒ってやがる。
こいつもどうかしてる。
若いからこんなもんか?
いや自分の若い頃はもっとマシだったはず。
ああ、間違いない。と言っても自分だってそれほど歳をくってる訳じゃない。
大差ないはずだ、うん。
若い同僚にそこじゃないとツッコんでおいた。
意表を突かれたといった感じの顔になる若い同僚。
心底、若い娘さん達を引き連れた若造が羨ましかったと見える。
若い子ってのは赤い髪をした一般的とは言い難い娘とショートカットの可愛いらしい娘の事だろう。
若造の後ろを着いて回ってた。
ああ、野郎もいたな。
目つきの悪い奴。
最近、若造がその若い子達を引き攣れて歩く姿を何度か見た。
別に見かけるだけなら、ふーん、で済むが、あの若造はコロシの話を細かく聞いてきやがった。
広報に何の関係があるっつーの!
それでも上からの指示書を持って来やがったから渋々応じた。
嫌そうな顔は隠さずにな!
若造はそれを解ってても淡々と話してやがった!
なんだか自分達の仕事がなっていないと言われているようで頭に来たんだ!
それで怒っていた訳さ。
「コロシの話はこっちの仕事だっつーの!」
「日時、場所から始まって細かく聞いてましたもんね」
「淡々と無表情で聞きやがって!不気味な奴だったぜ!」
「あの人エリート様っすよ?そんな事言っていいんすか?」
「いいに決まってんだろ!本当の事だ!」
「おー」
「他人事みたいだな?」
「あっしは言ってないっす!他人事っす!巻き込まないでくださいね?」
「あ、テメー!」
俺の憤りは治まらない。
さすがに物に当たったりはしないがな。
自販機で買った缶コーヒーをゴミ箱へ捨てる。
自分と一緒に若い同僚、こいつも話を聞かれていた。
愛想一つも寄越さないで事件の事を聞いて来たあいつの顔が思い出された。
無表情で冷たい感じのあいつ……不気味だと思って何が悪い!
こいつの言う通り、あいつはエリート様だ。
国家試験をパスした俊才。
自分達とは違うのは解ってる!だが警察の仕事ってのは机上で動くもんじゃねーんだ!
先輩に口うるさく言われた足で仕事をするんだってのは正しいと今なら解っている。
動いてなんぼの仕事だ。
あ、こいつ逃げを打ちやがった!
あっしとか言って軽く誤魔化しつつ、キッチリ念を押して来やがった!
最近のわけーのはしっかりしてんな……。
だけどな……自分達が追っていたコロシは次の日には解決してしまったんだ。
上から連絡が来て、言われた場所に行った。
そこには一人の男がいると言われた。
チャイムを鳴らしても出て来なかったが、上からの指示が出ていたんだ。
いるからずっと鳴らせと。
しばらくしたら男が恐る恐るドアから顔を出してきたんだ。
こっちが警察だって解ったとたん顔を真っ青にしやがったのよ。
これは臭いと思ったね。
そしたら男はチェーンをかけたドアをそのままに他の窓から逃げ出しやがったのよ。
もちろん追って拘束したさ。
また上から言われて捕まえた男とコロシの現場にあった遺留品情報を照らし合わせたら一致したのには驚いたね。
それであっさり解決って訳なのよ。
訳が解らなかったぜ。
上は何を知ってたんだ?とも思った。
俺は色々な事が頭に浮かんで首を傾げたね。
そして思いあたった。
昨日の記憶。
このコロシについて根掘り葉掘り聞いて来た若造がいた事を……。
犯人を捕まえられた事と若造は絶対に無関係じゃない!
自分のカンがそう言っていた。
くっ!エリート様は伊達じゃないって事か!?
負けてられない、絶対にだ!!
まぁ、複雑な心境なのは間違いない。




