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Manipulated Intelligence Agent ~皇帝によって操られた諜報員たち……~  作者: 11月 ミツシ
第2章、【平行世界の伍長・現実世界のゴタゴタ】
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第2章6話

「せ~の、1、2、3!」


 担架からストレッチャーへ移され酸素マスクや、心電図などを取り付けられ救急車の中へと収容されていく伍長。

 隣では酸素マスクだけを取り付けられた陛下が、伍長の隣のストレッチャーで救急車へ収容されていった。

 ス連の消防庁の救急車両は日本のようなものではなく、大型バスが救急車になったような形をしていた。最大収容人数は4名。

 これは主に災害時やテロ発生時に出動される特別車両でもあった。

 伍長と陛下を収容した救急車は、同行人を待たずしてすぐさまス連軍の連邦総合病院へと搬送していった。

 この車両を遠くの交差点で右に曲がるまで見ているルールや首相! ヨシフおじいちゃんの姿だった。

 彼らは久しぶりの再会にもかかわらず、何も一言も交わさずに黙って救急車を見つめていた。

 静寂な3人。


 だが、後ろのロータリーでは、けがをして痛みに悶える続ける男。家族がけがをしたのだろうか? 助成の前で喚き散らす女の子。それらを必死に手当てしたり慰めようとする特務軍の兵士。先ほど大きな爆発があり一層消火活動が困難になりながらも必死になって消火活動に当たる消防隊員。数え切れないほどの怪我人の中から重傷者をいち早く見つけ運んでいく救急隊員。

 現場は混乱に陥り、夜明けにもかかわらず多くの野次馬が規制線の外を埋め尽くしていた。


 後々政府から発表されたのだが、今回の火災、死者2名 重傷者21名 軽症者 48名 となる大火災となっていた。

 死者は爆発付近である、3階で清掃作業に当たっていた2名であった。

 重傷者の中にはもちろん伍長も陛下も含まれており、政府は今回の火災を皇帝暗殺未遂事件として警察、国防軍治安維持庁合同の捜査本部を立ち上げ爆発原因も捜査するとのこと。


 さて、この静寂な空間を打ち破ったのは、ヨシフおじいちゃんであった。


「ルーズルートさんや…あんたは怪我人の治療に当たってください。わしらはその連邦総合病院へ一足先に六ますわ」

「し、しかし…」

「大丈夫だ、この事態が一段落付いたら、あんたも来なさい」

「わ、わかりました。伍長さんをお願いいたします」

「うむ」


 ルーズルートはそのまま回れ右をし、怪我人の手当てへ向かった。

 付き添いに来ていた他の侍従たちもルーズルート同様に指をガラスの破片で切ったものから、重傷者の応急処置などを施していった。

 そんな彼らを見つめるヨシフと首相!

 

「チャーチム君や…」と口を開くヨシフおじいちゃん。

「なんでしょうか?」遠くの交差点を見つめながら答える首相!

「連邦総合病院はここからどれほどの距離かね?」伍長たちが消えていった方を眺めるヨシフ

「ちょっと待ってください」地図を懐から取り出す首相!


 首相! はしばらく地図とにらめっこし、連邦総合病院と書かれた場所を見つけ出した。

 その場所はス連邦の首都であるスウェットハーヴェン特別自治区内の少し郊外に行った小高い山の上に立つ病院だそうだ。

 最大収容人数は2万人ほどで、小児科、内科、外科など臨床医学がほぼすべてそろう病院である。名目上は国民連邦保険機構が運営しているが…実際というか国連保機も皇宮財閥運営である。相変わらずすっげぇなぁ…


「あっ! ありました…。そうですね、車で行った方がいい距離です」

「そうか…。タクシーを拾ってきてくれんかね?」

「分かりました。拾ってきますね」


 首相は規制線の奥、野次馬で人がごったがえっている方へ歩いて行った。

 

 数分後……


 ウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ


 規制線とそこに群がる野次馬たちを押しのけて1台の暴走パトカー…ゲフンゲフン、1台の大爆走パトカーが規制線を突き破ってこちらに向かってきていた。

 呆気にとられ呆然としている警察官に野次馬ども。警察官は慌てて規制線を張りなおしていた。

 で、その暴走…じゃなかった大爆走パトカーにはだれが乗っていたかというと…


「閣下ぁ!よけてくださぁい!」


 どこからか大声でヨシフによけろと指示する。

 野次馬どもと同じような表情をしているヨシフおじいちゃんの10㎝ほど手前でドリフトしながら止まるパトカー。

 その変態チックな運転をしたパトカーの後部座席…普段なら犯罪者が入っている場所に、


「ああ! 怖!」


 首相! が乗っていた。

 やたら顔を青ざめて、何やらおびえるように後部ドアから降りてくる首相。


「…チャーチム君や。」

「はい、言いたいことはわかります。なぜ警察車両かですよね…」

「うむ」


 すると、その言葉を待っていたかのように運転席…ではなく、フロントガラスをパリィィンと突き破って一人の女性がこれまた特撮ヒーロー真っ青レベルで空中を10回ほど回転して、


「すたっ」


 自分でそう言いきれいに着地した。

 本来なら拍手されるべきところなのだが、非常事態が非常事態なので拍手はなし。

 きれいに着地した女性は、スーツ姿で一見すれば丸の内当たりのOLにも見えなくはないだろうが、ヨシフのおじいちゃんは彼女の髪色を見て大体察しが付くことが出来、彼女がただものではないことが一目でわかった。

 だてに軍の将校をやっていただけはある。

 その変態的なドライビングスキルを見せつけた女性はヨシフに握手を…求める前にはるか天空をにらんでいた…!

 ぜ、ぜ、前言を撤回させていただきます。

 その超すごすぎるドライビングスキルを見せつけた超絶美人の女性はヨシフおじいちゃんに握手を求めていた…。あっ、ものすっごい上機嫌になった。


「初めまして、私はリフェリア・K・メルディエッタロード…まぁフェルトの姉です」

「はぁ…」


 なんと、超絶的なドライビングテクニックを見せつけたのは、リフェリアさんだった。


 解説を挟むが、メルディエッタロード家は1万年以上続く由緒ある家庭である。旧ク連時代、国名に社会主義とついているが実際は王侯貴族の独裁的国家で中でも2つの家が皇帝の座を争っていた。

 一つは今は無くなってしまった保守系貴族で、もう一つがこのメルディエッタロード家であり改革派の貴族だった。

 スウェットフェルクロード家は…なんか革命起こそうとして失敗し爵位を剥奪され一時期別惑星に亡命したそうだが、その後革命を起こした…と記録されている。

 で、そのスウェットフェルクロード家の革命によりク連の皇帝はその権限を失い、退位。

 当時のスウェットフェルクロード家には12人いたのだがそこで2つの意見で対立された。

 一つは貴族制度を廃止し皇帝の権限を最高憲法で規制し自分たちがそこに即位すること。

 もう一つは、貴族制度を一部残し、残りを解体。ク連を保つ案だった。

 議論に議論を重ね、結局前貴族を解体し、立憲君主制を取り入れる形で合意がなされた。

 で、当時のスウェットフェルクロード家5代目当主の…なんちゃらさんが大天皇帝となり国家元首として即位し現在の憲法を作った。

 っで、改革派で知られていたメ家とス家は代々非常に仲が良く、皇族という形で今も残っているわけ。


「ささ、お二人さん早く乗って! 車を出しますよ…」


 後部座席に押し込まれる形で2人は乗車させられ、リフェリアさんは突き破ったフロントガラスから起用に運転席へと消えていった。

 

 

 



 


 


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