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大島サイクル営業中・2018年度  作者: 京丁椎
2018年4月 新年度スタート
8/73

理恵・勝負を挑まれる…が③速人が吠えた訳

フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。

実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。

亮二と一緒に自宅へ戻った速人は思いっきり後悔していた。


好きな女の子が馬鹿にされてカッとなって買った喧嘩。どう考えても勝ち目がない上に、愛車を奪われればその好きな女の子『白藤理恵』とバイク通学する事が出来なくなってしまう。


「まったく…珍しく興奮しやがって…」

「好きな()が馬鹿にされるのは我慢できないよ」


じつは速人、ゴリラで元気に登校する理恵と近付きたくてモンキーを買ったのだ。


「で?どうすんのよ?勝ち目はね~ぞ」

「どうしよう?」


店選びで失敗したモンキーは大島に習いながら必死で直した。その結果、速人は理恵と一緒に遊ぶようになり、バイクの事も少しだけ詳しくなった。勉強代は随分かかってしまったが。恋のキューピッドでもあるモンキーを失うことになるかもしれない。


「どうしようも何も、アレは?白藤が大村だいむらにやったあの作戦」

「僕はそれほど葛城さんと親しくは無いよ。メルアドも知らないし」


「アレは?お前が組んだクロスミッションのエンジンは?」

「アレは今のエンジンのミッション違い。加速は良いけど速くないよ」


クロスミッションは加速をスムーズにする為の物。パワーが一緒なら最高速は変わらない。


「おっさんに相談するか?ぶん殴られるかもしれんけど」

「殴られても良いけどグリグリは避けたいよ…」


中指を立てた拳でこめかみをグリグリ。非常に嫌なお仕置きである。


「とにかく、明日はおっさんの店に行こう」

「うん」


速人は翌日、理恵と亮二、そして綾と一緒に大島の店へ行く事にした。。


「バイクを取られたら自転車通学だ。理恵ちゃんに付いて行けるかな…」

「まぁアレや。うん、バイクが無くなったら私のゴリちゃんで引っ張るから」

「競輪じゃあるまいし…無理に決まってるでしょ?」

「綾の言う通りやな」


困難時でも理恵は楽観的である。


「お腹が空いてるから暗い考えになるんや。おっちゃんの店に行こ」

「うん…一緒にグリグリされようね」


「それは嫌」

「そこは嘘でも『うん』って言えよな」


     ◆     ◆     ◆     ◆


こめかみをグリグリされるのを覚悟していた速人だったが、大島からは何もされなかった。されたと言えば蒸しパンと飲み物を出されたくらいだろう。理恵以外の3人はコーヒー、理恵はココア。大島は番茶を飲みながらいろいろと話す。


「で、おっちゃん。何かアイデアは無い?」

「どんな時でも安全運転・法令尊守。そうすれば道は開ける」


「あの田屋って奴、相当しつこい奴みたいよ」

「親がNTT?商売やってるからお金持ちやって聞いた」

「NTTは電話。田屋の親はNPOの理事か何か。動物愛護だったかな?」


動物愛護やからモンキーを保護するのかと思った大島だったが、さすがにこの場でそんな冗談は言う気になれなかった。


「モンキーを取られたら寂しいな」

「速人が頑張って直したお猿さんなのに、どうしてこんな事になったのかな」

(お前…気付けよ)

(理恵って鈍感ね)


「まぁ、アレや。免許だけは汚さんようにな」


50㏄の排気量差のあるレーサーレプリカに勝つ方法は聞けなかった。


『免許だけは汚さんようにな』


だが、不思議とその言葉だけが4人の頭から離れなかった。




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