梅雨は大変
フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。
実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。
梅雨に入って雨の日が多くなると来客が少なくなる。
「さてと、今のうちにやってしまうかな…」
今日は春に買い取ったホンダゴリラを商品化する。商品化と言っても今までウチで見ていたバイクだから素性は知れている。この手のバイクは何を交換すれば良いか分かっていて良い。オイル・エアークリーナー・ちょこまかとしたゴム部品を交換して終わり。
「チョイチョイと掃除をしてお終い…値段は…変に安いと転売屋が来るからな…」
タイヤも換えれば見栄えはするが、まだ使えるし溝も有る。
「換えると良いけど、そこは買った人の判断に任そう…値段は…どうしようかな?」
プライスカードには『応談』と書いた。最低の値段は決めてあるが、内緒だ。
こう書いておけば転売目的で来る輩は少しは防ぐ事は出来ると思う。
ポツ…ポツ…ポツポツポツ…
「また雨か…やれやれ、窓を開けたり閉めたり…面倒やなぁ」
◆ ◆ ◆
「う~面倒くさい…何でテストなんかあるんや?」
「勉強の成果を見る為」
高嶋高校の図書室では仲良し4人組+αが理恵を囲んで勉強会をしていた。
「そんな事を言う割に~理恵ちゃんは~成績悪くないよ~」
絵里の言う通り、理恵の成績は中の上といったところだ。ちなみに絵里は理恵に負ける教科はあるが、トータルすると少し上。綾・美紀・亮二は上の中、速人は上の上の成績だ。
「理恵は暗記系が苦手だけど、理数系はイイ線言ってるよね」
美紀の言う通り、理恵は歴史関係が苦手だったりする。
(速人と一緒の大学に行きたい…なんて欲張り過ぎかなぁ?)
「ほら、ぼんやりしない」
「もう一度最初から説明するね…理恵ちゃん…顔赤いよ」
「お猿?」
「お猿ちゃうわ!」
「あなた達、静かにしなきゃ駄目よ?テスト勉強はお家でしたら?」
「あ、ごめんなさい」
「それに、お天気が怪しくなって来たわよ?あなた達バイクでしょ?」
窓から外を見ると黒い雨雲が広がり始めていた。
「本降りになる前に帰ろっか」
「そうやなぁ…雷とか鳴る前に帰ろう」
勉強会は解散。4人組+αは駐輪場でレインウェアを着こんでバイクに跨った。




