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大島サイクル営業中・2018年度  作者: 京丁椎
2018年 6月
34/73

大島・テンションの高い記念日

フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。

実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。

高校生たちがバイクに乗り始め、ある程度の初期点検が終わった今の時期は比較的暇だ。

気温が上がってきているから布団を薄い物に換えたりシーツをモコモコした物からサラッとした肌触りの物に換えたりしておく。これをやっておかないと布団を蹴飛ばして涼しい所へ転がって行くのだ。俺じゃなくてリツコさんが。布団だけじゃなくて俺も蹴られた。


「そうや、暇やし下取り車を弄ろうかな…カブとゴリラが有ったな…」


倉庫から春に下取りした2台を引っ張り出してきた。手を付けていなかったので少し埃が積もっている。どちらも出戻りのバイクだ。来歴がハッキリしているから何処をメンテナンスすればよいかは解っている。どちらも掃除してオイル交換すれば普通に乗れる。外装はゴリラは小傷が少々。カブは傷が錆を出た傷が結構在る。


「ゴリラはエエとして、カブは手直しをするか、そのまま格安で売るか…微妙やな」


カブ50カスタム…キャブレター時代のカブでは唯一の4速ミッション・フロントアンチリフトフォークの装着グレード。ただしこの個体はクランクケース破損時にあまり部品で組んだ3速ミッションに積み替えてある。セルは付いているけど50㏄。ヘッドライトが角型だからか少し人気が無い。


「婆ちゃん…あちこち擦ってたんやなぁ」

擦り傷の多い車体は所々錆が浮いている。穴こそ開いていないが全体的に程度は良くない。やはり身体能力や集中力が落ちていたのだろう。あちこちが凹んで傷が入ったスーパーカブ。


(泥を落とすか…)


最近、高圧洗浄機が買いやすくなった。ホームセンターで売っていたのを買ったが結構使える。電装関係を養生して水を吹き付けると面白い様に泥やほこりが落ちた。本格的な自動車工場のスチーム洗浄機なら高圧なだけでなく高温の湯を噴射できるので油汚れも落とせるが、そこまで数万円で買える高圧洗浄機の求めるのは酷だろう。


試しにチェーンカバーの中を掃除しようとしたけれど駄目たっだ。泥と油が混じった汚泥は頑固だ。チェーンの点検がてら外して灯油とブラシで中を掃除しておく。仕上げは台所用洗剤で洗って終わり。


「何気に強力な油汚れが落ちるんやなぁ」


泥を落とした後は錆止めに古いエンジンオイルを擦り込んでおく。


「これはこれで悪くないか…うん、これで行こう」


近頃は錆びて朽ちた状態を好む人も居る。ラットスタイルというものらしい。良く分からんけど朽ちた塗装や仕様過程で出来た傷を『味』として楽しむらしい。まだ安曇河ではそんな楽しみ方をする人が居るか居ないか分からないけれど、駄目なら塗装をすればよいだけだ。


下取りしてほとんど手を入れていないから値段も安い。売値は¥35000(税・諸費用別)

自分で登録するもよし、レストアベースで買うもよし。もちろんそのまま乗っても良い。


「はて…何か忘れている気がする…ハッ!えらいこっちゃ!」


血相を変えて飛び出した大島をご近所の奥様方は何が起こったのかと見送るのだった。


     ◆     ◆     ◆


「わぁ…なんだか気合が入ったご飯ねぇ…何か有ったの?」

「教祖様の記念日や!」


中さんの家は仏教のはずなのに、いったい何が有ったんだろう?


「6月9日は教祖様に捧げるめでたい記念日や…祝おう!」


何故かロ-ストビーフやオードブル、フライドチキンにマッシュポテト…等々、お酒に合いそうなお料理がより取り見取り。こんなにテンションの高い中さんは見たことが無い。


一体何の記念日だろう?教祖様?新興宗教?


今日は6月9日。私には何の記念日だかわからないまま一日が終わった。



6月9日は、東海地方の一部では有名な記念日です。

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