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大島サイクル営業中・2018年度  作者: 京丁椎
2018年5月
24/73

兄は仕事ライダー

フィクションです。登場する人物・団体・地名・施設等は全て架空の存在です。

実在する人物・団体・地名・施設等とは一切無関係です。

大島サイクルで買ったバイクで走り出した新一年生3人組。楽しい時間はあっという間に過ぎて解散となった。


「「「じゃあね~!」」」


2人と別れて自宅へ帰った(うらら)は買ったバイクを兄に見せる事にした。


「ただいまぁ」

「おかえり。どうやった?」


そっけない様だが克己(かつみ)はすでにマグナ50の事は把握している。


「真っ直ぐ走るし足が着きやすいからこれが良い」

「そうか」


原付にしては大柄だがシートが低くて足着き性は悪くない。克己の目論見通りだ。


「晩御飯の準備をしようか」

「うん」


大学時代は独り暮らしをしていた克己は料理は手慣れたもの。麗も家庭科は得意だったので料理は出来るが兄には敵わない。やはり3食自炊と言うのは料理の腕が上がる物だ。肉野菜炒めと焼き魚を兄が作り、麗は味噌汁を作った。


「あの後みんなで琵琶湖まで走ってな、真旭を周って帰って来た」

「そうか、皆と一緒に走れるか?遅かったらボアアップしてもらうし言いや」


麗のマグナ50はシリンダーボーリングで52㏄。殆どノーマルと変わらない。

同じ4ストロークエンジンでもボアアップで排気量80㏄のトゥディ、排気量は同じでも排気ガス規制以前に製造された2ストのDioと比べると排気量が小さな麗のマグナは遅い。


「ん~とりあえず今のままで良いかな?」

「そうか、分かった」


幸いな事に3人とも安全運転でスピードもそれほど出さない。

速く走れることよりも自転車と違って疲れない事の方が嬉しい。


(麗は賢い子やからな…)


克己は妹が不満に思わないならそっとしておく事にした。


「自分が気を付けてても周りから災難が飛んで来るから注意して乗りや」

「うん、気を付ける。でな、お兄ちゃん、私ドライブレコーダーが欲しいなぁ♡」


(今都は怖い街やからな…おねだりとしては…悪くない)


今都(いまつ)と言えば湖西方面で最も治安が悪い町。詐欺・ひったくり・放火・殺人の件数が湖西地方で最も多い欲望渦巻く暗黒街。そんな街に何故か高嶋高校が有る。妹は可愛らしいので誘拐される事も有り得る。地域メールナウ高嶋によると今都は変質者の出現が多い。ドライブレコーダーだけでなくGPSも付けた方が良いかもしれない。


(麗の身に何かが有ったら…俺は鬼になる)


克己は得意先回りにスーパーカブを使っている。『高嶋市はバイクで走るのが気持ち良い街。でもそれは今都を除く話』ライダーの間では当然の様に言われているが、社長にも言われた。


克己は仕事で使うカブに付いているドライブレコーダーに助けられた事が在る。今都町で信号待ちをしていたら突然カブの前に子供が寝転がり轢かれたと叫んだ。そこに親が出てきて示談を迫って来た。今都はそんな街だ。


「おう、それは必要な装備や。お兄ちゃんが付けたる」


克己はエンジンまでは分解整備しないがオイル交換やアクセサリー位なら取り付けできる。


「お願いね、お兄ちゃん♡」

麗は甘え上手。本来の素直な性格と軽い天然ボケの相乗効果で可愛らしさ満点だ。


「まとめて買うし、友達も誘い」

「うん」


高嶋市は思ったよりも治安が良い。ただし、それは南部地方に限った事。今都・蒔野は極めて危険な街だ。捜査中の刑事が殺されて拳銃を奪われた事件も起こっている。そんな今都にある学校へ通う妹。守りたいが自分が付いて行動するわけにはいかない。


妹のバイクライフは始まったばかり。只ひたすら心配をする兄であった。


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