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アンゲルとエレノア  作者: 水島素良
第四章

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4-23 エブニーザ クー 図書館

 エブニーザとクーが、図書館裏の芝生のベンチで話している。

 女の子に追いかけられるのが嫌でたまらないというエブニーザに、クーは呆れていた。

「贅沢な悩みねえ。好かれたくても嫌われる可哀相な人もいるっていうのに」

「でも、実際僕は誰にも興味がないんです」

「例の女の子以外ね」

「……彼女を探さなきゃ」

 エブニーザが辛そうな顔で下を向いた。

「どうやって」

「場所がわかればいいのに……汚い部屋しか見えない」

 エブニーザは下を向いたまま黙り込んでしまった。

 クーは空を見上げ、優しく声をかけた。

「下じゃなくて上を見なさいよ。こんな綺麗な空は珍しいわ。夕陽がピンクと紫よ。独特の色ね」

 エブニーザがゆっくりと上を向く。

「本当だ……どうしてこんな色なんだろう」

 しばらく無言で空を見つめたあと、

「彼女にも見えるといいのに」

 とエブニーザがつぶやいた。

「きっと見えるわよ」

 クーが笑った。

 姫君らしくない、弱々しいやり方で。

「どこだって、空は見えるわ」




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