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アンゲルとエレノア  作者: 水島素良
第三章

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3-10 フランシス、エブニーザを助けたけど怒る

 次の日。

 フランシスが図書館で新刊をあさっていると、エブニーザが他の生徒(シュッティファントが嫌いな一群)にからまれているのが見えた。

 あーあ、あんな弱虫じゃやられっぱなしでしょうね。いつ見てもミイラのようだわ。

 しばらく無視していたが、まわりの生徒も騒ぎ始めたので、フランシスは近づいていってエブニーザの腕を掴むと、出口まで引っぱっていった。

「おい、待てよ、どこに行くんだよ」

 いじめっ子がついてきたが、フランシスに睨まれて全員がびくっとひるんだ。

「図書館は騒ぐ所じゃないの」

 フランシスが低い声を発し、まわりの人間を鋭い目で睨みつけた。あの、敵をすくませる強烈な目つきだ。

「あんたたち、冗談は顔だけにしておくのね」凍りついた空気に毒が流れ込む「部屋に鏡はないの?そんな醜い顔でよく外に出られるわね」

 館内はシーンと静まり返った。

 女性からこんな言葉を浴びせられては、ショックでしばらく立ち直れない人間もいるだろう。まあ、何人神経をやられようと、フランシスの知ったことではないだろうが。

 フランシスはエブニーザを引っぱって外へ出た。しかし、出たとたん、今度はエブニーザをすさまじい声で怒鳴りつけ始めた。

「やり返すなり逃げるなりしたらどうなのよ!三歳児じゃあるまいし!黙ってやられてんじゃないわよ!」

「でも……」

 エブニーザはさっきよりさらに泣きそうだ。

「でもじゃないわよ!」

 そこにエレノアと姫君クー(最近一緒に行動している)がやってきた。

「フランシス!」

 エレノアが叫んだ。

「何をしてるのよ!」

 クーも叫んだ。エブニーザは二人の姿を見るなり真っ赤になって、走ってどこかに逃げてしまった。



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