13-15 出かける
次の日の朝。
アンゲルは、何かを見上げて呆然としているエレノアを見つけた。視線の方向を見ると、女神イライザの像があった。
「おはよう」
声をかけても反応がない。
「どうしたの」
「私」像から目を離さずにエレノアがつぶやいた「昨日、この人に会ったわ」
「はあ?」
ぼうっと女神像を見つめ続けているエレノアに、アンゲルが困惑していると、
「出かけるぞ!」というヘイゼルの大声が聞こえてきた。声をした方を見ると、猟銃を背負って嬉々としているヘイゼルがいた。
まさかまた鳥を撃つ気か……?
アンゲルはぞっとした。
シュタイナーに車を借りて、早朝に敷地内を散策に出かけた一行(クーも含む)は、
「狩猟がしたい!どうしても撃ちたい!」
というヘイゼルと、
「そんなことして何が楽しいのよ!ゆっくり散策させてよ!」
というフランシスに翻弄されることになった。
「だったら別行動にした方がよかったんじゃないか?」
アンゲルはまっとうなことを言ったつもりだったのだが、なぜかヘイゼルとフランシスの両方から睨まれたので、黙ることにした。
女王クーは、そんな二人を面白がってエブニーザと笑い話にしていたが、アンゲルとエレノアはもううんざりしていた。
「頼むから、人のテーブルに鳥を山積みにするのだけはやめてくれよ……」




