表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンゲルとエレノア  作者: 水島素良
第十二章 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

227/294

12-8 アンゲル ヘイゼル エブニーザ 男子寮の部屋

 男子寮。機嫌良く帰って来たエブニーザがアンゲルに『船の話』をすると、

「それはお前の願望じゃないのか?自分が気立てのいい女の子に会いたいんだろ?」

 アンゲルがそう言うと、エブニーザはムッとした顔をした。

「だって、女神アニタって……神話だろ?現代にそんなこと起こるか?」

「現代じゃなくて、未来ですよ。僕らの子供の世代です」

「そんな先まで見えるのか?お前の知り合いか?」

「違います」

「そんなの見えて何か役に立つか?」

「機嫌が悪いですな、エンジェル氏」

 ソファーで新聞を読んでいたヘイゼルが割って入って来た。

「うるさい、ティッシュファントム」

「ティッシュファントムって言うな!」

「俺の部屋で新聞を読むな!」

「新聞はソファーで読むものだぞ!」

「意味わかんねえよ!!」

 また二人でケンカを始めてしまった。

 しばらく二人のケンカをじっと見ていたエブニーザが、突然、

「いいかげんにしろ!」

 と叫んだ。

 アンゲルとヘイゼルは驚いて動きを止めた。

 ……エブニーザが怒鳴った?

 エブニーザは、自分の叫び声に驚いたように震えだし、その場に座り込んでしまった。

「大丈夫か?」

 アンゲルが聞いても答えない。30分ほどで震えは治まったが、エブニーザは何も言わずに部屋に戻って寝てしまった。

「なんだろうなあ……」

 アンゲルが首をかしげていると、ヘイゼルは興味なさそうに、

「またなんか思い出したんじゃないか?」

 とつぶやいて、自分も部屋に戻って行った。

 アンゲルは一人ソファーに座って、今日のエレノアのことを思い出していた。エブニーザの話をしてたら突然怒り出したな……何かあったのか?

 まあいいや。それより試験が近いからな、勉強しよう……。

 電話が鳴った。アンゲルがめんどくさいと思いながら出ると、母親だった。

『大丈夫かい?あれから変わったことはない?』

「ないよ」アンゲルはそっけなく答えた「そっちは?」

 そのあとは、あたりさわりのない話をしただけだったが、受話器を置いたとたん。今まで忘れていたこと……イライザ教とか、狙われていることとか、台風とか、悲鳴とか、クラウスとか……を一気に思い出して、アンゲルはソファーに倒れ込んだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ