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アンゲルとエレノア  作者: 水島素良
第九章

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9-22 アンゲル エレノア クー

 カフェで『ソレアと何を話してたの?』『そもそもあれって何者?』とクーとエレノアに質問攻めにされたアンゲルは、

「俺は友達だとしか思えないって言っただけ!ソレアとはバイトが一緒なだけ!思い込みが激しいの!それだけ!関係ない!」

 と、ずーっと叫び続ける羽目になった。

「かわいそうねえ。かわいい子だったのに。うちに飾りたいくらい」

 クーが残念そうに遠い目をしたので、エレノアはぞーっとしたが、アンゲルはその意味に気がつかず、

「やめてくれよ。たしかに、かわいいし、教会っ子にしてはぶっ飛んでるけど……」

 と、心の底から嫌そうな顔をした。

「エブニーザはどこへ行ったのかしら」

 エレノアがふと思い出したようにつぶやいた。またエブニーザか!とアンゲルが顔をしかめ、クーがにやりと笑った。

「さっきの女の子を追いかけて行ったのよ。何か見えたのね」

「どういう意味?」

「さあ?私はもう帰るわ……またね、エレノア」

 クーがエレノアを愛しげに見つめて笑うと、優雅に車のドアを閉め、発進させた。

「ねえ、なんでケンタとエブニーザがクーの車に乗ってたの?しかもエレノアまで」

「フランシスのせい……そういえば、すっかり忘れてたわ!フランシスがあの子を部屋に泊めるから悪いのよ!」

「何だって?」

 アンゲルは驚き、エレノアは立ちあがった。

「私帰るわ。文句言わなきゃ」

 エレノアが走っていき、一人残されたアンゲルは、

「みんなして何だよ?」

 いじめられた子供のような、弱り切った顔をした。



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