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9-19 アンゲル 男子寮の部屋
朝、電話が鳴ったので、寝ぼけたアンゲルが受話器を取ると、
『入口に例の子がいるから、そこから出ないで下さい!』
エブニーザだ。
アンゲルはぞーっとして、またソファーに倒れ込んだ。どうしてこうなったんだろうかと考え始めた。
たしか、管轄区はつまらないとか言ってたな。『どうせ帰ったら誰かと結婚させられる』『どうせ不気味がられるから』……管轄区が嫌でたまらないんだな。
アンゲルにはその気持ちが痛いほどわかった。
「わかるけどさあ」
つぶやいて途方に暮れる。
俺だってあの国が嫌で抜け出してきたようなものだからな。……だからって俺に迫られても困る。しかもエレノアに……ああ!絶対誤解されてる!
アンゲルは起き上がって着替え、しばらくドアの前に立ち止まって考えたが、思い切って外に出て見ることにした。
今はっきりしておかないと、もっとまずいことになるような気がする……。




