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7-9 アンゲル ヘイゼル エブニーザ 男子寮の部屋
エブニーザが、図書館に行こうと部屋を出ると、そこには、受話器を持ったまま、凍りついたように立ち尽くしているアンゲルがいた。
「あのー、どうしたんですか?さっきから止まってますけど」
エブニーザは、本をアンゲルの目の前で上下させながら、心配そうに顔を覗きこんだ。
「エレノアの親父がここに来る」
「えっ?」
「お前も行くんだ!図書館のカフェで6時だぞ!遅れたらフランシスに殺されるぞ!俺はスーツを買ってくる!!!」
アンゲルが外に飛び出して行った。
エブニーザは何の話だかわからず、図書館に行こうとしたのだが、そこにヘイゼルが帰ってきた。
「エレノアのお父さんが来るそうです。フランシスがからんでるみたいなんですけど」
それを聞いたヘイゼルは、フランシスに電話をかけたが、誰も出ない。
「いないな……」
「6時にカフェに来いって言ってましたけど……」
「ほほう」
ヘイゼルが何か企むようににやにやし始めた。
「シグノーの令嬢め、魂胆は読めたぞ」




