20.かなわない人
「もう信じられない!何で来てるのよ!」
ドスッ…バシッ
「い、いいじゃない、ですか…。他の方のお相手も、みなさん来てましたよ…」
店を出てからいつかのように享子の部屋へ引っ張って連れてこられた隆頼は、発狂した享子に怒鳴られながらサンドバッグ状態になっていた。
「僕は…ご挨拶できたので良かったですよ…」
痛みにうずくまりながらも、隆頼は暢気に笑う。
「ウソ…!そのへらへら面で他の人に挨拶なんかしちゃったの!?ユルサナイ…」
享子は恥ずかしさと怒りで真っ赤になりながら隆頼を痛めつける。
「部屋が、めちゃめちゃだよ…。享子ちゃん…、ご近所迷惑になっちゃう」
「知らない!知らない!」
享子は彼氏が今までいなかったため免疫がなく、ただただ彼氏がいる事を思い出すたびに恥ずかしくて赤面してしまう状態に陥っていた。
さらに、はじめての親友と呼べる女友達に彼氏を見られてしまった羞恥で我を忘れていた。
もちろん、隆頼はそれをすべてわかった上で、喜んで暴力を受けていた。
「はぁ…はぁ…」
隆頼が目を覚ますと部屋の天井が目に入る。どうやらしばらく気を失っていたらしい。
「ごめん。ヨリさん…。なんで私こうなんだろう」
隆頼が声のした方へ顔を向けると、少し離れたところで享子は床にへたりこんでいた。
「ヨリさん…私なんかとは別れた方がいい」
「え?」
「だって、いつかヨリさんが死んじゃう…」
「死にませんし、別れませんよ」
床に倒れていた隆頼はゆっくり起き上がる。
「キョーコちゃんは恥ずかしかっただけですもんね」
「…うん」
隆頼はいつものように優しく笑った。
「僕はキョーコちゃんにボコボコにされれるのが好きなんですから、いいんですよ」
「変態。でも…」
「じゃあ、キョーコちゃんが殴った分だけ…キョーコちゃんをください」
「ん…」
享子を強く抱きしめると、隆頼は甘いキスをする。
「暴れた後のキョーコちゃんは、一番隙があって襲いやすいんですよ」
「え、そんな…」
「キョーコちゃん真っ赤ですね。でもこれは慣れてください。あ、違いますね。そのままでいてください。キョーコちゃんはこれからもそのままでいてください」
そうして隆頼はなにげなく享子を押し倒す。
「え…?」
「へこんでるキョーコちゃんもとても可愛くて我慢できません。今度は僕の番です。いいですよね…?」
「うん…」
真っ赤になりながらも享子は素直に頷く。
そんな仕草に隆頼の抑えがさらにきかなくなっていることに享子が気づくのはちょっとあとのはなし。
気力があるうちにと一気に投稿しましたので、
おかしなところがありましたら、すみません!
これで享子のはなしはやっとおわりです。
ありがとうございました!




