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神様

作者: 潮崎レオル

『僕』がいなかったら、どれだけの人が、苦労しなくて、嫌な思いをしなくて済んだんだろう。

今まで、神頼みなんてしたことがない。

そんなものは偶像の産物、存在するはずがないんだから。

でも、今は、神様に頼ってみたいと思う。


天も地も統べるんでしょ?

何だってできるんでしょ?

なら、聞いてよ、この願いをさ。


『僕』は、出来損ねなんだ。

何にもやる気を出せない、人に言われたことすらもまともにこなせない。

いるだけで、みんなの迷惑になる。

邪魔者なんだ。

居ちゃ、いけないんだよ。


だから、神様、『僕』という存在を消してください。

これ以上、誰にも迷惑をかけないように。

『僕』のせいで困る人がいなくなるように。

『僕』という出来損ねを消してください。

殺してください。


何だってできるんでしょ?

じゃ、容易いことだよね、『僕』一人を抹消するくらい。


全部が嫌になった、なんて甘ったれたことを言うつもりはない。

ただ、迷惑を掛けたくないんだ。

『僕』のせいで、人が嫌な思いをするのが、それを見るのが、嫌なんだ。

ただ、それだけなんだ。


だから、神様。

お願いだよ。

『僕』を消して。

『僕』を殺して。

精神的に壊すんじゃなくて、肉体的に壊すんでもなくて、跡形もなく消し去ってよ。


これまで生きていた、って証拠も残らないくらいにさ。


ねえ、神様――

『僕』がいなくても、世界は回っていられる。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これまでのエッセイを読みましたが、どれも若さのあふれる文章です(良い点に書いてあるのだから「良い意味で」です。誤解なきよう)。 また、一部感情の吐露を除いて読みやすく文意がわかりやすいです…
[一言] 歴史上の人物で、神に死を願って、その願い通り安らかな死を賜った、という伝承のある人はいますね。 あと、仏教の一派で、悟りを極めると、自然に体から火が出て、燃え尽きて消滅しまう、という考え方と…
[一言] これまで生きてきた中で、一人とも交流を持たなかった人はいない。 そして、交流している時点でその人に変化を何かしらもたらしているんだ。 その時点で世界という名の独楽は良くも悪くも僅かばかり動い…
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