1 僕から見た大輝くん
「明日が来る前に、この世界が終わってしまえば良いのになぁ。
いっそ、隕石とか落ちてこないかなぁ。」
放課後、いつものように歩いて帰っていると、
隣を歩く大輝くんが突然そんな物騒なことを呟いた。
僕と大輝くんは、小学校から高校まで―――今に至るまで偶然にもずっと一緒の学校に通っている数少ない腐れ縁の友達だ。しかも結構近所に住んでいるから、こうして一緒に帰ることは小学校からの名残というか、習慣になっている。
「え、やだよ。てかなんなの、その恐ろしい願望は」
そう言ったらめちゃくちゃ怒られた。というか、泣かれた。
「お前は良いよ、ハイスペックなイケメンだからな」
大輝くんは背がでかい。背が高いというよりはでかい。熊のような、体格の良い体つきだ。小学校の頃からそんなだった彼は、ガキ大将という代名詞がぴったり来る少年だった。
そして明るくて、よく喋るし、よく食べるし、よく笑うし、よく泣く。僕と正反対の彼は、腐れ縁でなかったらこうして一緒にはいないかもしれない。
とりあえず鼻水汚ないから拭いて?と、ポケットティッシュを差し出すとますます睨まれた。
(うーん。・・・・なぜだろう。)
たまに理不尽な敵意を向けられるんだよな、最近特に。
「明日、俺の視界に入るなよ!?絶対だからな」
「え、何それ。明日なんかあるの?」
「お前なんか、大嫌いだぁぁぁー」
そう叫びながら、大輝くんは走っていってしまった。
(そう言えば、この台詞…毎年言われていたよな…)
もう、見えなくなった大輝くんは足が早いなぁ、あ、そこの角を曲がったからか。などと思いながら、明日が何の日だったかを思い出した。
――――思い出したら、ゾッとした。
(明日…2月14日だ…)
そう考えると、確かに隕石とか落ちて来ても良いかもしれないと思った。




