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風 (作:猫)
わたしは風になりたい。
風になればどこへでも行ける。
草花を揺らし、走り抜ける。
そして、見たいもののところへ。
動物園。心が和む。
遊園地。乗った気分に心が弾む。
会いたい人のところへ。心が締め付けられる。
そして、亡くなった人のところへ。
行けるだろうか。天国まで。
会いたい。悲しい。心が痛む。
わたしは急上昇していく。天国へ向かって。
そして、天国のお花畑の花を揺らす。
さやさやさや。
そこに会いたい人がいる。
その人の周りを、わたしが取り巻く。
優しい風が、その人の髪を揺らす。
さらさらさら。
その人は気づいているだろうか。
風がわたしだということに。
天国でも幸せになってほしい。
わたしは風となって、それを見届けたい。
そう、わたしは風になりたい。
切なさと悲しさを包み込むような優しくてあたたかな風の様子に癒され、とても読後感が良いですね(*´▽`*)