少女の見た騎士~失恋確定
そういえば、お嬢様の言う通り、なのかも知れない。
最初に見かけた時以外の、えーと二回共二人の騎士様は連れ立って歩いていた。
本当に黒い騎士様はアルディス様の事を……?
そういえば、そう思えばアルディス様が黒い騎士様を呼んだ声も優しかったような気がする。
二人は……二人は、こ、恋人同士だったりするのかしら…同じ騎士様なら一緒にいる時間もたくさんおありだろうし……仲良さそうだし……。
私がどんなに想っていても、……恋人がいらっしゃるアルディス様を想ってもムダだからやめとけって事なのかしら……。
「ア、アリア?」
いつの間にかお嬢様の横で泣いていたらしく、お嬢様がハンカチで私の頬をそっと拭ってくださっていた。
「そう……なんでしょうか、あのお二人は……」
ぽろぽろと頬に涙が零れて止まらない。
「ああ……泣かないでよ……こんな街中で……」
そう文句を言いながらも、お嬢様の声は優しい。
「あ、居た居た、お嬢ちゃんたち」
頭のすごく上の方から声がかけられて、思わず上を向くと、黒い騎士様が側に立っていた。
「ひっ……」
お嬢様が黒い騎士様を見て、ハンカチを持った手がぐいっと私の頬に押し付けられる。
「俺に用だったんだろ?」
ああ、そうです。確かお嬢様が話している所を私が有無を言わさず引っ張って走ったんです。
「……そ、そうよ。あんたがうちのアリアを泣かせたんでしょ!」
「泣いたとは知らなかった、すまん」
以外に素直に謝るんだ……この騎士様。
「あの、どうして『やめとけ』なんておっしゃったんですか?」
漸くそう口にすると、騎士様はなんだか困ったような顔で鼻を掻いている。
「……あいつは、あいつの性別は女だからだ」
え? 騎士様今何をおっしゃった?
あの素敵でかっこいい白い騎士服の似合うアルディス様が、お、女ですって!?
「……う、そ……」
私の初恋はこうして終りを告げた。