少女の見た騎士~失恋?
広場でお嬢様と二人で屋台から飲み物を買って飲んだ。
リンゴの果汁を泡立つ水で割ったリンゴ水、ベンチに座って走って乾いた喉を潤す。
「ねぇ、アリア」
「はい?」
お嬢様が私の名を呼ぶのに返事をする。
「あの白騎士、ほんとに男?」
「え?」
た、確かに白い騎士様は男の方としては線は細いし、綺麗すぎるけど……。
「アルディス……様のことですよね、そりゃあ……男性にしては綺麗だけど……」
「冷静になって落ち着いたから思い出すんだけどさ……、あの黒騎士の眼がやたら優しげに白騎士を見てたし」
……よく見てるなお嬢様……あの短時間で。
「黒い騎士様の眼が優しげに……」
思い返す、そういえば小言を言われるからと私に謝りに、わざわざ来てくれた事を。
あの小言は『白い騎士様に小言を言われたくないから』だった。
「ねぇ、アリア聞いてる?」
「は、はいっ」
「だから、私は思うんだけど、あの二人って……いや二人というか、黒騎士が?
あの白騎士に惚れてたりするんじゃないかなって」
「えええっ!?」
「……アリア、声でかすぎる」
隣に座っているお嬢様のすぐそばで叫んでしまった。
何事かと近くを歩いていた人がこちらを見る、は、恥ずかしいっ。
「だから、アリアにやめとけって言ったんじゃない? ほら、俺のだからとかそんな理由で」
「……お嬢様……そんな……こと……は……」
ない、とは言えなかった。