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らいと☆ふぁんたじー  作者: 神城 奏翔
旧らいと☆ふぁんたじー
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第5話 光の始まりは突然に…… side Setura

※サブタイでお察しの通り、視点が雪羅視点になっています。


まぁ、バレンタインデーということで女の子視点で行きましょうww



そんなふざけた気持ちで書きましたが、物語には深く関わって来ます。



「だから、勝手に嘆いているんじゃねぇ!! 【アイギス】」


 ――私は今、夢を見ているのだろうか。


 目の前で起こった光景を見て、私は思う。

 何故なら、元クラスメイトでもあった【炎の舞姫(フレイムダンサー)】――火野(ひの) 焔姫(えんき)の暴走状態とも言える魔力の塊を楯一つで抑えているのだ。

 それだけならもしかしたらあるかも知れない現象。私が驚いているのは、そっちではなく、それとはまったく別の理由がある。

 御影様が取り出した楯が、伝説級の楯だったのだ。

 神話に登場する全能の神――ゼウスが娘のアテナに送ったとされる伝説の楯。

「……アイギス」

 能力がただ単に珍しいだけの少年。両親の命令に従って護るだけの対象。

 それが今までの少年に対する印象だったが、この光景を見て私を深く反省した。

(……これが御影様の力。伝説の武器を取り出せるだけの器)

 氷室家が全力をもって彼を護れと言った理由や、紅帝学園が彼を捕まえろと言った理由が嫌というほどわかった。

 彼は能力だけでなく、体の中に存在している魔力の大きささえも異常なのだ。

 ――だけど、何故か恐怖は感じなかった。

 逆にこの人の背中を護りたい。そう思えるようになっていた。

 今度こそは、全力で……。

 形だけの護衛ではなく、心から御影様をお守り致します――。



『う、うそでしょう!?』

「くっ……」

 神器を使っていて、膨大な力を楯一つで受け止めていたのもあってか、御影様は少しずつ押されていた。新たに御影様への誓いを決心した私は、お守りしようと近寄るが、御影様の表情を見て、動きを止める。

『な、なんで、そこまで……』

「……決まってんだろ」

 それはまるで、おとぎ話や創作で決まって出てくる英雄(ヒーロー)のような表情。

 目の前で苦しんでいる人がいるなら助けたい。という御影様の優しい心が私まで届いた。

(……敵であるのに、助けようとする)

「お前を理解してくれる人がいないって言うのであれば……」

(それが御影様の強さの真実)

 御影様が護衛なんていらないほどの強さを持っている理由を身を持って実感した。

 私や紅帝学園の誰もが、持っていない御影様の強さ。

 

 ――たとえそれが誰であっても、困っていたら助けようとするお人好し。

 人によっては、それがおかしいと言う人もいる。

 だけど、私はそれが御影様の良いところだとも思ったし、同時に欠点とも思った。

(……だから私は、その欠点を護るために御影様に忠誠を尽くす)

「俺がお前を理解してやる!!」

 体から漏れ出すぐらい大量の魔力をありったけ楯に注ぎ込む御影様。

 膨大な魔力同士がぶつかり合い、魔力の発信源でもある二人を巻き込んで爆発した。





「……焔姫。聞こえてる?」

 爆発の被害の直に受けた二人は揃って地面に伏していた。

 御影様の方が被害は大きかったのかして意識を失っていたが、焔姫は、ほんの少しでも動きがあったので意識は残っていることが確認出来た。

「何よ……。負けた私を笑いにでも来たの?」

「違うわ。あなたに謝りに来たの」

 こんな被害が出たのは、私が自分のことを一切、話さなかったから。

 目の前で弱弱しく倒れている少女と話し合う機会を作らなかった私のミス。

「あなたは私が努力していないと思ってるみたいだけど……」

「……知っているわ」

 真実を話そうとしていたときに話を止めるように焔姫の声が響く。

「えっ」

「あなたが放課後、毎日のように練習をしているのも知ってる」

 黙って修行していたことも知られていた。

 その事実を私は今、初めて知った。

「……アタシより遥かに厳しい練習をしているのも知ってる。アタシより努力しているのも知ってる。けどさ、悔しいじゃない」

 過去のことを振り返って焔姫の真っ赤な瞳に、綺麗で純粋な気持ちを現したかのような水滴が溜まっていく。

「努力しているのに、一歩も届かないなんて……。だからなのかな、急に魔力が制御できなくなった」

「焔姫……、私は……」

「わかってる。アンタだって理由無く実力を隠してたわけじゃないんだから」

 口ではそう言いつつ目からは、止めどなく涙が流れていた。

 精一杯、努力をしても私に勝てなかったんだ。

 仕方ないと割り振っても、悔しい気持ちは拭えないのだろう。

「……次、アンタと戦うことになったら、絶対に勝ってやるんだからね。顔、洗って待ってなさいよ。【氷の女帝(フリーズエンプレス)】」

「ええ、楽しみに待ってるわ。【炎の舞姫】」

 こうして長年の間、すれ違っていた私達は御影様の行動によって教えてもらった言葉の大切さによって和解することが出来た。

 ……地味に微笑んだまま地面に倒れている御影様を見て、私は笑顔になっているのがわかった。

 今まで、紅帝学園で出したことのない笑顔を――。





これにて、光の始まり(ry は、完結です。


次回からは、転校生の秘密編(予定は未定)となります。


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