第4話 光の始まりは突然に…… after side
光の始まりは突然に……。シリーズ最終話です。
と言っても、あと1話ありますけどもww
……いけると思ったのですが、間に合わなくて申し訳ないです
「……う、うぅん」
目を覚ますとまず目に入ったのは白い天井ではなく、転校生の寝顔だった。
「っ!?」
驚きで大声が出そうになったが、咄嗟に口を押さえる。
こんなにすやすやと寝ているんだ。邪魔をするわけにはいかない。
――あ、転校生のまつげって、意外と長いのか。
起きている状態の少女だと冷静に見ている暇すらないので、今のうちに堪能しておくことにする。
女の子の膝枕なんて、夢のまた夢みたいな感じの生活をしていたからな。
関わることすらしなかった俺が言っていい言葉ではないけども、男なんてみんなそんなもんだ。と、全世界にいる純粋な男を敵に回す発言を心の中だけで発する。
「そういえば……あれから、どうなったんだったっけ?」
紅帝学園に属している少女相手に説教をしていた所までは覚えている。
だけど、楯を取り出した所ぐらいから記憶が曖昧だ。何があったのか……思い出そうと目を瞑り集中すると、頭にノイズが走った。
(駄目だ……。思い出せない)
「……覚えていないのですか?」
不意に俺の問いに答えるような転校生の声が聞こえた。
答えが返ってきたことに驚き、目を見開くと、今までのような冷たく突き刺さるような視線ではなく、暖かく親が子を見守るときのような暖かい少女の瞳が視界に入った。
「起きてたのか……?」
「いえ、ついさっき起きました」
そっか……。なら良かった。
もしかして俺が転校生の顔を凝視していたことも知っているのかと思った。
「で、お前の問いの答えだけど、まったくもって覚えていない。楯を取り出した所までは覚えている。だが、そこからの記憶が曖昧で……思い出そうとすると、記憶が消されているみたいにノイズが走る」
「そうですか……」
「転校生……。お前、あの戦いを見ていたんだよな?」
「ええ、見てました」
「だったら、教えてくれ。……俺の体が異常なまでに重いわけと、この頑丈で有名な鉱石を使った校舎の一部分が破壊されている理由を」
本当だったら動きまくりたい気分なのだが、体がまったくもって言うことを聞いてくれない。体が石のようだとは、このことを言うのだろう。
手や足……挙句の果てには、指一本すら動かすことが叶わない。
唯一、自由に動かせる顔だけを動かし、戦いの舞台となった屋上を見回すが、頑丈な素材で出来ている屋根の一部分が見事なまでに破壊されていた。
「わかりました……、お教えします。ですが、その前に私のことは雪羅とお呼びください」
「いや、でも……」
女の子の名前を呼べといきなり言われ、慌て果てる俺。
……というのも、今まで碌に人と関わっていないのだ。いきなり女の子の名前を呼ぶなんてハードルが高すぎる。
「お呼び下さい」
「……はい。わかりました」
再び同じ台詞を同じテンションで言われた俺は、反抗しても意味がないものと考え、目の前にいる少女の名前を呼ぶことにするしかなかった。
「では、お話します。御影様の抜けた記憶の話を……」
これにて光輝視点の光の始まりは突然に……。は、終了です。
次に更新するであろう氷室 雪羅視点にご期待ください。
印象が変わった理由があきらかになります。