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笑天宮御政録 ―自然に暴走する女帝と常識トリオ―  作者: 鑫鑫
第四章 白風の外交なんよ

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第三話 歓迎式典なんよ

部屋の隅、影に潜んでいた初老の典礼官(進行役)が一歩前へ出た。

彼は中央へ向かい、音もなく深く、見事な一礼を捧げる。


「これをもちまして、式典を閉会いたします。一同、ご一礼ください。」


その青い衣服の擦れるわずかな音が聞こえる。


「皆さま、そのままご退場ください。皆さま、誠にありがとうございました。」


しかし、天鏡殿を後にするものはいなかった。

光の帯は静かに揺れ、四十八本の朱柱は淡く光を拾い続けている。


蒼嶺使節団の4人は青い衣服の典礼官をただ、ただ崇拝の眼差して、その一挙手一投足を見つめている。

白嶺使節団の4人は典礼官の礼式を素晴らしいと認めている。

紅蓮使節団の4人は朱柱は淡く光を羨望の眼差しで見つめていた。


その様子から察した典礼官は一切の動揺も見せず、静かに前へ進み平然と言い放つ。


「これより第2部といたしまして、技術報告会を執り行います。」


典礼官「こちらは、天華国の染織技術により染め上げた上質な蒼布でございます。」


影導公「上質な蒼布!……蒼の加護の証……!」


影記官「布の揺れを記録します……角度は加護の初動……」


蒼騎士「影が伸びた……進軍の兆し……」


蒼僧「蒼の神意が……布に宿っとる……」


揺間導師「布の揺れ……揺れ礼の“間”が整っております……」


光戦団長「蒼い布は何物か!」


天華「ほい、自然に布なんよ。染めただけなんよ」


兵卒「布の意味が六種類あるんよ!!

   布が六方向に勝手に解釈されとるんよ!!」


剛明「……何だったのでしょうか……?」


典礼官は金糸を持ち上げた。

ただの金色とは一線を画す、悠久の時を閉じ込めたような黄金の光沢を放つ


典礼官「こちらも天華国にて製作いたしました光を受けて揺れるよう織られた金糸でございます」


揺間導師「揺れ礼の“間”が……金糸に宿っとる……!」


揺記官「揺れの周期が……完璧……!」


揺衛士「揺れの乱れがない……これは礼の極……!」


揺僧「心の揺れが整っております……」


影導公「典礼官殿……影礼の初動……」


光戦団長「金糸の反射……勝利の兆し……!」


光記官「光の角度……戦勝礼の記録を……!」


光衛士「糸が光った……勝利の加護……!」


天華「ほい、自然に光が反射しただけなんよ」


兵卒「金糸が揺れ礼になっとるんよ!!

   勝利の兆しにもなっとるんよ!!

   影礼にもなっとるんよ!!」


剛明「……何だったのでしょうか……?」


典礼官が銀器を捧げ持つと、差し込む天光の帯がかすかに揺れ、その硬質な肌が星屑のような乱反射を紡ぎ出した。


典礼官「こちらは、晩餐会にて使用します料理を映えさせるための銀器でございます。」


光戦団長「勝利の器……!」


光記官「光の反射……戦勝の兆し……!」


光衛士「器が光った……勝利の加護……!」


光僧「光の揺れ……天意の勝利……!」


揺間導師「器の揺れ……揺れ礼の“間”が整っております……」


影導公「器の影が……蒼の導き……!」


天華「ほい、自然に光っとるだけなんよ」


兵卒「器の意味が三方向に分裂しとるんよ!!

   銀器が勝利と揺れ礼と影礼になっとるんよ!!」


剛明「……何だったのでしょうか……?」


影導公「天華国……すべて蒼の加護が通っております。」


揺間導師「揺れ礼の“間”が天華国に宿っております……」


光戦団長「勝利の光が天華国に走った……!」


兵卒「三品の意味が三国分裂しとるんよ!!

   統合してないんよ!!

   勝手に統合したと思っとるだけなんよ!!」


剛明「……天華国は……何だったのでしょうか……?」


天華「ほい、自然に文化が揺れただけなんよ。」


薄花「……三国の影が……静かに重なって……

   友好の物語が息をするんよ……」


兵卒「息せんのんよ!!

   物語せんのんよ!!

   息するんは人のほうなんよ!!」


各国は勝手に天華国が自国文化を理解したと思い込んだ。

各国使節団の面々は、「天華国は自国文化を受け入れた」と確信し、満面の笑みで会場に留まっている。


「続きまして──天華国の暦について、簡単にご説明いたします。」


典礼官は薄い冊子を開き、

儀式の呼吸を崩さぬまま、静かに告げた。


「天華国では、一年を十二の“照(てらし)”に分けております。

朝光の角度、朱柱の反射、影の伸び──

これら自然の変化をもとに暦を定めております。」


天華「ほい、自然に光っとるだけなんよ。

   暦なんよ。自然に決めとるだけなんよ。」


兵卒「自然の変化で暦を決めとるんよ!?

   角度と影と反射で一年が進むんよ!?

   数字の出番どこなんよ!!」


剛明「……暦とは……何だったのでしょうか……

   ……自然が……暦を……読んでいる……?」


薄花「……光と影が……静かに重なって……

   季節が息をするんよ……」


兵卒「息せんのんよ!!

   季節は息せんのんよ!!

   息するんは人のほうなんよ!!」


典礼官は冊子を閉じ、

深く一礼した。


光の帯が揺れ、朱柱が淡く光を拾い続けていた。

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