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第四話『Dreams Never End』

お疲れ様です。

今日はホッケをつまみに飲みました。

第四話です。

ミリエルが帰っていった後も俺たちは七輪を囲みつつ、朝飯を兼ねて中身のない会話を続けていた。早朝からなし崩し的に始まった七輪を囲む会だったが、気がつけば正午を迎えようとしている。


「今さらだけどさ〜、ハルちゃんもドランも今日休みでしょ?どっか遊び行かない?」


そう言ってタンブラーの中身を勢いよく飲み干したレグは目を輝かせている。


「元気すぎないか?俺、お前の炭起こしで起こされたし、これ終わったら寝ようと思ってたんだけど……」


いつの間にか雲ひとつない青空の下、酒も回って腹も膨れて今すぐにでもベッドに飛び込みたい俺に不満を隠さないレグ。


「ええええええええ〜!せっかく久々に3人ともそろって時間あるのに寝ちゃうとか、レグちゃんさびしい〜〜〜!」


アヒル口で頬をフグのように膨らませている美形のエルフ。かわいくないし、なんなら引っ叩きたくなる。


「あまりハルを困らせるな、レグ。俺も付き合ってやりたいところだが、あいにく忙しくてな」


そもそもドランがレコードを片手に出てきたのは、BGMの選曲はもちろんなのだが、レコード棚の並べ替えによるものが理由だ。アルファベット順だったり、年代別だったり、レーベル別だったりと、定期的に(というよりドランの気分で)部屋中をひっくり返しているのだ。こういうところにドワーフの気質を感じる…気がする。


「忙しいとか言うけどさ、どうせレコードの整理でしょ?穴掘って埋めるって作業を延々と繰り返してるようなもんじゃん?ドラン、そんな奴隷みたいな人生でいいの?」


「俺はこれが性に合ってるんだ」


「んも〜いっつもそう!ハルちゃんなんか言ってよぉ〜〜〜!」


「レグちゃん、ご機嫌ななめなの。オムツ替えてあげようか?」


「こらー!男に絶対にやらせないぞ!」


このなんの生産性のない時間というのは最高に楽しい。エルフのレグやドワーフのドランと違って、ヒトである俺は人間としてけっして若くはない。

それでも30歳を過ぎてなおこんな青春のような時間を過ごせていることは単純に幸せだなと思う。


ギャーギャー騒いだ赤ちゃんエルフを宥めすかして俺たちは1Fのリビングへ戻ってきた。くたびれたソファ、観葉植物、スロットマシン、タブレットにスマートスピーカーなどなど。

――この無秩序さこそ、俺たちの秩序だ。


「そういえば、ミリエルの姐さんは何か用事があったのか?」


ドランが水出し麦茶をセットして冷蔵庫にしまいながら言い出すものだから、レグと俺は思わず「それな」とハモってしまった。


「なんだったんだろうね〜?俺のマナが忘れられないんじゃない?なんつって!」


ドサッとソファにもたれこんだレグはテーブルの上に散らかる郵便物を整理しはじめた。すると――。


「……ん?」


レグはある紙切れを見つけた。


「どうした?」


「いや、なんか……って、うわああああああああ!!!」


「!?!?!?」


レグがまるでゴキブリでも出たかのように飛び上がった。その手に握られていたのは、虹色の長方形の紙。


「お前、それ……」


そこには確かに、こう書かれていた。



《新宿区魔法条例 違反告知票》

魔法散乱区域内における未登録魔法使用が確認されました。

違反者:種族 エルフ / 通称「レグ」

内容:炭火着火補助行為(魔力使用)

罰金:12,000円

支払い期限:発行日より14日以内

支払い方法:現金・各種クレジットカード・各種電子マネー



「うわ〜〜〜!やっちまった〜〜〜〜!!」


「お前、朝から魔法使ったのバレてんじゃねーか!」


「てか、“通称レグ”ってなんだよ!?本名書けや!!」


「そこ!?」


 俺たちは大爆笑しながら、違反票を回し読みする。なんだかんだで、これがレグの確率変動。右を狙え。


「って、笑いごとじゃないんだけど!? これ払えって!?」


「…自業自得だな。姐さん、察してたのかもしれん」


「だから来たのか、ミリエルちゃん……天使すぎないか……?でも助けてくれたわけでもないし、もういっそのこと赤ちゃんになりたい……」




「まあまあ。俺たち面会行くよ。差し入れオムツでいい?」


「そこまでじゃねーよ!!」


レグが全力でツッコんだ瞬間、リビングに放置されているスロットマシンが音を立てて光った気がした。

意図せずとは言えレグオチばっかりになってる気がします。

数をこなしてナンボのマインドで書き続けたいと思います。


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