推しのカレンダー リビングに飾るか寝室に飾るか
あなたに「推し」はいますか?
もしいたら、あなたの推しを思い浮かべて読んでみてください。
いないあなたは、もし推しがいたら、こんな感じなのかな…と思っていただけると嬉しいです。
ある春の穏やかな日。ひとしきり家事を終え、そろそろお昼を迎えようという頃
「ピンポーン」
インターホンが軽やかになった。
モニターを見ると、いつもの配達のお兄さん。私はウキウキしながら玄関を開け商品を受け取る。発送元を確認すると、にやける顔を抑えつつお兄さんにお礼を言って玄関を閉める。
ハンドソープで手を清め、誰もいないリビングで「開封の儀」を行う。至福の瞬間だ。幼い頃のクリスマスを思い出す。わくわくしながらプレゼントを開くあの頃と同じ気持ちだ。待ち焦がれていたグッズを届けてくれる配達員さんは、私にとってのサンタさんである。はやる気持ちを抑え丁寧に箱を開けると、そこには緩衝材に包まれた推しが待っていた。特典のポストカードのイケメン具合に赤面しながら、今回のメインに手をかける。
今回我が家に迎え入れたのは、4月スタートのカレンダーである。1年間、12ヶ月の季節に合わせた推しを堪能することができ、季節の移り変わりを推しと感じることができ。さらには1年間一緒に時を刻むことができる幸せアイテムである。早速、どこに飾ろうかと部屋の中を見渡す。そして、ある難問に差し掛かる。そう、このカレンダーをどこに飾るかということだ。1日の大半を過ごすリビングに飾れば、推しに見守られながら家事ができ幸せだ。だが、旦那と娘の許可が必要だし来客もある。では、寝室はどうだろうか。1日の終わりに推しに見守られ眠りにつき、目が覚めると真っ先に推しを見ることができる。これもまた幸せだ。しかし夫婦の寝室に推しが常にいることを夫はどう思うだろうか。だからといって、せっかくのカレンダーを棚の中にしまい込むことはしたくない。けれど今後の推し活をスムーズに行うためにも、極力波風は立てたくない。
「どうしよう・・・」
いい飾り場所が決まらないまま夜になり、夫と娘が帰宅した。
夕飯後、私は家族に相談した。
すると、夫が意外な提案をしてくれた。
荷物置きになっている部屋を整理して、私の推し部屋にするという案だった。
好きなだけグッズを飾れるし、一人の時間を持ちたいだろうと提案してくれた。
次の休日には、荷物を片付け棚を買い、私の部屋を作ってくれた。さらには、リビングのテレビをワンサイズ大きくしたいと言って買い替え、元リビングのテレビを私の部屋に運んでくれた。
「これで好きなだけ推しが楽しめるだろう、日頃の感謝の気持ちだ。」
夫がぶっきらぼうに言い放つ。
私は推しのカレンダーを手に入れたことで、思いがけず自分の部屋と、夫からの感謝の言葉まで手に入れてしまった幸せ者だ。
「推し」がいる日常は、それだけでキラキラと輝いて、人生が何十倍も楽しくなると感じています。しかし推し活を充実させるには家族の理解と協力が必須です。均衡を保って平和に楽しく過ごしたいものです。