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第49話 対古代龍

「これが……結界ね?」


 翌日、早朝。


 日も明けないうちに出発した一行だったが、首尾よく最初の目的地へと辿り着いた。

 なぜならその結界は予想以上に広範囲に展開されていたからだ。


 小さな町1つくらいなら覆い尽くせるであろう結界。

 さらにその強度はハナブサですら手を焼くものだ。


「恐らく結界の周囲を配下が見回っている。急ごう」


 ハナブサが対峙した吸血鬼も、この結界を破壊しようと試行錯誤しているときに現れたという。


「いいわ! 私の全力、見せてあげる!」


 ビビアンは手を広げ、10本の指の先が1つになるように構える。

 その指先から中心に向かって魔力が伸びる。


「はぁぁぁ……」


 ビビアンが集中し、魔力を練る。

 完成までしばらくかかると本人は言っていたが――。




「まずい! 何か来るぞっ!」

「――っ!? でかいっ!?」


 シルヴィアとハナブサが一早く気付き、ビビアンを守る体制を取る。

 しかし、それもあまり意味を為さなかった。


「そこの人間ども、何をしている」


 突如、上空から爆音のような声が降り注いだ。

 その声の持ち主にふさわしく、巨大な身体を誇るドラゴンだった。


「あれは!? ドラゴン……!?」

「如何にも、我はドラゴンの王。古代より生きる龍の王グランナーグルよ!」


 咆哮とともに名乗る巨大なドラゴン。

 その威圧感と感じられる実力は、先日のアースドラゴンが赤子に感じられるほどだった。


 魔物でありながら高い知能を持ち、人語まで操るまでに至ったドラゴン。

 それがグランナーグルだった。


「我が盟友の頼みにより様子を見に来たが……早く見つけられてよかったぞ」


 そう言うや否や、グランナーグルの口から魔力が漏れ出す。

 

 一行は気付かなかった。

 アンジュが察することができると言うことは、彼の天使も同じだと言う事を。


「ちょっ! ちょっとまずくないですか!?」

「……」


 慌てるロクサーヌに対し、ハナブサは何も答えられない。

 冷や汗を流し、どうすれば全滅を避けられるか思考を巡らせる。


 ロック鳥の時は、敵が下りて来たところを切り伏せた。

 しかし今度の敵は遥か上空。そこから死のブレスを吐くつもりだ。


「……逃げろっ! 認識が甘かった!」


 まさかこれほどまでに強力な魔物を従えていたとは!

 ハナブサの脳裏には短いながらも気の合う仲間たちの姿が過ぎり――。


「問題ない!」

「グォォォッ!?」


 突如大気を震わす衝撃音とともにグランナーグルが勢いよく仰け反った。


「何だ貴様!?」


 ドラゴンがそこに目を向けると、小さい天使に抱えられた女がいた。


「シ、シルヴィアさん!? アンジュ様も! なんて無茶をっ!」

「無茶だ! その体制では――!」


 格好の的になってしまう。

 またしても自分の手が届かないところで……絶望に似た感覚に陥るハナブサ。


「舐めているのか!」


 グランナーグルが巨大な腕でシルヴィアを叩き落そうとするが――。


「『闘気』全開! アンジュも私に力を!」

「うん!」


 シルヴィアの闘気とアンジュの支援魔法が重なり合い、激しく輝く。

 その力を振ってくる腕に叩きつけた。


「うぉぉぉぉぉ!」

「ぬぐぅっ!? 何だ……と!?」


 ドラゴンの腕は弾き上げられ、無防備な胴体が正面を向く。


「アンジュ!」

「うん!」


 すかさず懐に潜り、渾身の一撃をドラゴンの胸を斬りつけた。


「グガァァァッ!? おのれっ! おのれぇっ!」

「っち! さすがに堅いか!」


 グランナーグルの表面を覆う固い鱗に阻まれ、大きな衝撃は与えられたが切断することは叶わなかった。


「ならば……真なるドラゴンの魔法を受けてみよ!」


 グランナーグルの咆哮と同時に、周囲に無数の火炎弾が出現した。


「かつて人間の大国を滅ぼし尽くした煉獄の火炎だ……『真獄ノ絶炎』!!!」


 シルヴィアたちに殺到してくる無数の火炎弾。

 その1つ1つが地形を変えるほどのエネルギーを持っていた。


「――!」


 対抗するのはアンジュ。

 彼もまた無数の光の剣を召喚して切り払う。


「ふはははっ! さすがは小さくても天使! さすがと言ったところだが無駄だ! そんなちっぽけな魔法で防ぎきれるかっ!」

「当然! アンジュだけに任せる私ではない!」


 アンジュが火炎弾を防いでいる間に、グランナーグルの頭上に跳躍していたシルヴィア。

 ありったけの力を込めた大剣が、油断していたグランナーグルの右目を切り裂いた。

 

「――っ!?」

「ははっ! 目は流石に切れたな!」


 そのまま落下していくシルヴィア。


「……認めよう。貴様らは強い! しかしっ!」


 空中で身動きの取れないシルヴィアをその大口を開けて噛み砕こうとするグランナーグル。


「そこでは動けまい! 死ねーっ!」

「くっ!」

「おねえちゃーん!」


 魔法の間を抜け、アンジュがシルヴィアに抱き着いた瞬間、グランナーグルがその口を閉じた。


「――っ! アンジュ様ーっ!!!」

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