第48話 王国の最西端にて
それから数日後。
ウエス領から更に西を目指す一行だったが――。
「……!」
突然アンジュがビクンと身体を震わせた。
「あら、寒いんですか?」
そう言って体を寄せてくるロクサーヌ。
シルヴィアは馬を走らせていてここにはいなかった。
「……いるよ」
「? えぇ、ずっとお傍にいますよ」
「おいロクサーヌ、お前はどいてろ」
普段とは様子が異なるアンジュに気が付くビビアンが普段通り様子のおかしいロクサーヌを端に寄せる。
「いるって……何がだ?」
「……」
アンジュは話さなかった。
しかしその表情は強張り、微かに震えている。
その様子が物語っていた。
彼の天使が近くにいる、と。
「お、おい! 大丈夫なのか?」
「……アンジュ」
それを遮り、いつの間にか馬車の中に入って来ていたシルヴィアがアンジュを抱きしめる。
「辛かったら、お前は街にいてもいい。どうする?」
「……いく」
天使の力を持つとはいえ、子どもであるアンジュ。しかもトラウマを植え付けた存在が近くにいる。
それでも行くと勇気を奮い立たせた。
「うむ! お前は必ず私が守るからな!」
「……」
それに答えず俯いたままのアンジュ。
「さて、改めて作戦を確認しよう」
それを敢えて無視し、ハナブサが声を上げる。
「まずは前提として、奴の配下の魔王。正直今どの程度いるかわからんが……そこまで多くはないだろう」
各地で仲間の魔物や魔王級を集めながら逃げ回っていた天使。
とは言え、魔王の数自体の数が少ないためほんの一握りだろうと推測するハナブサ。
「俺が戦ったのは吸血鬼。奴は体を霧化できる。主人と似てピンチになったら体を霧にして逃げる」
以前結界を壊そうと試しているところにこの吸血鬼と接敵、お互い決定打を与えられず逃げられたとのこと。
「それと結界だが……」
「私ね!」
ビビアンが自信あり気に答える。
「魔力を溜めるのに時間はかかるけど、自信はあるわ!」
「うむ! お前の魔法は凄いからな!」
「……あんたに片手で弾かれたけどね」
それでもあの時からビビアンも成長している。
信じるには十分だった。
「吸血鬼も結界もビビアンが鍵となるだろう。その後は少しでも早く彼の天使の元に辿り着く。そのためには……」
「うん」
アンジュの方を見るハナブサ。
どうやら仇の天使の気配を強く感じるようで、作戦に組み込むこととなった。
「……正直、私は吸血鬼と結界で魔力の大半を使ってしまうと思う。けど――」
「大丈夫、それでもできることはあります」
ほとんど回復しかできないロクサーヌ。それでもできることはあると腐らずにやって来た。
「……他にどんな敵がいるかわからない。手段は多い方がいい。それに……ここで逃がすと奴はまた力をつける」
「ああ! 必ずここで討つ!」
改めて彼の天使討伐への決意を固める一行だった。
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