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第45話 久しぶりの……

「ひぃー……ひぃー……やっぱ、こうなるのね……」


 出発からしばらくは借りた馬で進み、その後目撃情報のあった近辺で獣道を進むシルヴィアたち一行。


「だらしがないぞ! 毎日酒ばかり飲んでるからだぞ!」

「最近は飲んでないじゃない! ふざけんな!」

「はっはっは! 知ってるぞ! それに叫べるほど元気じゃないか!」

「ふっざけんな! ふざけんな!」


 疲れた様子を隠そうともしないビビアンをからかうシルヴィア。


「……いつもこうなのか?」

「へ? まぁ割と騒いでるかもですね」


 意外と元気なロクサーヌに声をかけるハナブサ。

 ロクサーヌとしては何となく苦手にしている相手でもあった。


「ふむ……まぁいいか」


 幸か不幸か魔物の気配は感じられない。

 『開放者』の特性は働いていない。


「ちょっと……割と近場にいるんじゃなかったの……?」

「そう言っていたが。それも数日前のことだったようだしな」


 一般的な人間側としては幸いなことに、ドラゴンは森の奥に向かったらしい。


「はぁ……さっさとドラゴンなんか倒しちゃってそのお金で酒を浴びるほど飲みたいわ」

「……」


 ジトーっと見てくるシルヴィアとロクサーヌ。


「……普通に飲むだけよ。あんたらも来る?」

「紅茶でいいなら、喜んで」

「オレンジジュースでいいならな!」


 ……。


 ……。


 ……。


「さて、この辺で夜営するか」

「ヒュー……ヒュー……よ、うや、く、ね……」


 虫の息をしているビビアン。


「今日はご飯……じゃなくて、動物や魔物とも出会えませんでしたし」

「お前……ロクサーヌは意外と慣れているんだな」


 聖女らしからぬ言動に驚かされ続きのハナブサ。


「まぁ……私たちの旅も長いですからね……」

「そうか……」


 物思いに耽るハナブサ。


「お前たちの旅の話、聞かせてくれるか?」

「ん? 前に話しただろう」

「そうではなく……その……なんだ」


 出会ってから早々に、お互いを利用するために交わした情報。

 そうではなく、何に触れ、何を為し、何を思って来たのか。


「私が話すわ。こいつらが話すと8割はアンジュのことになるから」

「失礼な! 9割ですよ!」

「? アンジュのための旅なんだから……全部だろ?」


 ダメだこいつら手に負えない。

 そう思いつつ、話し始めるビビアン。


 悲しい出来事により借金を背負わされ無理矢理働かせられていたこと、シルヴィアが襲い掛かって来たこと。

 海で楽しいひと時を過ごすはずだったのに無理やり戦わせられたこと、シルヴィアが海の上を走ったこと。

 2人はダメダメだから大人の自分がついて行ってあげることにしたこと。


 ビビアンが仲間になってからそう長くはない。

 それでも満更でもない様子で多くのことを語るビビアン。




「そうか……」


 ビビアンの話に満足そうに、小さな笑みを浮かべるハナブサ。


「ひどい……ビビアンさんがいかに自分勝手な人かわかりますね」

「おい! アンジュの話が足りないじゃないか!」

「話したわよ! アンジュのことは……まぁ、ね」


 ハナブサを見るビビアン。

 アンジュのことは敢えてあまり触れなかった。


「……そうだな。この少年と馴れ合う気はない」

「(なら! どうして!)」


 話の間ずっと、アンジュの頭を撫でていたのか。


 アンジュはいつの間にかハナブサの膝を枕に眠っていた。

 その頭を……無意識なのだろうか、ずっと優しく撫でていたハナブサ。


 納得できない心を押し殺し、ビビアンがハナブサに促す。


「次はあんたの番よ」

「……ん?」

「あんたが今まで何をして、何を思って来たのか。私たちも話したんだから次はあんたでしょ」


 静かに、しかし逃す気はないと迫るビビアン。


「……俺は……特には」

「はい嘘! さっきお姫様を助けた時に『慣れてる』って言ってたでしょ! その辺の話でもしなさいよ!」

「ほう……それは面白そうですなぁ……?」


 真っ先に反応したのはロクサーヌ。

 愛に飢え、愛を欲する彼女は他人の恋愛模様にも興味津々だった。


「……そうだな。たまには思い出してみるのもいいか」


 そうして語り出すハナブサ。


 アンジュは既に、シルヴィアも早々に、ロクサーヌはいつの間に。

 3人が眠りについた後もしばらくビビアンと2人で語り合うのだった。

読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/


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