第44話 反省とごめんなさい
結局、その日はシルヴィアとアンジュ、ロクサーヌとビビアンとで別れて眠ることになった。
「アンジュ、怖かったか?」
「うん……」
先程ハナブサに怒鳴られてしまったアンジュに、寝ながら問うシルヴィア。
「そうか。そんなにハナブサと一緒が良かったのか?」
「うん……」
「どうしてそんなにハナブサがいいんだ?」
「おじさんとなかよくなりたい……それに……」
「それに?」
「おじさんから、『さみしい、くるしい』ってこえがきこえるの」
「そうか……」
単純にアンジュの我儘でもないようで、シルヴィアも返答に困る。
「ぼく……おじさんにきらわれちゃった……?」
そうではない、そうではないはず。
ハナブサも決してアンジュ本人を嫌っている訳ではないだろう。
シルヴィアにもそれくらいはわかるつもりだった。
ただ、昼に纏わりついていたのも、一緒に寝たいと言ったのもやり過ぎだった。
「そうじゃないさ。けど……まだハナブサはお前の全てを受け入れられていないだけさ」
「……」
「そうだな……とりあえず、手を握るだけにしてみたらどうだ?」
「手?」
過去を振り返るシルヴィア。
自身も決して最初から全部で来た訳ではない。
ダンベルを持ち上げるときも、最初は10回、慣れてきたら100回、そうやってできるところから積み重ねてきたのだ。
「どうする? 嫌か?」
「ううん」
「そっか」
「……あした、おじさんにごめんなさいする」
「そうだな」
それから、勇気が出るように優しく抱きしめて眠るのだった。
「シルヴィアさん……成長しましたね……!」
「お前はそれでいいのか……?」
隣で聞き耳を立てているロクサーヌだった。
◆
「……来たか」
「……」
翌朝、宿屋の前で合流する一行。
トテトテとハナブサに駆け寄るアンジュ。
「きのうは……ごめんなさい」
「……ん」
「……」
「……俺も、強く言い過ぎた」
視線を合わせず、ハナブサがぶっきらぼうに言う。
「……手、繋いでいい?」
「……俺からは関わらない」
「……」
「……拒絶もしない」
顔を輝かせ、笑顔になるアンジュ。
少しずつ、少しずつではあるが確実に距離を縮めている2人だった。
その足で門の入口まで向かう一行。
そこには何やら慌ただしく騒いでいる行商人たちがいた。
「どうされました?」
「あぁ、あんたらか。どうやら、この先で魔王が現れたらしい」
「何っ!?」
このタイミングで魔王とは、まさか彼の天使では。
そう思ったシルヴィアたちだったが、残念ながら違ったようだ。
「逃げ帰った騎士たちによると、敵はアースドラゴンだとか。幸い群れは形成していないが、単体でも強力なやつだからな……」
「……ふむ」
どうやらそのドラゴンが近くにいるせいで出発できずにいるようだった。
「困りました。幸い街道からは多少離れているという事ですので……強行するか迷っているところです」
行商人もやって来て会話を引き継ぐ。
その表情からはロック鳥を瞬殺した彼らなら、という願望が見え隠れしていた。
ドラゴンは街道から離れた場所にいるが、万が一と言うこともある。
1度ターゲットにされてしまえば追いかけられることもある。
ここで滞在して討伐されるのを待つか、ルートを変えるか。
いずれにしろ損失は大きくなってしまう。
否が応にも期待してしまうのは仕方がないことだった。
「ふむ。ならばその討伐引き受けよう。みんなもそれでいいか?」
「……俺としては願ってもないこと」
シルヴィアの問いに真っ先に答えるハナブサ。
彼の魔物への憎しみは依然深い。
「もちろんです。困っている人を放っては置けませんから」
「……報酬は? あと、昨日の姫様との件もあんたなんかしてたろ。それも加味しての報酬な」
「あへぇ? あ、ははは! もちろんですとも!」
1人冷静なビビアンだった。
「さて、それじゃ早速行くぞ!」
行商人から必要経費として食料等を貰い、ドラゴン討伐に向かう一行だった。
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