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第33話 大人買い

「では、2つ目の確認です。あの子をのことどう思いますか?」

「どうって……魔物、ではないのよね。正直、子どもってあまり好きじゃないのよ」

「では……異性として好きになる可能性は――」

「はぁ? 何言ってんのあんた。頭おかしいんじゃないの?」


 シルヴィアとハイタッチを交わすロクサーヌ。


「それは良かった。ではこれからよろしくお願いしますね」

「本当!? ラッキー! 正直今の答えでよくいけたわね!」


 なぜ同行者と思われる少年を気持ち悪がったりしても許可されたのだろうか。

 そんな些細なことは、彼女にとってどうでも良かった。自由にさえなれれば。


「シルヴィア様、一応ご忠告しておきますが……おやめになった方がいいと思いますよ?」

「ちょっと! 何出しゃばってんのよ! あんたには関係ないじゃない!」


 ホワイトの配下である店員が待ったをかける。


「この女は色んな場所で借金を重ねては逃亡を繰り返しているんですよ」

「ぐぅっ!」


 余計なことを言うな、と恨みが籠った視線を送るビビアン。


「今回の件を含め、我々がまとめて肩代わりして雇ってやったんですが、その額がこちらです……」

「……わぁ、家が買えますね……大き目の」


 とんでもない額が記された証文を見せられる。


「おまけに逃亡癖もありまして……善意を仇で返されますよ」


 まさに今の自分たちのように、そう顔に書いてある男に対し、シルヴィアが答える。


「まぁ、問題ないだろう。私からは逃げられんさ」

「それもそうでしたね!」


 怯えと畏れと納得顔で笑う男。


「さて、ここにあるお金で足りるといいのですが……」

「『爵位をー』とか『専属騎士にー』とか言ってたから大丈夫だろう!」


 ロクサーヌが机の上においたのは、魔王討伐の件で貰った褒賞金だった。

 予想以上の金額に内心焦っているが、恐らく足りるだろう。


「……確認してまいります。少々お待ちください」



 店員が地下へと続く道に消える。

 恐らくホワイトの元へ行ったのだろう。


 大金を動かすことは元より、厄介者であるビビアンをわざわざ店で雇っていたのだ。

 何かしら理由があり……これらのことをホワイトに確認するために。


「まぁ、問題ないだろう!」


 ◆


 その後しばらくして、小鹿のように震えたホワイト本人からビビアンを引き渡す旨を告げられたシルヴィアたち。

 加えて、万一ビビアンが逃亡しても彼らが捜索に協力してくれるそうだ。


「ふふ、持つべきものはいい友人ですね!」

「わっはっは。そうだな! 上下関係がはっきりしてるほどいい!」


 逃げる気は毛の先ほどしかなかったビビアンも、この騎士風な女と聖女風な女が只者ではないことに気付き、青い顔をしている。


「あ、あんたら……一体何が目的で私を……?」

「おや? 最初に述べましたが、旅の仲間としてですよ」

「魔王討伐の旅だがな!」

「ま、魔王!? さすがにそれはっ……いや、他に仲間がいるのか?」


 まさかこの人数で、ということはないだろう。ある訳がない。

 その上魔王討伐の旅に子どもが一緒に行く訳がない。


「……よろしくお願いしますね」

「問題ない!」


 答えない聖女風と、問題しかない騎士風。

 ビビアンが頭を抱える。


「進んでも真っ暗、逃げても真っ暗。あーあ、私の人生、どこで狂ったのやら……」

「おめでとうございます! 狂った人生が今、正しい道に戻りました!」

「……」


 何を言っても無駄だと悟ったビビアンだった。




 ◆◆◆




 ――それから数日後。

 旅支度を整え、次の町へと向かうシルヴィアたち。


「……何で山道に?」


 ロクサーヌと違い、早々に疑問を呈するビビアン。


「魔王を探しているからだ!」

「言いたいことはわかりますが……慣れると楽しいですよ!」


 徐々に筋肉に飲み込まれているロクサーヌだった。


「……はぁ」

「……」


 溜息を吐くビビアンに、心配そうな顔でぷかぷかと近づくアンジュ。


「ちょっと、近づかないでよ! 気持ち――」

「おい」


 ビビアンが罵倒の言葉を吐こうとした瞬間、ビビアンの口を見えない何かが塞いだ。

 塞いだのはもちろんビビアン自身。死なないために。


「慣れない旅に不条理な山道の探索。不満を覚えるのはわかるが、アンジュを傷付けることだけは許さない」

「……(コクコク)」


 魔王をも射殺すであろう冷たい眼光を前に、ビビアンは頷くしかできなかった。




「……成長しましたね。てっきり殴りつけるのかと」

「……言っただろ、暴力に頼らない努力だ」


 離れたところでコソコソ耳打ちするロクサーヌ。

 喜ばしいと思うと同時に、もう1つ発見した事実に驚愕していた。


「(まさか山道の探索のこと、不条理だと理解していたとは……!)」

読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/


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