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第32.5話 幕間 魔物ハンター

「仲間が必要?」




 魔王、マナガルムを討伐してからビビアンを仲間にするまでの間。

 ロクサーヌは他にも旅の仲間となれるような人材を探していた。


 そこで衛兵団に相談に訪れたのだが――。


「悪いが、ここに脅威度Bを簡単に屠れるような奴と組める人間はいないよ」

「そうですか」


 わかってはいた。

 先の戦いでシルヴィアの異常な強さも、彼女たちの目的の困難さも理解したロクサーヌ。


 だからこの相談は、本命前の、運よくいればいいな程度の物だった。


「そこまで切実に探してるなら……『魔物ハンター協会』にでも行ってみたらどうだ? 正直おすすめはしないが……」

「『魔物ハンター協会』ですか?」


 魔物ハンター。

 腕っぷしや魔法の才能を武器に、魔物を討伐して食い扶持を稼ぐ者たち。

 そしてその協会は、必要な情報を提供したり素材の買取を行ったりといった機能を持った団体。


 しかし、安定した生活を送るためには魔物の数は少なすぎ、そして強かった。

 このため、まともな強い人間は街の衛兵団に所属したり他の仕事に就くのが一般的であり……旅に同行できる者という条件では厳しいのは変わらなかった。


 要は、まともな人間が見つかる可能性は限りなく低かったのである。


 ◆


「俺はミード! 剣士だ!」

「わ、私は……魔法使いフリードリヒ・ヴァン・アストロギアスである。フフフ、フリードリヒと呼んでくれ給え」




 その後、魔物ハンター協会にて人材を紹介して貰ったシルヴィアたち。


「ミードと……ヴァンだな! よろしく頼む!」

「フフ、フフ……フリードリヒである……」


 筋骨隆々の剣士ミードとどこかオドオドした様子のフリードリヒ。

 早速彼らの実力を確かめに、近くの山道を進んで行く。




「ブモォッ!」


 そこに、魔物ではないが危険な動物、ワイルドボアが現れた。

 危険といっても戦えない一般人にとっては、であるが。


「いよぉしっ! まずは俺からいくぜぇぃっ!」


 まずは筋肉剣士が威勢のいい叫び声を上げ、ワイルドボアに突っ込んでいく。


「今夜はごちそうぶぎゃっ!?」

「……」


 残念ながらその剣技はアンジュを彷彿とさせるレベルのものだった。

 どうしてその実力で自信満々に突っ込めたのだろうかとシルヴィアは考え込んだ。


「つ、つつつ次はわたっ! 私が!」

「よろしくお願いします、フフフフリードリヒさん!」


 ロクサーヌの声援を受け、フリードリヒは魔法行使の準備を行う。即ち――。


「生命と自然の調和を司る我らが神よ……どうか我の願いを聞き入れ――」

「ブモォ……」


 魔法の詠唱である。


 騎士団にいた時でも、戦略として組み込めない程度のものでしかなかったことはシルヴィアも知っていた。

 それでも、もしかしたらという思いがあった訳だが――。


「――舞い踊りて顕現せよ! 『ファイヤーボール』!」


 詠唱が終わり、放たれた火球は正確にボアがいた場所へと向かって行った。

 ボアは既に逃げ出した後だった。


「……ふひっ! わわっ私に恐れをなしてにげっ――」

「アンジュ、やってくれ」

「うん! えーい!」


 アンジュが手をかざすと、光の形をした剣が現れ、木々をなぎ倒しながら直進していった。


「行こうか」


 シルヴィアが淡々と先を促す。

 そして200m程先で頭と体が分かたれたボアが死んでいた。


「……マジかよっ!」

「……しょ、しょんなぁ……」


 ◆


「すまねぇっ! 俺たちじゃ力不足だったようだ!」

「……面目ない」


 街に戻り、申し訳なさそうにするハンターの2人。

 どうやら子どもにすら劣っていると自信を喪失させてしまったようだ。


「こちらこそ申し訳ない。アンジュは……特別な訓練を積んでいてな! どうか気にしないで欲しい!」

「こちら、今日のお賃金です。ご迷惑をお掛けした分上乗せしてあります。どうか、遠慮なさらず受け取ってくださいね」


 幾度かの遠慮と押しつけのやり取りの後で素直に給金を受け取り去っていくハンターの2人を見送るシルヴィアたち。


「……正直期待外れだったが……アンジュのいいところが見られて私は満足だ!」

「そうですね……ですが、もう何組か紹介してもらいましょうか」


 ◆


 その後、数日かけて数組の魔物ハンターを紹介して貰ったシルヴィアたちだったが、結果は初日同様だった。

 寧ろ初日組は人柄としては最良だったと、その後のハンターたちを見て思い知ったシルヴィアたち。


「……そろそろ諦めないか? 半端者を連れて行っても足を引っ張られるだけだぞ?」

「……そうですね」


 足を引っ張るだけならまだマシ。

 中には危害を……性的に襲って来ようとした輩までいた。


「ですが! 次こそは本命! 実力的には恐らく間違いなし! そんな人材がいますよ!」

「ふむ?」


 時は満ちたと言わんばかりに、ロクサーヌが元気に宣言する。


「その人は『開放者』らしく! さらに衆人環視の中パンツ丸出しになれる程肝の据わったお方です!」

「不安しかないのだが……それと女性と言うのは……その……アンジュに惚れてしまわないか心配なのだが」


 世の女性全てがアンジュのような子どもを好む訳ではないのだが、それを理解できていないシルヴィア。


「そこが1番重要ですからね! しっかり確認はしていきましょう!」


 ロクサーヌも同様だった。




「確認方法は……単純に――と聞いて……」

「ふむふむ……」

「あ、その前に一応『開放者』か確認のため――」

「何!? そんなこと許せる訳が――っ!」

「ですが、――」


 その後、魔王討伐の報奨金を受け取った彼女たち。

 その足でディザイサイトの賭博場へと向かって行ったのだった。


 

読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/


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