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第32話 褒賞金

「魔王を倒してきただと!?」


 ディザイサイトの街に到着し身支度を整えた後、道中で会ったローブという名の斥候の言う通り、衛兵たちの詰め所に訪れたシルヴィアたち。


「し、信じられん! しかし……ローブのことを知ってるということは……」

「まぁ、話の真偽はローブたちが戻って来て判断するがいいさ。我々はまだしばらくこの街にいるから――」


 元騎士団員のシルヴィアとしても、街を守るこの者たちが素性の知れない人間の言うことを素直に信じるとは思っていなかった。

 そのため一度この場を離れようとした時、勢いよく詰所の扉が開け放たれた。


「俺だ! そのお方の言うことが確認できた!」

「おぉローブ! 丁度良かった!」


 急いで戻って来たのか、それともさすがは本職と言うことか、シルヴィアたちが戻って来た日にローブたちも戻ってきたようだ。


「それはつまり……」

「魔王は討伐された! 魔王マナガルム! 脅威度……B! そのお方たちは英雄だ!」


 脅威度。

 王国全土で制定されている魔王の危険度を表した目安である。


 その中でBと言うのは各種族の最上位種を複数配下に置いた魔物の群れ。

 今回たまたまシルヴィアが討伐した群れも、間違いなく大都市をも滅ぼすレベルの脅威度だった。


「えっ……それって……」

「ゴブリンロードを始め! バジリスクやその他に――」


 ローブの話を聞いて一番ショックを受けいていたのはロクサーヌだった。

 以前自身の護衛長だったゴンズに聞いた『この魔物にあったら仲間を置いて逃げろ』と言われていた魔物。


 それらの名前が何匹も上げられ……シルヴィアどころかアンジュも倒していた魔物もいる。

 名前や簡単な特徴を聞いただけだったため、気が付かなかった。


「あ、あの……シルヴィアさんは知っていたのですか?」

「魔物のことか? いやぁ、ゴブリンロードしか知らなかったな! 後ミノタウロス!」

「ミノタウロスなど下っ端も下っ端だよ! ほんとあんたすげぇなぁ!」


 そう、すごいんだうちのシルヴィアは。

 もっとすごいのは、そんなヤバい奴らの群れに3人で挑んだこと。その無謀さ。

 その内1人はまだ幼い子ども。もう1人はほとんど魔物と戦ったことなどない、か弱くも美しい儚き美少女。


「(ヤバい……さすがにヤバすぎる……)」


 現実逃避している場合ではないと、回らない頭を必死に働かせるロクサーヌ。




「とりあえず、正式には代官に報告してからだが褒賞が出るはずだぞ!」

「いや、私たちは成すことを成しただけ――」

「ぜひ! たんまりお願いします! できれば現金で!」


 褒美を辞退しようとするシルヴィアに対し、ロクサーヌが待ったをかける。


「(ここは私に任せてください! 考えがあります!)」

「(む……そういうことなら……)」




 ◆◆◆




 ――数日後。


 あれから紆余曲折があったが、正式に褒賞を貰ったシルヴィアたち。

 その足である場所へと向かう。


「うぉ! ……あんたらはシルヴィア様たちじゃあありませんか」


 魔王討伐の件とは別の意味で顔を覚えられている店。

 この街を訪れた初日に、怪しい黒服に連れて来られた賭博場だった。


「すみません、あちらの女性とお話したいのですが……」

「ビビアンのことですか? どうぞこちらへ」


 店の人間に案内され、席に着くロクサーヌたち。

 そこにいかにも不機嫌な顔をしたビビアンが連れて来られる。


「……私に何か御用で?」

「あなたはこの店に借金があって働いている、と言うことで間違いありませんか?」

「……だったら何よ?」

「もしその借金を私たちが肩代わりするから旅に同行して欲しいと言われたら……どうですか?」


 気だるげだったビビアンの表情が一気に明るいものとなる。


「行く! 行くわ! 私はこんなところで時間を無駄にする訳にはいかないのよ!」

「そうですか!」


 良かった、この話はうまくいきそうだ。

 ロクサーヌが内心安心する。




 先日の件でロクサーヌは思い知った。

 魔王を討伐するということの厳しさ。というよりも認識の甘さ。


 一歩間違えればシルヴィアはともかく、アンジュと自身は死んでいてもおかしくなかったと。

 そうならないためにも、これからの旅にはもっと強い仲間が必要だと考えたのだ。


 このままうまくいけばビビアンを仲間にできそうだ。

 しかしその前に確認しなければいけないことが2つあった。


「あ、その前に確認なんですが……あの子の気配、どう思います?」


 離れたところで店員にカードで遊んでもらっているアンジュを指して尋ねるロクサーヌ。

 今日はこの確認のために正体を隠して貰っていた。


「ん? ……何あの子、気持ち悪っ! 人間と魔物が混ざったような気配じゃない!」

「……」


 1つ目の確認、これについては問題ないだろうと思っていたが、期待通りだった。


 ビビアンが本当に『開放者』かどうか。つまり、アンジュの気配を正確に感じ取れるか。

 この確認の1番の問題は、予想される答えにシルヴィアが耐えられるかどうかだった。


「――っ! ――っ!」

「(良かった、耐えている。唇が切れて血が流れてるけど)」




 そして次に行う、もう1つ目の確認。

 こちらの方がより重要で重大な問題だった。

読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/


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