第29.5話 幕間 天使の慈善事業の裏で
アンジュが街の人と関わっている様子を、ロクサーヌの横で眺めているシルヴィア。
「……アンジュ」
アンジュはにこにこと笑顔で楽しそうに街の人の治療に当たっていた。
その額には汗が浮かんでいる。
疲れているだろうに、そう言った素振りを微塵も出さない。
「(いや……本当に楽しんでやっているのかもな)」
シルヴィアの脳裏に浮かんだのは、ノートンでの出来事。
人と関わらせようとノートンで試みたことがあったが、結局心配ばかりしてしまって自分が表に出過ぎてしまっていた、と。
「(心配が勝ちすぎてアンジュの努力の場を……成長の場を奪ってしまっていた……?)」
ロクサーヌやセーラがシルヴィアのこの思いを聞いたら、『その時には必要だったのでは』と返す程度のこと。
しかし、目の前のアンジュの様子を見ていると後悔の念が湧いてしまう。
「(アンジュはできる子なんだ。私は……アンジュを信じて送り出せばよかったんだ、あの時も)」
戦闘面では圧倒的実力、それに裏打ちされた自信もある。
それがアンジュのことになると試行錯誤が必要で、時に不安になることも多かったシルヴィアだった。
「ふぅ~……」
「アンジュ様、お疲れ様です。これ、冷たいお水ですよ」
怪我人の治療が落ち着いてきた頃、ぷかぷかと浮かびながらこちらにやってくるアンジュ。
「頑張りましたね、アンジュ様!」
「うん!」
いつになく嬉しそうに頷くアンジュを見て――。
「(私は……やはり――)」
「ん!」
突然シルヴィアの顔に抱き着くアンジュ。
「むー!? ど、どうした突然!?」
「ん!」
何を言うでもなく、ただひたすらに力いっぱい抱き着いてくる。
「……」
「おねえちゃん!」
そう言いながら顔から離れ、にこにこと笑いながらシルヴィアを見つめる。
「(……慰めてくれているのか? 落ち込んでるように見えてしまったか?)」
何となく、本当に何となくシルヴィアが落ち込んでいる気がしたアンジュ。
そして何となく自分のことが原因な気がしたから――。
言葉にできない思いを笑顔に込め、気持ちを伝えた。
「……ふふ、お前はいつも私に元気をくれるな! ありがとう!」
「うん!」
シルヴィアは気付かない。
その笑顔も、彼がこうして頑張れているのも、全部間違いなく彼女のおかげなのだと言うことに。
「(いつもありがとう、大好き!)」
いつか、ちゃんと――。
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