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第28話 誤算

「ど、どうして俺の居場所がわかったんだ?」

「それがお前の話か?」

「ちっ! 違う!」


 完全にシルヴィアに飲まれてしまったホワイト。

 これ以上無駄なことを言ったら本当に殺されかねない。


「……俺たちの要求はその天使をとある貴族に引き渡すことだった!」

「……」


 この場にいる全員が周囲の温度が下がったのを感じた。


「待って! 聞いてくれ! 俺らはあんたらに2度と危害を加えない! その貴族とも縁を切る! だから――」

「……それだけか?」

「さ、さっきのあんたが言った要求も呑む! それ以外に必要なことは何でもする! だから――」

「……要求はさっきのだけだ。それと、信頼の証。わかるよな?」


 青かったホワイトの顔色がさらに青くなる。

 迂闊だった、絶対に手を出しちゃいけない人間だった……。


「……か、必ずやその貴族の首を持ってまいります」

「物はいらん、結果の報告だけでいい。もし今後アンジュを狙うようなことがあれば……わかってるな」


 そう言って踵を返すシルヴィア。

 ここまで一言も発さなかったロクサーヌだったが――。


「あ、わかってると思いますけど……また同じことがあれば聖国も動き思いますよ」

「も、もちろんです!」


 今度こそ、ホワイト以外の全員も完全に後がないことを理解した。


 ◆


「シルヴィアさんにしては珍しいですね。正直、手っ取り早く暴れるのかと思ってました」

「うむ……」


 地下の通路を通りながらロクサーヌが問いかける。


「魔物相手はともかく……話が通じるならその努力も大切だと思ってな……」


 チラッとアンジュの方を見るシルヴィア。


「あー……そう、ですね……」

「うむ。まぁ、できる限り、と言ったところだが!」


 苦笑いを浮かべるシルヴィア。

 それほど、最初の黒服に対するアンジュの言動が衝撃的だったのだ。


「まぁ、結局話し合いで解決というよりはシルヴィアさんの強さに恐れ戦いて、といった感じですけど!」

「……難しい」


 それでも、その努力は決して無駄じゃないと思うロクサーヌ。

 ここに来た時よりも幾分か気持ちが軽くなっていることを感じながら進む。




「……こ、これでいいんでしょ! この変態ども!」


 表側のフロアに戻って来た一行が目にしたのは、羞恥に顔を歪ませた下着姿の女性だった。


「いやいやお客さんが言いだしたことじゃ……というか普通ここまでしませんよ……」

「ちょっと! あんたら何見てんのよ! 金払いなさいよ!」


 周囲に金をせびる赤毛の女。

 下着姿のはずなのに、色っぽさが感じられないのはどうしてだろうか。


「……心に決めた相手以外に肌を晒すなどと……私には耐えられん」

「……完全に同意です……」

「……うん」


 しかもその原因がギャンブルとあれば尚更だった。




「数日! 数日待って! 私これでも『開放者』なの! すぐ魔物狩ってお金用意するから!」

「絶対逃げるでしょ! しばらくはうちで働いて借金を返して貰いますから!」


 ◆


「ふぅ……何だか疲れたなぁ……」

「そうですね、温泉にも入ったて言うのに」


 山道を駆け回るのとはまた違った疲労感を覚える。

 そっちの方がマシだと言えるほど、人の欲望に触れると言うのはこう言うことなのだろうか。


「あの……提案があるんですけど……」

「ん? 何だ? アンジュは触らせないぞ?」

「違います! それは今度お願いします!」

「無理」


 恐る恐ると言った感じに尋ねてくるロクサーヌ。

 こういった頼み方をすると言うことは、怒りを買う可能性があるからだろうが、今回はアンジュのことではないらしい。


「アンジュ様が天使だという事、隠さないでいきませんか?」

「……どういうことだ?」


 怒りではなく困惑が先に立つシルヴィア。

 ロクサーヌがふざけてそんなことを言う者ではないのはわかっているが……。


「今回のことでわかりましたが、既に私たちの噂はかなり広まっています。しかし、それは一部の……情報屋か立場のある者が多いようです」

「そうみたいだな」


 加えてその者たちの中には今後も不愉快なちょっかいをだしてくる可能性が高い。


「ですが、一般の方々にはあまり知られていない。仇である天使の情報を集めるなら、こういった方々にも事実を伝えて情報を集めた方がいいと思うのです」

「……そうだな」


 確かにロクサーヌの言う通りだ。

 当初は、今回のような輩に目を付けられないようにアンジュが天使であることを隠していた。

 それが無駄となってしまっている以上、ロクサーヌの言う通りにした方が得策だろう。


 シルヴィアはそう思いながらも怒りを覚えた。


「まったく、せっかくの努力が水の泡だ! 一体誰がこんな噂を……!」

「ですね!」


 内心は自身の旅を支えてくれた仲間たちじゃないかと焦っているロクサーヌ。

 しかし、正解はシルヴィアの父親だった。




 そして、ロクサーヌにはシルヴィアには伝えていないもう1つの企みがあった。


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