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第24話 聖なる魔法

「アンジェ様、これが光弾です」


 アンジュの目の前で光の玉を大木に向かって放つロクサーヌ。

 倒れこそしなかったが、直径3mはありそうな大木を震わせるほどの衝撃だった。


「わぁ……」


 初めて目にする攻撃魔法に、アンジュは驚いてしまう。


「貴様っ! アンジュを驚かすな!」

「し、仕方がないじゃないですか! 魔法を教えるとはこういう事ですよ!」

「ぐぅ……し、しかしアンジュが怖がって……」

「シルヴィアさん! 甘やかすのと優しくするのは違いますよ! アンジュ様のことを想えばこそです!」

「ア、アンジュじゃ――」


 当然のことを言うロクサーヌに尚も食い下がろうとするシルヴィアだったが……。


「やぁー!」


 光弾を作り出し、シルヴィアに見せるアンジュ。


「アンジュ……」

「すごいです! さぁ、それをあの木に向かって――」

「えいっ!」


 アンジュの投げた光弾が大木に当たる。

 そこからへし折れる大木。


「――へ?」

「わぁー……」

「確かに、お前の言う通りかも知れん」


 目を伏せ、こちらに倒れてくる大木を蹴り飛ばしながら、反省した様子のシルヴィア。


「アンジュにも戦える力を! どうか頼むぞ!」

「……」


 本当にこのまま教えていいのだろうか……。

 一抹の不安を覚えるロクサーヌだったが、アンジュの様子を見てそれを振り払う。


「すごいぞアンジュ! この調子で頑張ろう!」

「うん!」


 シルヴィアに褒められ、無邪気に嬉しそうにするアンジュ。


「(力の使い方も含めて教えてあげればいいのよ。頑張れ、ロクサーヌ!)」


 きっとこの先の旅では、力があって困ることはないのだから。


 ◆


「――以上が、私の知る聖なる魔法です」


 ロクサーヌ自身が使えるものは実演で、天使が使用していたと伝承されているものは口頭で。


「魔法に固有名を用いると自分なりのイメージもしやすいかもしれませんね」

「なるほど! 例えばただの『回復』ではなく、『シルヴィアとアンジュの愛と慈しみの光』とか――」

「それと、魔法の強弱は込める魔力により変動しますので覚えておいてください」

「なるほど! つまり私への愛が大きければ大きいほど――」

「シルヴィアさんは黙っててください! 向こうで剣でも振っていたらいいじゃないですか!」


 先程から邪魔にしかなっていないシルヴィア。


 仕方がないじゃないか、アンジュとロクサーヌが仲良くしているところを見ていると……。

 そんな気持ちを振り払うシルヴィア。


「……いかんな。お前の言う通り、剣でも振って気持ちを落ち着かせよう」

「……」


 偉そうで直情的で暴力的……だけど、素直な人。

 そうシルヴィアを評したロクサーヌ。


 アンジュの魔法を見ながらもシルヴィアの素振りを見る。


「……よしっ! はぁぁっ!」

「……え?」


 シルヴィアが1度気合を入れ直すと、そこから魔力が溢れてくるのを感じ取る。

 それらは彼女の体だけでなく、鎧や剣にも宿っていく。


「シ、シルヴィアさん!? それは……」

「あぁ、うむ、これは、アンジュが、くれた、力だ!」

「いやいや……」


 どう見ても魔力だった。


「私は、これを、『闘気』と、呼んで、いる!」

「そ、そうですか……ところで、シルヴィアさん。今まで魔物の気配がどことなく感じられるとかありませんでした?」

「? 当たり、前だ! 私は、騎士、だから、な!」


 それができる騎士もいなくは無いだろうが。


「(決まり、でしょうか。彼女も『開放者』)」


 実は開放者には1つの能力があった。副作用とも言える。

 魔力を強く扱えることになったことにより周囲の魔力の塊、つまり魔物の気配を察知できるようになるというものだ。


「(ま、いいか。黙っていよう)」


 宿屋での恨みは深かった。


 ◆


「さて、私が部屋を――」


 今日も街に戻ることとなった一行。

 昨日とは違い、今日はお互いの能力を確認したり魔法の訓練をしたりと有意義なものであったが。


「もう取ってますので! ちゃんと全員分!」


 実は出発前に宿を取っていたロクサーヌ。

 昨日のことが相当悔しかったようだ。


「――とっておいたぞ、と……同室だがお前の分も……」

「……」


 報連相は大事だと気付けたことが今日一番の収穫だったのかもしれない。


「……ありがとうございます。店主様に鍵をお返しして来ますね」

「あぁ、すまないな!」


 本当に、気付かないだけで素直な人なんだなと感心するロクサーヌだったが……。




「さぁ、寝ようか」

「何でベッドが2つしかないんですか!?」

読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/


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