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第18話 真の仇とシルヴィアの決意

 突如襲って来た魔物の撃退。


 この出来事に街が歓喜し、騎士団員を労う祝勝会が開催された。


 その中、自宅にて神妙な顔である人物を待つ騎士団長、ファルシス。

 その横にいかにも『何で俺がここに……』と言う顔をしたキーファ。

 本来一番労われるべきなの俺じゃね、とは口が裂けても言えない彼だった。




「失礼します」


 現れたのは、大事そうに大きな布に包まれた何かを抱えたシルヴィアだった。


「来たか……改めて言う。無事でよかった」

「えぇ、この子なしでは到底無事ではすみませんでした」


 そう言って布を外し、抱えていたものを表す。


「なっ!? その姿は!?」

「お、おいおい……! まさかそいつが坊主なのかよ!?」


 純白の翼、輝くハイロゥ。そしてどこか神々しい存在感。

 しかしその姿顔はどう見てもアンジュそのもの。


「はい、間違いなくアンジュです。ほら、挨拶を……」

「すぅ……すぅ……」

「はぅっ!」


 昼間いっぱい頑張ったからね、疲れちゃったんだね。

 自身の腕の中、穏やかに寝息をたてるアンジュを見て顔を崩すシルヴィア。


「ん~……とりあえずゴブリンじゃなくて良かったと言っていいのか……」

「そうだな。その姿であれば民も受け入れてくれるだろう」

「……」


 神妙な面持ちに戻るシルヴィアとファルシス。


「正直安心した。お前がその子を大事にしているのはわかっているが……それがゴブリンだったらと思うと……」

「ですね、天使とゴブリンじゃ大違いですわ」


 愛らしい顔つきはそのまま、これが緑色だったらどう接すればいいのかファルシスとキーファにはわからなかった。


「どれ、パパにも抱かせて――」

「……どちらも変わりません」


 突然シルヴィアが思いつめた顔をして、静かに怒りを込めて呟く。


「え?」

「もちろん、アンジュがどんな姿だろうと変わりません。そして……この子に核を植え付けた存在が……天使だろうと何だろうと許せないのも!」


 ゴブリンではなかったという安心感からそのことに気付かなかった2人。

 しかし……まさかそんなことがあるのだろうか。


「し、しかし……! 天使だぞ!? 伝え聞く限りそんなことをする存在には……!」

「しかし事実です。現にアンジュは……」


 信じられない様子のキーファ。


「……」


 怒りを湛える瞳は、1つのことを決意していた。


「……行くのか?」

「はい」


 大切な彼をひどい目に遭わせた魔物。

 アンジュの故郷、滅ぼされた村に天使の死体はなかった。


 つまり――。


「まだ生きている! アンジュをひどい目に遭わせ……この子の両親を、村を滅ぼした魔物が!」

「……」

「私はそれが許せないっ! 今ものうのうと生きていることが! 必ず……報いを受けさせてやる!!!」


 いつの間にか、大声を出していれば当たり前だが、目を覚ましたアンジュもシルヴィアを見つめている。

 



「……ふぅ……」

「……」


 しばしの沈黙の後、ファルシスが深くため息を吐く。


「ちょ、ちょっと待ってくれよっ!?」

「……」


 今まではまだ領地内にいたからまだ許されていたシルヴィアの次期騎士団長として……それ以前に騎士団員としてあるまじき行動。

 仇を探す、つまりは当てのない旅をするようなものではないか。


「今までのこととは訳が――!」

「わかっています」


 そう言ってシルヴィアは、自身の剣を置く。


「只今を持ちまして! 私シルヴィア=ノートンは騎士団を退団させて頂きます!」

「そんな勝手が……!」


 許される訳がない!

 そうだろう騎士団長! そうだと言ってくれ!


「……認めよう。そして……それを以てお前からノートンの名を剥奪する!!!」

「はっ!」

「……ぁ?」


 姓の……剥奪……。

 それはつまり……家族ではなくなると……?


「何でだよっ! 何でなんだよっ! あんた娘の事あんなに大事にしてたのに!

「……」

「糞みたいな屁理屈こねて! 街を危険に晒しても! それでも娘のためにぃっ!!!」

「……」

「……何とか……言ってくれよっ! じゃなきゃ……くそっ」


 思いを言葉にできないキーファ。


「キーファ、ありがとう」

「……そんな顔するくらいならよぉ……」

「次期騎士団長のことは気にするな。そろそろ我が息子も放浪の旅から戻ってくるだろう」


 そんなことを言っているんじゃない……。


「……はぁ……。息子さんもどうせまたどっか行っちゃうんじゃないですか?」


 言いたいことを飲み込み、無理矢理切り替えるキーファ。

 きっと一番納得したくないのは当の本人だろうから。


「あやつは今まで好き勝手過ごして来たんだ。何としても騎士団長の椅子についてもらう」

「帰ったら騎士団長になるなんてこと知ったら、俺なら帰りませんねぇ~」

「……ヴェルサス、さんにはご迷惑をお掛けしますが、何卒よろしくお伝えください」


 ここにはいないシルヴィアの弟のことを一応慮るシルヴィア。




「……うむ」

読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/


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