第五話魔法少女と妖精の真実
「やったぁ」
美月は喜ぶと、マホの方を見た マホも同じように敵を倒していた美月はマホの下に駆け寄ると
「マホちゃん、今の見た?」
興奮気味に話しかけた
「はい、見ていましたよ」
マホは嬉しそうな顔で言うと
「美月ちゃん、初めてにしては上出来ですよ」
マホは美月を労うように頭を撫でた 美月は気持ち良さそうな顔をしていた そこへ、新たな敵が現れると
「美月ちゃん、今度も一緒に頑張りましょう」
マホは美月に呼びかけた
「もちろん」
美月は自信満々の笑みを浮かべて答えた 二人は協力して次々と現れる敵を倒していった しかし、一向に敵の数が減らない
「キリがないわね」
美月は息を切らしながら言った
「確かにそうですね」
マホも疲れているようだすると、美月たちの前に一人の少女が立ち塞がる 少女は頭に角が生え、背中から悪魔の翼が生えている
「私は悪魔使いのアリス」
少女は名乗ると
「あなたたち、なかなかやるわね」
二人を見て感心した様子だ「悪いけど、これ以上先へは行かせないわ」
アリスはそう宣言すると、呪文を唱え始めた すると、周囲にいた大量のモンスターたちが動き出した
「これは、まずいわ」
美月が焦っていると
「大丈夫です。落ち着いて下さい」
マホが声をかけた
「でも」
美月が戸惑っていると
「美月ちゃん、私がサポートします」
マホが力強い口調で言い切った
「わかった」
美月は覚悟を決めると
「行くよ」
マホに声をかけ、二人は同時に走り出した 美月は敵に向かって飛び蹴りを放った 見事に命中すると同時に爆発が起こった
「次はこれよ」
美月は右手を前に出すと
「ライトニング・ボルテックス!!」
叫ぶと、激しい電撃が放たれた その威力は凄まじく、周囲の敵は全て跡形もなく消え去った
「すごい」
美月が驚いていると
「油断しないで、まだ終わっていない」
マホに注意された 美月はハッとすると、すぐに構えた マホは呪文を唱えると杖を振り上げた
「インフェルノ!!」
叫ぶと、巨大な火柱が上がった それは瞬く間に広がっていき、周囲一帯を飲み込んだ しばらくして、炎が消えると
「ふぅ、終わりました」
マホは額の汗を拭いながら言った
「凄い、全部倒したんだ」
美月が感動していると
「美月ちゃん、怪我はありませんか?」
マホが心配そうに聞いてきた
「大丈夫だよ。それより、早く皆を助けないと」
美月は答えると、急いで駆け出そうとした すると、マホが呼び止めた
「待ってください。この辺りには罠があるかもしれません」
マホが忠告した
「どういうこと?」
美月が不思議そうな顔をすると
「恐らく、私たちの動きを制限するためのものだと思います」
マホが説明した
「じゃあ、どうすればいいの?」
美月が困り果てた表情をしていると
「私が解除するので、少しだけ時間をください」
マホは真剣な眼差しで言った
「分かった」
美月が承諾すると、マホは目を閉じて集中し始めた しばらくすると、マホの周りに光の粒子が集まり始めた やがて、マホの手にカードが現れた マホはそのカードを宙げようとしたときさっき倒したはずのアリスがそこにいた。
「あなたはマホに騙されている」
それだけ私の耳元でささやいてその場から消えていった。
私には理解できなかった。マホは嘘をつくような子じゃないし、そもそもマホがそんなことをするはずがない。
私はただ混乱していた。
マホは黙ったまま俯いていた。
私は何があったのか聞こうとした。けれど、言葉が出なかった。
「……ごめんなさい。美月ちゃん。美月ちゃんをちゃんとサポートできなかった」
マホが涙声で言った。
マホは悪くない。悪いのはあの女だ。なのに、私はマホになんて言えば良いのだろう?
「私は……」
私は必死に言葉を探そうとした。
「ううん、謝るのは私だよ」
マホが首を横に振った。
違う!悪いのは私だ。
私は唇を強く噛み締めた。
「美月ちゃんは何も言わなくていいんだよ」
マホは優しい笑みを浮かべた。
どうして?マホは何一つ悪くないのに。
マホの優しさに胸が痛くなった。
私は何も言えなかった。マホが嘘をついているそんなことを言われて怒りなどの感情など沸くことはなくなぜか不思議と納得してしまってる自分に戸惑いながら。
「マホ……あなたは」
やっと出た言葉だった。
「ねぇ、美月ちゃん。お願いだから今は戦わないで欲しいの」
マホは悲しそうな顔で懇願してきた。
「なぜ、マホはそこまでして戦うの?」
マホの気持ちがわからず、つい疑問をぶつけてしまった。
「美月ちゃんがいるからだもん!」
マホは大粒の涙を流していた。
「えっ」
予想外の答えに動揺を隠せなかった。
「美月ちゃんがいなくなったら、私は一人ぼっちになってしまう。美月ちゃんだけが頼りなの」
マホは泣き崩れた。
私はマホの頭を撫でた。
私はマホのことを誤解していたのかもしれない。マホはただの女の子だ。魔法が使えるからといって強いわけでもないし、ましてや特別な存在でもないのだ。それに、マホはマホなりに悩んでいるのだ。マホは今まで一人で戦ってきた。けど、今になって限界を感じているんだろう。
なら、私はマホの力になりたい。
マホが笑顔になれるようにしたい。
だって、マホは大切な友達なんだもの。「わかったわ。マホ、あなたの願い叶えてあげる」
私が微笑むと、マホも嬉しそうに笑い返してくれた。
「ありがとう、美月ちゃん」
私たちは手を取り合った。
「それが最初の約束だもんマホの願いを一つ叶えてマホは私の夢をかなえてくれる」
そう私が声をかけるとマホは静かに目を閉じた。
「そうね、確かに言ったわ。本当にマホが望むのであれば協力するわ」
私は優しくマホの手を握った。
マホはゆっくりと目を開くと、決意に満ちた表情をしていた。
「本当にいいの?」
マホは心配そうに見つめてきた。
「もちろんよ」
私は力強くうなずくと、マホは安堵した表情を見せた。
「ありがとう、美月ちゃん。でも無理だけはしないでね」
マホの言葉がとてもうれしかった。
「大丈夫よ。私は絶対に負けないから」
なんでだろうこんなにもマホは本当に心配してくれているのに、私はマホを疑っているアリスのあの一言から、、、どうしてもマホを信じることができない。
「美月ちゃん?」
マホが不安そうにこちらを見ている。
「なんでもないわ。それより、これからどうすればいいと思う?」
これ以上マホに迷惑をかけたくない。
そう思った美月は話題を変えた。
「まずは、ここから出ないといけませんよね」
マホは考え込むと、何か思いついたのか、杖を掲げた。すると、辺りが光に包まれた。光が消えるとそこは森の中ではなく、どこかの部屋の中になっていた。
「ここはどこ?」
美月が尋ねると、マホが説明した。
「恐らくですが、私たちがいた部屋だと思うんです」
「じゃあ、出口があるってこと?」
美月が聞くと、マホは首を横に振った。
「恐らく、この世界自体が幻覚なんですよ。だから、出口はありません」
マホは真剣な表情で言うと、部屋の中を調べ始めた。
すると、一つのドアを見つけた。
「美月ちゃん、この扉の向こうに誰かいるかもしれません」
マホが真剣な表情で言った。
「分かった」
美月は覚悟を決めると、マホと共に部屋を出た。
廊下に出ると、一人の少女が立っていた。
美月が警戒していると、マホが美月の前に出て、少女に話しかけた。
「あなたは誰ですか?」
マホが質問したが、返事はなかった。マホは諦めずにもう一度聞いた。
「あなたは一体何者なの?ここのことをしっているの?」
それでも、少女は答えなかった。
美月は違和感を感じていた。
アリスと戦っていたとき、私はこの子の魔法を見たはずだ。なのに、その記憶がまるでない。
美月は必死に思い出そうとした。けれど、全く思い出せない。
それどころか、私はなぜアリスに勝てたのかすら覚えていない。
「美月ちゃん、下がって」
マホが険しい顔をしながら、私に指示を出した。
私が後退りながら様子をうかがっていると、突然、少女が美月に向かって突進してきた。
「美月ちゃん!」
マホの声が聞こえたと同時に目の前が真っ暗になった。
そして、気が付くと、美月の視界にはマホの姿があった。
「美月ちゃん!大丈夫!?」
マホが必死の形相で聞いてきた。
「えっ、うん、大丈夫だけど」
美月は戸惑いながらも答えると、マホは安心したような表情をした。「よかったー。美月ちゃんが無事で」
マホはほっとしたように言うと、再び少女の方へと向き直った。
美月は、ふと自分の体を見ると、血だらけだった。
あれっ、さっきまで無傷だったはずなのにどうして? 美月は混乱しながら、立ち上がった。
「美月ちゃん、まだ動かないでください。今治しますから」
マホが慌てて駆け寄ってくると、美月の体に手をかざした。すると、みるみると傷が塞がっていった。
「ありがとう」
美月はお礼を言うと、マホと一緒に少女と対峙した。
マホは、いつでも攻撃できるように身構えていた。
しかし、少女は何もしてこない。
不思議に思っていると、少女は美月に視線を向けた。
「……美月ねぇ、やっと会えたね」
突然、少女が口を開いた。
「……もしかして、私を知っているの?」
美月が恐る恐る聞くと、少女は小さくうなずいた。
「知ってるも何も、私はあなたの双子の妹だよ。元相方の魔法少女だよ」
「双子?相方?」
美月は驚きを隠せなかった。なぜならその記憶がないから私に双子の妹がいたこともその痕跡も一切なく私の住む家にもなく家族も知らいないからだ。
「そうよ。あなたは私のことを全然知らないかもしれないけど私はあなたのこと全部知っているのよ」
少女は悲しそうな表情をして言った。
「じゃあ、教えてくれるかな。あなたのこと」
美月は優しい声で言った。
「いいわよ。でも、まずあなたはここからいなくなって」
次の瞬間マホは最初からそこにいなかったかのようにその場から消えていた。
そして、私は謎の空間にいた。
どこを見ても白一色の世界だ。
ここなら落ち着いて話せるわね。そう言って彼女はこちらを振り向くと、急に泣き出してしまった。
「うわぁあああんおねぇえちゃぁああんやっとやっと会えたよぉごめんねぇええ」
私は驚いてどうすればいいか分からなくなってしまった。「もう大丈夫だからね。私はここにいるからね。だから泣かないで」
そう言いながら頭を撫でると、少しだけ落ち着いたようだった。
「ありがとう。ねえ、美月ねぇは今幸せ?」
突然、そんな質問をされた。
「どうだろうね。幸せだと思うよ毎日学校にいって友達と遊んで笑ってたのしいよ」
「でもそれがマホによって見せられた嘘の世界だとしても?」
ドキッとした。
マホが見せてくれた世界が偽物だとしたら私はずっとこのままなのだろうか。
「私は美月ねぇに幸せになってほしいの」
「私は、今までの記憶とか思い出があの時で止まっている、周りの友達家族、、美月ねぇも私のことわすれているのだからあの時からわたしの時間は進めてない止まったままなの」私は黙って聞いていた。
彼女の気持ちがわかっているようでわからない気がした。
「でもそれは私も同じなんだよ」
私がそういうと彼女が驚いた顔をした。
「え、どう、ゆう、ことパパは?ママは?なんで?」
「私が中学生になった時くらいかな?塾で復習をしていていつもより帰りが遅くなった時があってね?家に帰ったらパパとママが、、、、」
私がそこまで言うと、彼女が私の口を手で塞いだ。
「それ以上言わなくて大丈夫だよ。でも最後に聞かせてその出来事あった日は10月じゃなかった?」
私はびっくりした。
どうしてこの子がそのことを知ってるの? 確かにその日は、10月30日のハロウィンの前日だった。
「どうして?」
私は彼女に聞いた。
すると彼女は、語りだした、その日私たち姉妹は魔法少女として戦っていたことを10月30日その日にあったことを、私はその話をただ静かに聞いた。
最後まで聞き終わると私は泣いていた。
私にはその記憶わけではないけどなぜかはわからないがひたすら泣いていた。
「あの時私たちは負けてしまって、マホが私たちに絶対服従の奴隷契約の魔法をかけようとしたのその魔法からおねぇちゃんが私をかばって私は逃げのびたの」
「それで、記憶が、、」
私は呟いた。
「おねぇちゃんは私を助けてくれてた次の日マホの気配がこの街から消えてあの後のことをしりたくて美月ねぇに話しにいったら私のことを忘れていて街からは私がこの街にいたこと生きていた痕跡がすべて消えていたの」
彼女はまた泣き出した。
私は彼女を抱きしめた。
私に何ができるのか分からないけどせめて今はそばにいるだけでもしてあげたかった。
しばらく経ってから彼女が落ち着くと彼女は口を開いた。
「美月ねぇ、お願いがあるの。もしマホが戻ってきたら、、マホを殺して」
「えっ?どうして?」
私は戸惑った。
どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして? 心の中で何度も同じ言葉を繰り返した。
しかし、答えはでない。
当たり前だ。
人を殺すなんて。
できるわけがない。